夜中の薔薇 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 97
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  • Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061831827

感想・レビュー・書評

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  • 向田邦子さんの最後のエッセイですね。
    明日で突然の死から四十一年になりますね。
    今でも向田邦子さんは忘れること無く、懐かしい作家さんの一人です。
    向田邦子さんの文章は飾らず率直で清々しい親しみ深い温かみのある語り口です。
    会話をするように、語りかけてくる文章に浸りながら読み進めて、飽きることがありません。
    自らの言葉で気っぷの良く小気味良く文章が綴られています。
    もっとたくさんの文章を残しておいて欲しかった作家さんですね。

  • 向田邦子さんのエッセイ。
    食べ物のこと、旅行先でのことが、興味深く書かれていた。意欲的に生きてこられた方なのだと思った。
    特に、「手袋をさがす」が印象的です。気に入るものが見つかるまでは、決して妥協を許さない…今でこそこんな自立した大人の女性が増えてきていますが、向田さんは、そういった現代女性のパイオニアだったのではないでしょうか。

  • 自分に似合う、自分を引き立てるセーターや口紅を選ぶように、ことばも選んでみたらどうだろう。ことばのお洒落は、ファッションのように遠目で人を引きつけはしない。無料で手に入る最高のアクセサリーである。流行もなく、一生使えるお得な「品」である。ただし、どこのブティックをのぞいても売ってはいないから、身につけるには努力がいる。本を読む。流行語は使わない。人真似をしないーー何でもいいから手近なところから始めたらどうだろうか。長い人生でここ一番というときにモノを言うのは、ファッションではなく、ことばではないのかな。(本文より)

    向田邦子 最後のエッセイ集。
    ことばが美しい人だ。

  • キャリアを重要視し、働く女性はみな「手袋をさがす」が好きだと思う。
    自分が自分らしく生きることを、潔く自分で認めることの難しさよ。
    結婚、出産、専業主婦で〜みたいな「女の幸せ」を手放して、
    頑張っていると、ふと前も後ろも見えず佇みたくなる。
    これで良かったんだっけ?と自問自答して、夜眠れなくなる。
    そんな眠れない夜に読みたい1冊。

  • 終盤の「手袋を探す」「時計なんか恐くない」がよかった。20代の女の子向けかもしれないけれど、40代が読んでも。向田邦子の負けん気を少しだけおすそ分けしてもらった。

  • 理想の女性、向田邦子。「手袋をさがす」がとっても好き。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「理想の女性」
      事故で、早く亡くなったのが本当に残念。
      「理想の女性」
      事故で、早く亡くなったのが本当に残念。
      2014/05/13
  • 向田邦子の文章が好き。(他者にも自分にも)観察眼が鋭くて流石だなと思う。手袋をさがすと時計なんか怖くないが特に好きで、自分のことを少し肯定でき心が軽くなった。折に触れて何度でも読み返すだろうと思う。

  • 201507読了
    ベルギー旅行記が含まれている。
    20100210読了
    向田さんのエッセイは歯切れが良い。テンポが好き。切り口も好き。小難しい説明的な文章やだらだらとした叙述的な文章はいらないけど、ただなんとな~く活字が欲しい、そういうときに最適。旅のお供。

  • 台湾での飛行機事故による急逝。その直前直後に世に出た文章を含む、稀代の随筆巧者による珠玉の随筆集。そういえば「父の詫び状」も凄く良かった。
    そしてあらためて著者の年齢を知って驚いた。昭和5年生まれの亡父よりさらに1歳年長だった。
    テレビ等でリアルタイムで拝見した記憶もある生前の姿が、不運な急逝を境に、それ以降「更新」されることなくロックされたまま印象に残り続けていたこともあるのだろう。漠然と「ご存命なら80歳くらいだろうか」と思っていたより実際には遥かに古く、まさしく「昭和ひとケタ」ド真ん中の世代の方だったのだ。
    そしてそれにしては、お書きになる文章の内容やリズム、そして感性が、やはりお若い。いや、近代的、先鋭的と云おうか。要は、亡父と同じ世代の人間が同じ時代に書き残した文章だとは到底信じられない。
    中でも「手袋をさがす」には甚く感服。これは再読しなくては。三十を過ぎた息子にも強く勧めたい。
    久し振りに他の著作も読み直してみたい。

  • 体調不良で学校をお休みしているときに、たまたま家に置いてありましたのでベッドの上で読んでみることにしました。向田邦子さんは名前こそ存じ上げていたものの、本はあまり読んだことがありませんでした。しかし本当に素敵で面白くて、精神的にも荒んでいだ私の心にスーっと入ってきて、癒してくれるようでした。

    特に、様々やらかして来た私にとって、”私は負け犬の方が好きです”と書いてあってなんだか報われたようでした。

    今では向田邦子さん大好きです。私が向田邦子さんを好きになったきっかけの本です。

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著者プロフィール

向田邦子(むこうだ・くにこ)
1929年、東京生まれ。脚本家、エッセイスト、小説家。実践女子専門学校国語科卒業後、記者を経て脚本の世界へ。代表作に「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「阿修羅のごとく」。1980年、「花の名前」などで第83回直木賞受賞。おもな著書に『父の詫び状』『思い出トランプ』『あ・うん』。1981年、飛行機事故で急逝。

「2021年 『向田邦子シナリオ集 昭和の人間ドラマ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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