二重らせん (講談社文庫)

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制作 : 中村 桂子  江上 不二夫 
  • 講談社 (1986年3月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061837157

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二重らせん (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 新しい発見がこうもスリリングだとは!科学者たちのあまりにも人間くさい闘いがみもの。

  •  DNAが遺伝子の実体で二重らせん構造を持つということは、現在では誰もが知っているだろう。しかしそれが発見されてからまだ半世紀余りしか経っていない。発見者として名高いワトソンとクリックのうち、本書の著者であるワトソンはまだ存命だ(クリックは2004年に死去)。

     本書は、DNAの構造に関する研究レースで勝者となったワトソンが、その激しい先陣争いの日々をなかばドラマとして描いている。

     当時の著者はまだ25歳で、博士号も取っていない学生だった。そして二重らせん構造の証明となるX線回折写真も元は彼が撮影したのではなく、別の研究者の報告を見てアイデアを思いついたようなものであり、この点については「手柄を横取りした」というスキャンダルもずっとつきまとっている。

     本書はその序文でも語っているように、客観的な伝記ではない。当事者が自分自身の立場と視点と印象に基づいて書いたものであり、別の登場人物からすれば不本意な部分もあるようだ。しかし彼はそれも承知の上で、科学の現場の熱い空気を伝えることを優先したという。

     科学を教科書でしか知らない人々にとって、その途中の道のりはまったく未知の世界であろう。たとえ彼の業績に影があっても、その熱気を伝えることに本書が一役買っていることは否定できない。ものすごく面白いというほどではないが、とりあえず科学の世界を覗いてみたいという人がいたら勧めて良い本だと思われる。

  • 1986年刊行。DNAの分子構造を二重らせん構造であると発見したJ.D.ワトソンの、先の発見のプロセスを自伝的に叙述。20項あたりから面白くなってくるが、個人的には、二重らせん構造を思いついた、あるいは閃いた過程を知りたかったのだが、余り書いていなかった。あと、生物化学の語彙に親和性がないと読みにくいかもしれない。

  • ワトソンとフランシスがDNAの二重らせん構造を発見するに至った過程について、ワトソンの視点から事細かに描かれている。二重らせんの発見は、決して彼らの力だけによるものではなく、過去の研究者の論文の積み重ねと、彼を取り巻く様々な研究者との議論・競争を経て得た結果であることがよくわかる。
    研究者にとって、単に研究熱心で頭が良いだけでなく、社交性や行動力の高さも重要であると感じた。

  • 著者はDNAが二重らせん構造になっていることを突き止めて、ノーベル賞を共同受賞したジェームス・ワトソン。本書はベストセラーになったそうで、確かに面白い。科学的な話についていくのはしんどいが、鈍感でわからずの上司とか、重要な情報を握っている陰険で意地の悪い女科学者とか、ライバル同士の足の引っ張り合いとかが生臭い。組織ってのは、どこの世界も同じだな。優秀な科学者たちが、科学だけに専念することができれば、もっとよい仕事ができるのかもしれないのに、と若干憤慨しつつ読み進める。

    が、だんだん違和感が。実名の登場人物たちがひどい書かれよう。実力者ブラック卿はほとんど老害。相棒クリックは優秀だがうざいトラブルメーカー。ロージィという呼び名で登場するロザリンド・フランクリンは性格異常の魔女みたい。それでも何度も登場するのは彼女の持っている研究成果が必要なせいだけれど、その辺のいきさつが本書からはいまいちよくわからない。著者ワトソンはとっぽいお人好し的なキャラで、結果として「好人物ワトソン君が魑魅魍魎の妨害をかいくぐって、DNA構造を突き止める話」になっている。著者がノーベル賞をとった勝ち組であることを考えると、なんだか一方的で、きな臭い。

    で、ネットで調べてみたら、ロージィの研究成果はDNAの構造を突き止める上で欠くことができない要素であり、ワトソンやクリックはそれを正当な形で入手していない、という批判があることを知った。若くして亡くなったロージィは本書の出版時点で故人で、死人に口なし、何を書かれても抗議できない。あとがきでロージィとはその後和解したようなことを書いているが、それもなんとなく歯切れが悪い。

    権力闘争や足の引っ張り合いや意地の張り合いが火花を散らす世知辛い科学の世界で、結局ワトソン博士も、同じ武器を使ってライバルを押しのけ、蹴倒し、成り上がってきたのでは? それが悪いとは言わないし、科学の世界で功成り名を遂げる人々がみんなそうとも思わないけれど、引くことは引く。やったもん勝ち、とったもん勝ち、言ったもん勝ちなのか?

    ワトソン博士は後年、黒人は劣っているという趣旨の発言をして大炎上し、その後金に困ってノーベル賞のメダルをオークションで売りさばいたりしたらしい。科学上の功績は功績としても、著書をそのまま鵜呑みにしてよいのものかどうか微妙な気分。

  • DNAが二重らせんになっていることを発見するまでの経緯を本人が執筆した一冊。本人の作品だけあって、真に迫ってました。良かった。

  • いまさら文系とか理系とか分けていること自体、すでに古いのかも知れないが、今年はもうちょっと理系の領域に寄ってみようと読んだ、誓いの一冊。DNA構造の解明へ至るドキュメント。いまひとつ楽しめなかったのは、こちらの力不足であろう。ライバルであったロージィ(ロザリンド・フランクリン=表記は本に従った)の書かれ方がやや不憫。

  • DNAの構造が二重らせんであることは,今や広く知られているところであるが,これはその発見にいたる熱が記録されている本だ.科学的な思考プロセスなどにはほとんど触れられず,それに至る日常が描写される.研究者同士の人間関係や解きたい問題がとけないもどかしさ,解が見えかけたときの焦りなどが差し迫って伝わってくる.勢い学術界も生活も同じ土俵にあって,読み手はときに困惑するが,これも天才の一端を示しているのだろう.

  • まさに新しいモノの見方を成立させようとする人間のあらゆる野心を率直に描き出した作品。
    共感できるようでいて、何処か居心地の悪さを感じずにはいられない。
    一番闘っているのはロージー、新しい地平を切り拓く先駆者の厳しさは並大抵のことではないことが徐々に解ってくるところがこの作品の裏テーマ。またそれを素直に認めているワトソンという人は詰まるところ良い人なんだろう。

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二重らせん (講談社文庫)の作品紹介

生命の鍵をにぎるDNAモデルはどのように発見されたのか? 遺伝の基本的物質であるDNAの構造の解明は今世紀の科学界における最大のできごとであった。この業績によってのちにノーベル賞を受賞したワトソン博士が、DNAの構造解明に成功するまでの過程をリアルに語った感動のドキュメント。

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