教育工場の子どもたち (講談社文庫 か 20-4)

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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061838291

感想・レビュー・書評

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  • 普遍的な教育テーマを扱ってるかと思ったら、30年前の特定の地域の事例を上げて苦言を呈しているだけの本だった。

  • 1983年の著。戦前の日本の状況について書いたものかと思った。もちろん、筆者の年齢を考えればそんなはずはないことはすぐに分かるのだが、、、それぐらい、時代錯誤で封建的、軍隊もかくや、というほどの規律に縛られた異常な状態が記されている。教師から生徒への横暴はもとより、教育委員会から学校、すなわち校長に対する締め付けや、それが助長する閉鎖的な隠蔽体質など、自分が学校に通う年齢だったこの時代に、こんな現実がまかり通っていたなんて、衝撃である。嘘だと信じたいが、私は、生まれ育った地域や周囲の環境のおかげでたまたま、これらのことに触れずに生きてこられただけ、幸運だっただけ、いうことなのだろう。
    あるいは、見えていなかっただけなのか。
    最近、体罰やいじめの問題が毎日のように取り沙汰されているが、これらは皆、何もここ最近に始まったことではない。手段や現れ方には多少の変化があるとしても、そもそもの根源は何も変わっていないのだ。
    人間は見慣れてしまうと、その事柄について何も感じなくなってしまう、見ないふりをすることが普通になって、本当に見えなくなってしまう、良くない順応力があるという。自分に直接の被害がないことに甘んじて、見過ごしていることはないだろうか。新聞の、戦慄するような教育現場の実態を報じた記事を、「またか」と読み飛ばしてはいないだろうか。
    沈黙は同罪に等しい。
    自戒の意味も含め、非常に考えさせられる一冊だった。

  • 2006年11月21日

  • 分類=教育・日本。86年9月(84年1月初出)。『自動車絶望工場』の著者による、「愛知の教育」「千葉の教育」のルポ。

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著者プロフィール

鎌田 慧(かまた さとし)
1938年青森県生まれ。ルポライター。
県立弘前高校卒業後に東京で機械工見習い、印刷工として働いたあと、早稲田大学文学部露文科で学ぶ。30歳からフリーのルポライターとして、労働、公害、原発、沖縄、教育、冤罪などの社会問題を幅広く取材。「『さよなら原発』一千万署名市民の会」「戦争をさせない1000人委員会」「狭山事件の再審を求める市民の会」などの呼びかけ人として市民運動も続けている。
著書は『自動車絶望工場―ある季節工の日記』『去るも地獄 残るも地獄―三池炭鉱労働者の二十年』『日本の原発地帯』『六ケ所村の記録』(1991年度毎日出版文化賞)『ドキュメント 屠場』『大杉榮―自由への疾走』『狭山事件 石川一雄―四一年目の真実』『戦争はさせない―デモと言論の力』ほか多数。

「2016年 『ドキュメント 水平をもとめて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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