避暑地の猫 (講談社文庫 み 16-3)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 806
感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061841833

作品紹介・あらすじ

清澄な軽井沢の一隅に、背徳の地下室はあった。そこでは全ての聖なる秩序は爛れ去り、人間の魂の奥底に潜む、不気味な美しさを湛えた悪魔が、甘い囁きを交わすのだ。尊敬する父も、美しい母も、愛する姉も、そして主人公の少年も、そこでは妖しい光を放つ猫となる。だが、この作品で猫とは何か-?

感想・レビュー・書評

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  • 軽井沢の金持ち別荘の一家とその別荘の隅っこに家を持つ使用人一家との間で起こる愛と肉欲の物語。

    主人公の少年が謎の地下室で起こっていた出来事を
    探ぐる中、美しい姉、優しい母、足の不自由な父が
    少年に秘密にしていた出来事とは。

    狂っている。その言葉がとても印象的な作品です。

    サスペンスなのですが、中盤以降はストーリーに引き込まれ、あっという間に読み進めてしまいました。
    タイトルの猫とは何かを考えながら読み進めていくと良いです。

    面白かった!

  • 読んでいて、気持ちが落ち着かない。居心地が悪いです。しかし、読み進めてしまいます。今まで読んだ宮本輝さんの著作とは異質な感じがしました。著者の力を感じました。

  • 宮本輝、今さらですが初めて読みました。
    何故今まで読まなかったのだろうと後悔しました。
    大好きです◎

    軽井沢の別荘地、霧に包まれた朝、そこで起こる布施家と久保家の歪んだ愛憎と、それに巻き込まれた久保家の長男の人生が重く悲しい。

    特に、山場となる17歳の夏の出来事は人としての尊厳を壊してしまう程。
    悪夢と幻想に紛れ、戦わなければ終わらせる事が出来なかった運命。

    美しく悲しい忘れられない一冊になりました。

  • 一文字一文字が重く、ねっとりとしていて(厚さはないが)読了に時間がかかった。ロシア文学(そんな読んでないけど)を彷彿とさせるものがあった。

  • 一昔前の軽井沢を舞台に、人間の心の奥底に眠る性、憎悪を描く。

    全体的に暗く、重い。宙ぶらりんになってしまっている部分もある。
    しかし、人間の不安定さや、ドロドロした感情はよく描けていると思う。

  • タイトルいいなぁ、しみじみ

  • 美しい文章で綴られた醜い肉欲の物語。
    途中で理屈っぽくなるのが頂けないが、主人公が真相を求めて行動が二転三転してしまう姿はリアリティを持つ。
    東野圭吾の白夜行を思い出したのは、美保と雪穂が重なるからか。
    全体として古臭く、粒が小さいが情念を感じることができる作品

  • びっくりするくらい暗く救いようのない話。途中読んでて辛くなったが、最後の展開は引き込まれた。事実は小説より奇なりで、実際こんな暗い話はあるのかもなあ。

  • '94当時の読書メモには、タイトル買いとしか書いてない。
    複雑な話だったのは記憶しているが、手元にないので確認できない。

  • 人間関係が複雑な小説だった。
    横溝正史を思い起こす。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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