- Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061849310
作品紹介・あらすじ
9回裏二死満塁、春の選抜高校野球大会、開陽高校のエース須田武志は、最後に揺れて落ちる"魔球"を投げた。すべてはこの一球に込められていた…。捕手北岡明は大会後まもなく、愛犬と共に刺殺体で発見された。野球部の部員たちは疑心暗鬼に駆られた。高校生活最後の暗転と永遠の純情を描いた青春推理。
感想・レビュー・書評
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昭和の終わりの頃の作品。
ミステリーは、トリックや密室など、
ザ・ミステリーが主流の中で、
著者はストーリーに主軸を置くことに
シフトしていった。
この作品はそのシフトしていく初期の作品
なんだなと感じた。
この頃からそんな作品を書いていた著者に、
只々、脱帽しました。
素晴らしいストーリーでした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1988年初版。フォローさせていただいている方に紹介してもらった作品。とても良かったです。著者の作品は好きです。読み終えたばかりだと言うことを差し引いても、一番好きかもしれません。著者が30歳くらいの作品。もちろんサスペンスなんですが、青春小説の部分もあるような。主人公の武志に感情移入をしてしまいました。いくつもの謎がページを読み進めるうちに解明されてゆく。もちろんサスペンスは、そう言うものですが。この作品は謎の解けるのが本当に終盤まで分からない。昭和39年が舞台というのも、なんだか懐かしく思います。面白かったです。
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ミステリーとしては、最後がちょっと強引かなと思ったけど、それは東野圭吾さんの特徴でもあるので、まあ、良し。
しかし、それ以上に、人間模様がしっかりふんだんに描かれていて、単に小説として読めば充分満足できる力作だと思います。
ラストシーンが、珍しくほのぼのしていて、平和な読後感となりました。 -
おもしろかった~!30年以上前の作品なんですね。
高校野球絡みの殺人事件。全く接点のないような事件がどう繋がっていくのか、わくわくしながら読みました。
最後はやるせない気持ちに...
伏線の散りばめ方も回収も良かったな。東野圭吾さんの初期作品をもっと読みたくなりました。
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全く先が見えない、予想もつかない、メークドラマが私は大好き。
どれ程に実力があって、
敵う者など無い、と誰もが認める強豪が相手だとしても、
『球』の行方だけは最後の最後までわからない。
九回二死満塁。
ピッチャーの手を離れた瞬間、その『球』にどんな奇跡が起こるのか?
序章からぎゅっと心を鷲掴みにされてしまった。
すでに物語の中心である、
ピッチャーマウンドに立っている天才『須田武志』は
眩しいほどの光を輝き放っている。
東野さんは、
ここからどんな魔球を魅せてくれるのだろう?
そう期待し始めた途端、
天才が死んでしまった。
筋書きの無いドラマが好き、と言いながら、
まさか、ここで主人公級のエースの存在を失うなんて予想だにしていなかった。
序章はスカッと晴れた爽やかなゲームで上がった幕であったが、
読み終えてみると、
ぽつり、ぽつりと振り出した雨が、
最後にはどしゃぶりにでもなっていた様な、
あまりにも悲しい結末。
することがなくて、
でも、何か考えたくて、
表紙をじっ…と見つめ続けていたら、
『魔球』のなかに潜んでいた
『鬼』を見つけてしまった。
(こいつが、真の犯人じゃないか?)
私はそう思う事にした。 -
物語の主軸となる高校生エースピッチャー「須田武志」という人物のカリスマ性に惹きつけられる。常に冷静でストイック。孤高のエースとして自らを厳しく律し、他者とは違う次元で物事を見据える。嘘を嫌い、約束は必ず守る。まるで武士のような志を持つ高校生男児。ミステリーと青春小説が見事に融合しており、物語に惹きこまれて一気読みしてしまった。
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2020.8.13
読み終わったあととてもせつない気持ちになった。
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【東野圭吾作品のなかで、読後感マイベスト】
読み終わり、何とも言えない切ない気持ちになった。しばらく作品から魂が離れず、東野作品は多数読んでいるが、読後感としてはマイベストかもしれない。