密閉教室 (講談社文庫)

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著者 : 法月綸太郎
  • 講談社 (1991年9月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061849907

密閉教室 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 法月さんの鮮烈なデビュー作ということで、期待して読みました。
    期待しなければよかったのかも・・という感じです。
    面白かったですが、なんか中途半端な感じでしたね。
    軽~い学園ミステリーでした。
    工藤をはじめ登場人物に魅力がなかったかな(*_*)

  • 法月綸太郎と云えば、クイーン同様、作者と同名の名探偵が活躍(?)する法月綸太郎シリーズが有名だが、デビュー作はノンシリーズの学園ミステリである本作である。本作についてはその後ノーカット版が刊行されたようだがそちらは未読。

    まず開巻一番に驚くのは目次に書かれた章題の多さ。確か60くらいあったように思う。綾辻氏の作品を読んでから、新本格ミステリ作家はそれぞれこだわりがあるのだろうと思っていたがこんなところにこだわりがあるのかとちょっと引いた記憶がある。それらの章題もハードボイルド的でなんだかキザな感じを受けた。
    中身を読むと確かにキザだ。登場人物全てがなんだか精神年齢が少し高く、自分が高校生の時と比べると老成しているように感じた。しかしどこか青臭さ、高校生特有の全てを悟ったように物事を斜めに見るようなヒネた物の云いようは確かに高校生らしくもあるが、身近にこんな輩が居たら、かならず喧嘩を売っていたに違いない。

    さて本書では島田氏が御手洗シリーズで本家シャーロック・ホームズを非難したのと同様に、本書でも法月氏が信奉するクイーンを非難する場面が現れる。それは主人公の担任の口からクイーンの『チャイナ橙の秘密』について痛烈な感想が開陳されるのだが、後年これを読んだ私はこの件を思い出して、思わず頷いてしまった。「まさになんなんだ、あれは」の作品だったからだ。この辺について語ると脱線してしまうので、ここら辺で止めておこう。

    さて本書では教室から出された机と椅子の謎。血まみれの教室、密室の謎などが1人の高校生によって暴かれる。名探偵気取りの主人公(工藤くんだったかな?)がクラスメイトに訊き込みをし、教師と警察の睨みを交わしつつ、真相に肉薄していく(警察いたよな、確か)。
    学園ミステリは私は好きなのだが、本作はあまり好きではない。不思議にこの作品を読んで私の高校生活を思い出すことが無かったからだ。初期の東野作品に活写される高校生活、有栖川有栖氏の大学シリーズの大学サークルの描写などノスタルジーに駆られることしばしばだが、本作にはどこか別の国の高校のような気がして、いまいちのめり込めなかった。多分その理由の大半は私が全く主人公に感情移入できなかったことによるだろう。

    しかし読んだ当初はあまりこの作品から汲み取れる物は無いと思ったが、あの真相は高校生が読むと案外ショックなのかもしれない。高校生が気づく信頼関係が崩壊する衝撃があると今になって思うのだが、高校生諸君は一体どういう風に思うのだろうか。いつか意見を聞きたいものである。

  • 法月綸太郎デビュー作。30年近く前の青春ミステリ。
    さすがというか、本格ミステリとしての純度や面白さは強い。
    ただ、文章は取っつき辛いところがあり、もっとシャープなら傑作感があったのだが。
    また、人物たちのデッサンがラフ過ぎる。著者が設定したいのであろう人物イメージと言動がところどころ一致しないし、展開に合わせてキャラ代わりさせるのはちょっと難易度が高すぎた。
    3

  • いちいち言葉の言い回しが、難しい。
    わざと難しくしているのかな?そーする理由があると思わない。

  • 『あなたは今日の事件で自分こそ主役みたいなつもりでいるんでしょうね。それが馬鹿だというのよ。あなたは最初から最後まで舞台の縁をうろつくだけの脇役にすぎなかった。狂言回しの道化なのよ。もしかしたらあなたは今日という一日から何か貴重なものを学び取ったと思い込んでいるのかもしれない。たぶんそうにちがいないわ。でもそれは大きな誤解なのよ。道化は何ひとつ学ぶことはないわ。ただ傍観するだけー』

    法月綸太郎のデビュー作。80年代ー90年代のミステリはやっぱいいなぁ(@ ̄ρ ̄@)密室、移動された机と椅子、コピーされた遺書、盗まれたカッター、繋がらない電話、消えた作文、封印された一年前の事件、ガジェットが素晴らしい!久しぶりにコテコテのミステリ読んで大満足。

  • ミステリを攻める上で避けては通れぬ内の一著者として、そのデビュー作から読んでみようとチョイスしました。
    まず、探偵役の高校生が刑事と手を組む流れ、手がかりの提示のされ方、切札の真実など、所々ご都合主義的な部分を感じました。もう少しさりげなくならないものかなぁとか。
    手がかりを多く提示する割りには推理でそれが一所に収束していかない感じもあります。仮説とその棄却の連続に混乱して真実が見えなくなってしまうのは、読んでて歯がゆいところです。
    しかし一方でその流れに慣れてくると、舞台である学校の雰囲気や、キャラクターの掛け合い、物語の盛り上がりなどに引き込まれるのも事実。特にエンディングには切れ味があり、こじれた推理をも忘れてしまう上手さがあるように思えます。
    今後、法月倫太郎シリーズに手を出すか、悩むなぁ

  • 法月綸太郎のデビュー作『密閉教室』を読了。

    タイトルから分かる通り、密室ものの密室ミステリ。しかしこの作品にはしてやられた。

    どんでん返しに次ぐどんでん返しで、全く真相が判らなかった。未だにこの作品を超えるどんでん返しの連発を見たことがない(と思う)。

    あるトリックでは、かなり時間を要するもので相当忙しかったのではと思ったりしたものだ。

    関係ないが、ハードボイルドを気取っている主人公の高校生にはけっこう感情移入できるものがあった(3年ほど経った今ではそうでもない)。オレも心のどこかで探偵よように事件を解決してみたいものである(これはある)。

  • 「密閉教室」
    早朝の教室で、中町圭介は死んでいた。コピーの遺書が残り、窓もドアも閉ざしてある。しかも、教室にあるべきものすべてが消えていた。級友工藤順也がその死の謎に迫るとき、次々現れた驚愕すべき真相とは?


    新本格の創始者とも言える島田荘司氏の登場以降、本格派には、「1.トリック優先の創作姿勢+2.文章や登場人物などの未熟さ=故に、小説として未熟である」という批判が続きました(現在でもあるのだろうか)。


    そんな論拠が渦巻く中、新本格派に続いたのが法月綸太郎氏です。本作の初稿が書かれたのは、京都大学在学中とのことらしいから、随分若い頃に頭角を現したということ。こりゃ凄い。以降、彼は、綾辻行人氏、歌野昌午氏、我孫子武丸氏らと共に新本格推理小説を引っ張っていきます。


    本作「密閉教室」も多くの例に漏れず、批判派が喰いつく箇所があったようです。しかし、新保博久氏(「解説」担当)は、比較的好感を持ったよう。だからではありませんが、私も好感を持ちました。


    確かに、「登場人物の造型が甘い」と言われればそんな気もします。教師達は、それぞれ思惑があるはずが、全てネロ(新聞部顧問)一人に象徴されてしまっていて、それ以外の教師達が持つ個性や背景は覗けないし、ハードボイルド探偵である工藤を始めとする高校生達もやや現実離れ且つミステリアス


    (現実離れすぎるというのは、造型が甘いからこそ、ありえないことを含み過ぎている、ということなのでしょうか。私としては、小説“フィクション”なのだから、現実度はある程度持っていればいいし、「そこを批判するのは、しても最後の手段で、真っ先に鬼の首取ったごとく言うのは“WHY”だw」と思っています)


    でもあります。しかし、ハードボイルド気取りにしても、黒幕的高校生にしても、やたら哲学思想を養っている男子にしても、現実の高校生に内在するある種の個性や性格を誇張して、存在感を持たせているので、さほど「登場人物の造型の甘さ」を感じません。女子生徒2人は、重要な役割をしている割には、背景や人物像が見えな過ぎるけどw


    故に、“そんな気”止まり。そもそも甘い云々が出てくる領域とは、別の切り口な気がします。


    また、「トリック優先の創作姿勢」にはなんとも。私は、「トリックをふんだんに盛り込んだ処女作だな」と思いましたし、「推理小説には、トリックだな」と常々思っている人間なので、嬉しいことこの上なし。


    そもそも「トリックを優先し過ぎて、登場人物や文章が甘くなる」というのが、批判派の論理だろうから、肝は「文章や登場人物などの未熟さ」のはず。となると、この肝がしっかりしていれば、トリック優先云々は、問題にならないのだろうとも思っているわけでw


    ということで、総括すると楽しめました。最後の自分が自分に辟易するのは、良いです。


    ちなみに、法月氏は「クイーンの作風を継ぐ者がいないから仕方なく自分が書いている」と言ったこともあるほどのエラリー・クイーンマニア。故に、本作の次に発表された「雪密室」以降から、もう一人の法月氏が登場します。

  • アラを探し始めたらキリがないほど荒削りな処女作。でも面白かった!
    寄せては返す波のように解き明かされる謎の構成がよくできているし、なにより高校生という主人公達が良い。
    もちろん良く言われるようにキャラは被りまくりで、読んでいると誰が喋っているのか分からなくなりそうなのだけど、それをさっ引いても後に残る印象は爽やかだ(結末は後味悪い感じだけど)。
    いろいろと分からないこともあるのだけど、完全版が出ているようなのでそちらでフォローされていることを祈って古本屋を探すことにしよう。

    ところで本格といえば謎が積み重なって飽和状態になった所で、探偵が登場人物を一同に集め謎解きを大々的に披露するというのが定石なのだけど、これはちょっと変わった構成になっている。
    さっきも書いた通り、謎が一つ一つ解けていってそれが積み重なって結末に導かれるのだ。
    つまり読者は最後まで全体を見通すことができなくて、謎解きができない。
    最後の最後まで気が抜けないのだ。これは私の中で結構新しかった。こういう道筋もあるのねーといった感じ。
    最終局面でどんでん返しがいくつか用意されているのも、クライマックスにふさわしく美しい。

    なんとなく法月綸太郎が一番伸び伸び書いたのが、この作品なのじゃないかという印象を受けた。

    それから綾辻もそうだけど、「生理だから普通の精神状態じゃないのよ」というのは、止めて欲しい。

  • 法月さんのデビュー作で、ノンシリーズです。

    早朝の教室で、生徒・中町が死んでいた。
    コピーの遺書が残されていて、窓やドアは密閉されていた。
    しかも、教室内にあった48組の机と椅子が消えている。
    中町の死は自殺か、それとも他殺か。
    密室は如何にして作られたのか。
    そして、消えた机と椅子の行方は?

    高校生が主人公で、「金田一少年の事件簿」のようなノリだったので読みやすかったです。
    トリックは意外で、真犯人は最後まで分かりませんでした。
    工藤よりも吉沢さんの方が賢いのではないかと思いました。

    何年か経って再読しましたが、工藤がおバカに見えるのは歳を取った証拠でしょうか。
    舞い上がって、探偵気取り。
    好きな女のコの前で格好付けて、いいところを見せつつも、誤った解釈をしては吉沢さんを怒らせてしまいます。
    改めて読んで気付きましたが、工藤は事件を解決させていないよね。
    結果的には、何の役にも立っていません。

    殺された中町の事件と学校ぐるみで覚醒剤を隠した事件(実は覚醒剤ではなくてダミーだった)が複雑に入り組んでいました。
    中町を殺した犯人は、朝、教室で彼を発見した笙子でした。
    覚醒剤の件がなければ、すぐ解決しただろうに。

    当作のポイントは、「何故、教室にあった机と椅子が全て消えたのか」です。
    この謎が解けただけでも、工藤の面子は保てたかしら。
    あの結末から察すると、工藤は吉沢さんの尻に敷かれそうです。

    工藤がスケープゴートにされていたとしても、警察が一介の高校生にすぐ協力を仰ぐかしら。
    しかも、工藤が覚醒剤事件の犯人に襲われて失神していることを利用して、「死んだ」と言っていますよ。
    不謹慎だし、森さんの行動は軽率過ぎだわ。

    後に、ノーカット版が発売されました。

    気になって立ち読みしましたが、何が違うのかは一目瞭然でした。
    コーダ部分ですね。

    通常版のコーダは、意味不明で、何が言いたいのか分かりませんでした。
    ノーカット版では、とんでもない事実が明らかになります。

    作中の事件は全て架空のものだったというオチでした。
    夢オチみたいだから削除したのかな。
    それならば、コーダをまるっと消せばスッキリするのに。
    悪あがきの類かしら。

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密閉教室 (講談社文庫)の作品紹介

早朝の教室で、高校生中町圭介は死んでいた。コピーの遺書が残り、窓もドアも閉ざしてある。しかも異様なことに四十八組あったはずの机と椅子が、すべて消えていた。級友工藤順也がその死の謎に迫るとき次々現れた驚愕すべき真相とは?精緻な構成に支えられた本格推理の力作。

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