消失! (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061854420

作品紹介・あらすじ

見事な赤毛と死体の消失。これが連続殺害事件の共通項だった…。二十五歳で、研究論文『都市と探偵』のベストセラーを持つ気鋭の私立探偵、新寺仁。彼が著書の中で詳しく分析した福×県高塔市に事務所を開くと間もなく、この不思議な事件が発生した。猟奇的な色あいを帯びるこの事件、真相は意外にも。

感想・レビュー・書評

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  • 過保護なくせに三歳児を1人で散歩させてるってどういうこと?(裕二)とか、店長が店員に対して自分が休むことを知らせておらず、さらにその店員が昨日出勤したかも分かってないってどういうこと?(純)とか、たくさん違和感はあった。なのに真実に気づけなかった。
    まさか犬とは。そして裕二とマリーの現場が同じ場所だったとは。

    真相に気付けなかったのは、途中まで語り手が探偵兄妹に被害者は人間だと思い込まされていたからなのかもしれないけど、伏線の与え方が見事だったからでもあるだろう。
    バカミスという評価もあるが、伏線が見事なのでむしろ一級品の本格にも思える。

  • こんなに早く叙述トリック看破できたのは初めてです!
    ただ、猫だと思っていたのが犬だったので別の意味で衝撃を受けました笑
    犬を放し飼いするのって昔はありえたのかな?

    本格的なミステリではないですが、個人的には普通に楽しめました。

    オチも二転三転するので好きな人は好きだと思いますよ。

    終わり方もハサミ男みたいで好き。

  • 連続殺人モノの新しい解答が見れた。
    あの部分がこの本を人に「バカミス」と呼ばせるのだろうけれど、このトリックを成立させる為に持ち出した最高の一手だと思うので
    どこまでも真っ当で誠実で素晴らしい本格ミステリだった。輝いてた。まさしく消失!大好きなやつ。

    あれが発覚してからのスケール感の変化もなかなか味わい深くて好き。悲劇的でゾクッと。
    わーわー良いの読んじゃったなーという気持ち。
    目次からもうわくわくさせてくれるしな。

  • 学生時代に読んで衝撃を受けた作品。
    何回どんでん返しがあるんだよ!と。
    トリックと言っていいかどうかはわからないが、史上最高のトリックと思っている。
    ただ、この作者この作品だけで終わったしまったのは、ご愛敬。
    今、この作品読めるのかな?

  • (前略)読者が「あっ!」と言う意外な真相、ただそれだけのために書かれた推理小説であると。

    巻末の山前譲氏の解説の一文が、この小説を一言で言い表している。

    薄っぺらく支離滅裂な登場人物達と退屈な物語、そして文章も拙い。メインの仕掛けの一つが早々にわかってしまう上に、解明をかなり後半まで引っ張るので読むのがしんどかった。前述の山前氏の解説があまりに格調高く読み応えがあり、こちらの方が面白かったくらいだ。
    とはいえ、最初の仕掛けが解明されたあとに二転三転、もう一つのアイディアと後半の展開は感心するものがあったので★★。

    このプロットで他の作家が書いていたら★★★か★★★★をつけていたかもしれない。おそらく単純に好みの問題で自分には合わなかったのだろう。
    なので、好きな方にはたまらなく面白い作品なのかもしれない。

  • 【ネタバレあり】

    叙述トリックものの作品としてよく名前が挙がっているこの作品。前々から読みたいなぁと思ってたのですが、地元図書館の書庫にあることを知って早速借りてきました。
    福✕県高塔市で起こった3つの赤毛殺害事件と その死体消失の謎。
    まず表紙がステレオグラムになっていて、何かが浮かび上がってきます。私これ結構得意!で、浮かんできたシルエット…最初はその意味がわからなかったけど、読了後なるほどそういうこと…とわかる。表紙から遊び心があって面白い。
    最初から探偵役が助手役を騙すつもりで話を進めいるので、多少言い回しに苦しい部分もあるけど納得させられた。読者を騙すことに全振りした小説で、叙述トリックものが大好きなので楽しかったです。
    この1作しか書いてないのかなぁ。

  • 記録

    辛辣なレビューもあるみたいだけれど
    個人的にはすごく面白かった。
    えっ、えぇー!ってなってる内に読み切ってた。

    ミスリードにまんまとはまって
    死体が犬だとは思わないし
    犯人が解決する側の兄だとは思いもしなかった。
    最後まで読んで改めて<犯人>のページを
    思い返せば慌てぶりがすごいし
    その後の行動もわざとらしく思うけど
    読んでる時には1ミリも疑わなかった。

    人の想いなんて簡単に変わるし
    簡単に傷付ける側に回る無自覚に回ってて
    それがどす黒い狂気に変わって
    こういう事件や犯罪がなくならないことも
    人間らしいなと思った。
    誰かを傷付けずに生きることは多分無理だから
    別れ際はちゃんとしなきゃなって思った。

    後味は決していい本じゃない。
    自分を信じて協力してくれた妹やライツさんに
    これからもバレないように必死に一生隠して
    やってほしい。
    兄を慕う妹と
    この人の為ならと動いてくれた友が
    本当に報われないし可哀想だ。

  • 『書きたい人のミステリ入門』でミッシングリンクの好例として紹介されていた本。
    曰く、「極め付きのミッシング・リンク。表面上はまったく無関係で複雑に見える現象も、突き詰めればここまでシンプルになるという好例」


    3段階のオチはなるほどという感じ。
    ただ、叙述トリックに過ぎるというか、明らかにミスリードを狙いすぎた文章(街には赤毛の女が多いとか、それぞれの描写とか)がちょっと鼻につく。
    文章のマズさも、小説としての面白さを棄損してはいたと思う。そのために名探偵に感情移入できず、真犯人の候補にもあがった。

    ひとつのパターンとしては参考になった。

    推理小説はトリックのための小説なので、まじめに考えるというより、色んな可能性を考えてしまう。それでも今回のオチは想像できず、だからこそ(色んな可能性を読者が巡らせたにもかかわらずであるからこそ)、どんでん返しの意外性は生きるのだろう。誰が犯人でもおかしくなさそうな描写はそのためか。

  • 3

  • 裕二の事件でもしやと思い、でもこれだけで終わるはずないなあと思いながら読んだが、こんなトリックとは思わなかった。脱帽。
    最後の犯人は蛇足かな。
    (図書館)

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