猫を数えて (講談社文庫 あ 4-19)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061855212

感想・レビュー・書評

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  • この人の作品、やっぱり好き
    読んで「あ、そういうものなのか」っていつも思います
    軽い読書におすすめかも。。。?

  • 阿刀田 高の【猫を数えて】を読んだ。

    阿刀田 高の真骨頂、男と女の10の愛の物語を綴った短編集である。

    阿刀田 高の小説は「あとをひく」。これは文末に収められている都築 直子氏の解説の言葉であるが、ま

    さしくその通りだと思う。僕が阿刀田作品を読むのはこれで3冊目であるが、自分でもなぜだかよくわか

    らないが本屋に行けば「阿刀田 高」という名前を知らず知らずのうちに探している自分がいるのだ。

    ふとした時に読みたくなる。何を読もうか迷っていると「そうだ、阿刀田 高を読もう」と考えている自

    分がいるのだ。僕の場合、一回に5〜6冊ほど本を買うのだが、このように大量に仕入れるときは必ず1

    冊阿刀田作品が入るようになってしまった。

    「筆力がある作家」とはこういう人のことを言うのだろうなとつくづく思う。

    それはどういうことか。

    この【猫を数えて】に収められている10の短編の初出は1989年〜1990年にかけてである。18

    年も前に描かれた恋物語。携帯電話もパソコンも広く普及していない時代の恋愛が色あせることはないの

    である。時代設定が違えばなんらかの違和感を感じるはずなのだが、携帯電話やメールがあればと考える

    隙間もないほど物語は完成されているのだ。隙間がないというよりは、入る余地がない。もっというな

    ら、そんな俗物なものは必要ないのだ。

    つまるところ、男の女の間にある心理を心憎いまでに熟知している、そういう洗練された感覚が読者を惹

    きつけるのではないだろうか。

    余計なことを考えずに完成された物語の中に吸い込まれていく。小説を読んでいてこれほど心地よいこと

    はない。だから「あとをひく」のだ。

    男と女が出会い、心が揺れ動きお互いが向き合う、またはひとつの決断を下す、その過程までの物語は短

    編ならではというべきか、その先に待ち受ける世界を読者自身が想像をふくらまし作り上げていく楽しさ

    がある。

    安心して読める、安心して楽しめる、そんな安定感を求めたいときに僕は阿刀田氏の本を開く。

    そしてそこで、奥深い新鮮さをひとつひとつ見つけ出すことができる。

    とくにお気に入りは飼い猫と過去の男を数え合わせて思い出していく表題作の「猫を数えて」。

    他にも「恋の確率」や「ドメスティックな女」「石とダイヤモンド」などが読んでいて、何気ない日常の

    中に心の柔らかい部分をくすぐられるような面白みがあって傑作であった。

  • 短編集。全10話。

    男女ものなんだけどひどくよかった。男女の心の機微を描くのがうますぎる♪感服の至りです。各話に散りばめられてる阿刀田さんの恋愛観が何とも言えず、よい。うん。こんな風に自分の心情を表現できるってすごいよね。

    『公平感覚』、『恋の確率』なんか特に好き。

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著者プロフィール

作家
1935年、東京生れ。早稲田大学文学部卒。国立国会図書館に勤務しながら執筆活動を続け、78年『冷蔵庫より愛をこめて』でデビュー。79年「来訪者」で日本推理作家協会賞、短編集『ナポレオン狂』で直木賞。95年『新トロイア物語』で吉川英治文学賞。日本ペンクラブ会長や文化庁文化審議会会長、山梨県立図書館長などを歴任。2018年、文化功労者。

「2019年 『私が作家になった理由』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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