タイトルマッチ (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061855434

作品紹介・あらすじ

元世界ジュニア・ウェルター級のチャンピオン最上永吉の息子が誘拐された。彼を破ったジャクソンに義弟が挑むタイトルマッチ2日前の事だった。犯人の要求は、“相手をノックアウトで倒せ。さもなくば子供の命はない”。犯人の狙いは何か!?意想外の脅迫に翻弄される捜査陣。ラストまで一気のノンストップ長編推理。

感想・レビュー・書評

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  • ☆3.5

    元世界ジュニア・ウェルター級チャンピオン最上永吉の生後十ヶ月の息子が誘拐された。
    時は最上の義弟である琴川三郎が挑むタイトルマッチの二日前。
    試合相手は最上を倒した現在チャンピオンのジャクソンで、ある意味因縁の相手とも言える。
    誘拐犯はその試合で三郎に"相手をノックアウトで倒せ。さもなくば子供の命はない"と要求してきたのだ。

    警察に知らせるなとは言われているが、なんとか連絡を取り捜査が開始される。
    警察の捜査と同時に、ボクシングのタイトルマッチを控えた三郎、そのセコンドにもついている最上の極限な心理状況がこちらの読む手を速めさせる。
    このプレッシャー絶対自分耐えられんわと思いつつ、事件に追い詰められてく警察の様子も追いつつ試合当日を迎える。

    この作品ですごかったのはボクシングの試合描写。
    めちゃくちゃ熱い。
    あまりテレビとかで試合見たことなかったけど、飛び散る汗や血まで見えるよう。
    正直、犯人とかうっちゃって試合の方に気がいってしまう自分がいた。
    それくらい熱い試合だったし、最後の二人のやり取りなんかとても爽やかで良かった。

  • 怪我をして現役を引退した元ジュニアウェルター級の世界チャンピオンの赤ん坊が誘拐された、犯人からの要求はお金ではなく、何と二日後に控えている同じジムの次期世界チャンプと期待されている甥のタイトルマッチ戦でのノックアウト勝を要求するものだった!

    相手に負けろという要求なら理解出来るが勝利しないと赤ん坊を殺すという、不思議な事件に関係者、警察は戸惑う、そんな中、甥で必勝が子供を救う手段だとプレッシャーが掛かり軽い練習中に何と右中指の付け根の骨にひびが入りノックアウトどころか出場自体が危ぶまれる事態となる。

    警察やジム関係者の協力により、犯人はチャンピオンに成れなかったボクサーが有力との線で捜査は進むが、試合迄の時間が無い為に並行して、怪我を隠したまま選手生命を掛けて試合に出場するという甥のサポートが慌ただしくなる。

    左だけで勝てるのか、しかも、その後の選手としては使い物にならない、だが出場しないと赤ん坊が殺される、、、
    悲壮な想いで元チャンピオプの叔父の子供の為に出場を決意する挑戦者、サポートするジム関係者、医師等、

    これ、ミステリーなんですが物語終盤の挑戦者の行動は感動します、読みながら頭の中でロッキーのBGMが聴こえてきます。

  • 元ボクシングチャンピオンの息子が誘拐された。
    犯人からの要求は、タイトルマッチを挑む義弟に
    ノックアウトで相手を倒す事。

    子供の命がかかっているわ、勝ち方は指定されてるわで
    プレッシャーが半端ないです。
    何が正解で、何がいけないのか分からない上に
    犯人が身近なのかどうかなのかも、という状態。
    心理状態に、気が狂いそうです。

    どんな些細なことでも、という所から
    それでも手掛かりを集める警察。
    時間もすぐそこ、なので、さらに焦るというか
    どうなるのか気になって仕方がありません。

    という状態でひた走り、な最後。
    なんかこう…あっけなかったような。

  • 2017年11冊目。
    読み始めてすぐに「また誘拐かよ!」と思ったけど^^;これまた今までの誘拐モノとは全く違う、そして相変わらず最後までハラハラドキドキさせてくれる作品だった。
    岡嶋二人は競馬、野球、ボクシングと随分幅広いなーと思ったら、徳山氏がプロボクサー目指してたとかでなるほど。
    競馬と違って、ボクシングは全く知識がなかったので言葉の意味とか分からないところもあったけど、素人にも分かるような書き方してくれてて助かった。試合中の描写にも何とかついていけた。
    とにかく前代未聞な犯人からの条件、どうやって捕まえるのか全然見えなかったけど、終わってみれば、やっぱりそうだったかー!と。
    でも爽やかなラスト、良かった!


    2022.08 再読
    このハラハラ感、やっぱたまらん!!

  • 一体いつ頃から「人さらいの岡嶋」と呼ばれるようになったのかは分かりませんが、初期作品である本作でも既にその片鱗がうかがえるように思います。
    誘拐を扱った作品の定番とも言える身代金受け渡しがなくても、面白い物語を作り出す手腕はさすがですね。
    特に終盤での、ボクシングの試合と犯人追跡の様子を交互に描く場面は、徐々に高まる緊迫感に手に汗を握るようでした。

  • うん。
    普通につまらない。
    結末も流れも。
    いまいちすぎる。

  • ボクシングの元世界チャンピオンの息子が誘拐され,義弟のタイトルマッチに「ノックアウトで勝て」と要求がくる。
    安定と実績の岡嶋二人の誘拐ものだが,今作は徳さん(井上じゃない方)風味が強く,ボクシングの緊迫感が良かった。
    オカルト一人路線も嫌いではないが,やはり岡嶋二人コンビの完成度は最高。

  • 犯人の要求はノックアウト勝ちすること。これは世界チャンピオンを狙うボクサーに対して無理な要求。なぜならノックアウト勝ちは狙ってできるものではないから。

    人質に対するプレッシャーの中で人間として無理な要求。つまり実現不可能な誘拐犯の要求の真の意味は?ということになる。ボクシングの知識が全くないのに、対戦相手を組むボクシングジム同士の駆け引きなど面白かった。

  • 面白かった。
    安易に勝たなくて良かった。

  • ボクシングの世界チャンピオンタイトルマッチをかけた試合の2日前、
    挑戦者の甥っ子が誘拐された!!
    犯人からの要求は
    「相手をノックアウトで倒せ。さもないと子どもの命はない」

    推理小説は("読むのが"ではなく、"推理しながら読むのが")苦手なので
    犯人はあいつだろう、ネタが分かったぞ!
    …的な楽しみ方が出来ません
    どこかで大どんでん返しがあるのだろう、、と思いながら読むのはとても楽しいです。

    誘拐事件のストーリーであるのに、
    (私は)怖い思いせず、ドンドン世界に引き込まれました。
    ミステリーとしても楽しんだつもりでいますが(笑)、
    ボクシングの世界を知ることが出来た楽しみも同じくらい。

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著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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