水域 (講談社文庫 し 32-5)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061856202

感想・レビュー・書評

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  • 椎名さんのSF三部作?ようやく全作品読了。三本の中で一番好きかも。未来への希望が満ち溢れている。

  • とにかく通学鞄が重かった

  • 約30年ぶりに再読しました。
    世界中が海になり、イカダでただ旅をするお話しという記憶しかなかった。

    いやあ、おもしろい!
    なんで世界は水没したのか、そしてこの水没した世界はどうなるのか、なんてまったく語られません。でも自分も水浸しになったような感覚、自分の作った舟のみの世界で、以外は”水”、けして「かなずち」ではないですが、想像しただけで恐怖です。

    ズーの結末は悲しかった・・・

  • 2022/08/26
     有名な映画「ウォーターワールド」にインスパイアを与えた、と噂もされた本書物。

     なぜか水没してしまった世界で、主人公「ハル」が航海を続ける話。沈んだシェラトン・ベイホテルでしばらく暮らし、事業を持ちかけられるも断る。死人船のところで知り合った男性に自分の船を奪われる・・。
     様々な経験をするのだが、本作品の一番の見所は、流木の集まった島で、「ズー」という名前の女性と出会い、命を救われ、その後二人は一緒に旅を続けるというくだりだ。二人は愛し合い、助け合って旅を続ける。
     このズーが当初出会ったときハルを敵だと思っていたのだが、だんだんと態度が軟化し、その後ハルに始終献身的な一面を見せる。例えば、流木島に大切なボウガンを置き忘れて船を出してしまったハルのところに、ズーがボウガンを背負って泳いでくるシーンなど、それを強く感じられた。

     しかし、浮島をもした船に潜んでいた賊に突然打たれてズーは死んでしまう。ボウガンで応戦し、賊と戦うハル。そこに七本鰭という不思議な魚が表れ、助けてくれる。七本鰭は、ハルの心に語りかけ、「このままどこまでも流れてゆく」ことを誓う。

     最終的にハルは砂地のある小さな島にたどり着き、そこで言葉の話せない少年と一緒に暮らす(ロビンソン・クルーソーみたい)。

     個人的には、アド・バードや武装島田倉庫のほうが好きではあるが、本書は椎名SFの中でも特に特徴のある作品であろう。

     やはり一番印象に残るのはズー。愛し合っていたズーを突如殺され、それを弔うシーンが印象的だ。

     あとの解説にもある通り、この物語には始まり(なぜ水没してしまったのか)もなければ終わり(この後世界はどうなる)もない。「プロセス・過程」だけが描かれている。流され、翻弄され続ける。それが、まさに私たちの人生そのものなのだ。その解説を読んで、あぁ、深いなぁと感動がよみがえってきた。

     

  • はじまりはいつも雨。

    ・・・みたいにすでに巻頭から水。
    いつからなのか、なぜなのかも分からない、
    水に覆われてしまっている世界。
    その状況の描写だけで展開していく物語。
    だからこそ刻々と過ぎる「今」が面白い冒険小説。
    ある意味、ドラマの"24"よりずっと高度な
    リアルタイム性を感じさせてくれる。

    終盤で行きつく場所は終着点ではなく、新たな旅へのスタート。そういう、冒険のワクワク感で終わるところが、椎名誠らしいな、と思う。

  • どこまでも水に覆われた近未来。
    主人公ハルは船に乗って孤独な生活を送っている。。

    日々水に潜む生物や賊に襲わる危険に晒せれ、愛する人との出会いと別れを経ても旅は続いていく。

    廃墟となったホテルや浮島など地に足をつけて生活できる場所を見つけても、ハルはそこにとどまることはない。

    楽しいことや悲しいことを経験しながらも水に流され、漂っていくしかない。

    椎名誠の生き方を垣間見れたような気がした。
    彼らしい物語。

  • なんだろう。
    好きです。
    いろいろ。

  • 夢物語みたいにずっと漂っているような話だった。
    雨を極端に恐れていることから、豪雨によってこの水浸しの世界に変貌したのではとも推測できるけども、一切世界の謎的なものには触れられず。
    次々でてくる不思議な名前の生物たちは不気味だけど、読み進むことに抵抗は感じない。
    むかし子供向けの何かで読んだ、木造の船の上で生活する海の民を思い出した。

  • 物語が始まる…
    いきなり全く知らない世界に置いていかれたような気持ちになる、そんな小説内独自の世界が広がっている。読み進めるうちに少しずつ世界のイメージが頭の中に出来上がってくる、そんな不思議な感覚が楽しめました。

  • 椎名誠のSF3部作の中では一番すきです。
    映画化すれば良いのに・・・と何度も思ったことを覚えています。

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著者プロフィール

1944年生まれ。作家。1988年「犬の系譜」で吉川英治文学新人賞、1990年「アド・バード」で日本SF大賞を受賞。著書に「ごんごんと風にころがる雲をみた。」「新宿遊牧民」「屋上の黄色いテント」「わしらは怪しい雑魚釣り隊」シリーズ、「そらをみてますないてます」「国境越え」など多数。また写真集に「ONCE UPON A TIME」、映画監督作品に「白い馬」などがある。

「2012年 『水の上で火が踊る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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