狸ビール (講談社文庫 い 66-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061856868

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  • 前半は可笑しく後半はしみじみな、狩猟エッセイ。伊藤さんは昭和30代から60年代に鳥撃ちを趣味にしていた。昔は多摩動物公園の裏手のあたりで鉄砲を撃てたのだ。今の日本では鹿、熊、猪あたりが駆除されているのは聞くが、野鳥を獲ってオーブンで丸焼きにできる(この描写は美味しそうだった)地域はどのあたりなんだろうか。

    一犬・二足・三鉄砲という言葉があるそうで、猟には犬が欠かせない。伊藤さんが共に鳥を捕まえていた犬たちのエピソードに、人間と犬の双方向の愛がぎちぎちにつまっていた。犬との絆が狩猟の良さの7割くらいを占めるのではないかという気がした。

    庄野潤三好きならおなじみの文芸評論家である河上徹太郎が、庄野さんの随筆と変わらない佇まいで登場する。

  • 狸とビールが好きな友達がいるのでタイトル買い。狩猟をテーマにしたエッセイ集。とても面白かった。猟に対する好奇心も満たしてくれるし、昭和の頃の狩猟シーン、仲間とのドタバタ、犬との友情、それらを軽やかなタッチで描いてて、クスリとするような中になかなか唸らされる深い洞察が沢山あった。面白いおっさんで一発で好きになった。

  • 思っていたのと違ってイマイチだった

  • たぬきをしこたま食べてビールをしこたま飲んだら胃袋のなかで狸ビールができて、というすっとぼけたエピソードのとっぱなの一章で、佐藤垢石の『たぬき汁』ならぬ狸ビールとなった、釣随筆ならぬ猟随筆が、だらだらと、うっとりと、英文学者で伊藤整の息子、というどう転んでも裕福なインテリの著者が経験した「消滅することになった」在野の狩猟文化といえるものへの哀惜と郷愁をかすかにたなびかせながら全編この調子で続いていく。「犬とキジと狸と鉄砲の話」は歴代の猟犬の愛しさでベスト犬本に分類。

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