晩年の子供 (講談社文庫)

  • 1578人登録
  • 3.58評価
    • (152)
    • (170)
    • (437)
    • (15)
    • (3)
  • 171レビュー
著者 : 山田詠美
  • 講談社 (1994年12月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061858299

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
山田 詠美
山田 詠美
山田 詠美
有効な右矢印 無効な右矢印

晩年の子供 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

  • 村上龍編(アンソロジー)『魔法の水』におさめられていた『桔梗』(山田詠美)が魅惑的すぎて、『桔梗』を探して、この地味な…表紙絵の文庫を格安で購入。


    やっぱりすごい作家さんだと思った。中高生時代、山田詠美作品を熱病に憑りつかれたように読み漁った時期があった。

    友人と貸し借りっこして「ねえねえ、ここに私たちが描かれているよー!」なんて言いながら夢中になった記憶がある。ちょうど『放課後の音符』とか『蝶々の纏足』『風葬の教室』とか。衝撃的だった覚えが今でもしっかり残っている。

    けどサッと熱病のブームは去ってしまい「もういいや。必要ないや」とか言って手にも取らなくなってしまった。(この作品は私が詠美さんから離れた頃の作品でした。離れていた時にこういう作品が出ていたなんて…。)


    久しぶりに手に取るきっかけになったのは、震災ものだと思って借りた『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』を読んでから、この人のすごさを再認識させられて、またちょびちょびと読み始める。ご縁を感じる。


    『晩年の子供』…本当に変なタイトルだ。けど読めば、ちびまる子ちゃん的内容にクスッと笑える。昔の自分がいたりして、身に覚えがあったりして懐かしく、そして切な哀しい雰囲気が何とも言えない。(注・全部がちびまる子ちゃんん的内容ではなく、バラエティに富んでいます。)


    「晩年の子供」「堤防」「花火」「桔梗」「海の方の子」「迷子」「蝉」「ひよこの眼」「あとがき」解説…中野翠さん(←かなりよい解説◎)


    綿矢りさが山田詠美さんに影響を受けたとか聞いたことがあるけど「ひよこの眼」あたり読めば、「ひらいて」(綿矢りさ)が自然に浮かんでくる。最後の「ひよこの眼」は悲しかった…。これで終わりなんて…少しぼー…としてしまった。


    同時に、色々な若手作家の基礎になっているんだなぁ。。。すごいや…と再認識させられました。

  • なんと評価したらよいか。
    いろんな場面で衝撃的な小説。
    少女から見た男と女の世界、死に対する思い、客観的に見る自分。
    その時代の少女時代の山田詠美の感性は、通常の人の何十倍も研ぎ澄まされていた。
    普通では見過し忘れていくものまでもが記憶されていた。
    全ての短編が心に残るが、「花火」は、特に記憶に残る物語。
    二十八で人を本当に愛し、終わりがこないように演技する、女としての能力(感性)。女性の謎。

    男と女、恋、愛、性について山田詠美は書き手として表現している。
    読んでいて飽きない。
    山田詠美、もっと読んでみたい。

  • 「晩年の子供」山田詠美◆狂犬病で死ぬまでの半年間、小川を流れていった桔梗の花、家に帰れない夕暮れ…天真爛漫無邪気ばかりが子供じゃない。大人から見ればくだらなくても、子供は子供の世界で、視点で、全力で絶望し、悟り、残酷さを発揮する。この感覚を大人になってから書ける山田さんはすごい。

  • 高校の教科書に載っていた「ヒヨコの眼」が忘れられなくて購入。
    読書から離れてしまった学生時代、また始めようというきっかけになったとても大切な作品です。

  • そういえば私も子供の頃は、私はどうして今ここにいて、ここにいる私を私と自覚して生きているんだろう?なんて、当時はそんな言葉では考えなかったけど、そのように言葉になかなかできない疑問を抱きつつ生きてきたなぁ、ということを思い出した。山田詠美さんのこの少女達を主人公にした短編集は、少女が抱く生と死に対する疑問とか恐れ、愛や性についての戸惑いなど、繊細に豊かに書き出していて共感と好感を抱くことができた。少女時代というのはすぐに過ぎ去ってしまうものだけれど、少女のような感性は一生なくしたくない、と思えた。

  • 山田詠美らしくもあり、またらしくない小説集。9篇の短篇から成るが、読者である私たちはそこで少女時代の彼女に会うことが出来る。9篇はいずれも1人称で語られるが、フィクションでありながらも主人公は基本的にはかつての作家本人だろう。その意味では、ある種ノスタルジックな小説でもある。誰しもが(男性の読者であっても)共感し得る要素をいずれの短篇もが持っていると言えるだろう。ただ、「晩年の子供」に典型的なように、最後は日常に収斂してしまい、文学の高みに飛翔しきれないのが残念だ。「ひよこの眼」には可能性があったのだが。

  • 山田詠美短編集

    現代文の教科書に「ひよこの眼」という短編が入っているということを教えて頂き、かつ貸して頂きました。
    読んでおもしろかったため、手元におきたい。So短編集,『晩年の子供』をGETしましたin book off。

    いくつかの短編がおもしろかったです。

    「晩年の子供」
    私の周囲は、濃密な他者からの愛で満たされていた。そして、幸福な人間は、そのことに気付くことがなく、そしてだからこそ幸福でいられるのだということに私は気付いた。幸福は、本来、無自覚の中にこそ存在するのだ。(中略)自分が愛に包まれていると自覚してしまった子供ほど、不幸なものがあるだろうか。
    →気付けいて不幸の理由=あ、私死ぬんだ。あ、愛されている。あ、私死ぬんだ。寂しい。不幸だ。。。この感覚、死にそうになったことはないけど、分かる気がする。

    「堤防」
    私はこういう運命なんだ、と思ってそれを易々と受け入れてしまう主人公。海に落ちる運命なんだ、鉄棒から落ちる運命なんだ。それに逆らうなんてばかばかしい。といって、落ちる。遅刻を避けるために走ることも、時間に逆らうことは運命に逆らうこととして走らなかった。
    しかし、最後に、自殺未遂の友達を心配するあまり、走った。そのときに、気付いた。未来は、自分の意思でいかようにもなるんだ。大事なものは気持ちなんだ、って。
    究極の運命論者の主人公が、運命を最後に否定できる設定は痛烈!分かりやすい!

    「花火」

    男と女って、まったく面倒だわ。体で魅かれあって、それに飽きた瞬間に、離れられない関係になる。体が離れられないなんていうのは、まったくの嘘。離れられなくなるのは心が結びつき始めるからよ。体も心も結びついて離れられないのは、だから一瞬なのよね。両立しない。すぐに消えちゃう。まるで花火みたいなものよ。素晴らしい瞬間だけどね。
    →ただただ、ステキな表現だ。脱帽。

    「海の方の子」
    ・良い人のふりをするには、一番、悪人なんだよ。
    ・哲夫くんは、もう、私にとって可哀想な人ではなくなっていたのです。
    →かわいそうと思う自文化絶対主義的な言葉を使わずに、そうでない世界を見せてくれる作品。最後のお別れのシーンは読んでてしゅんとなる青春さ。

    「蝉」
    うるさい、わずらわしいものとして蝉を引き裂き殺した。それと同様に、わずらわしいなという人を心の中で殺してきた。蝉が短く限られた時間で死んでいく存在であることを思うと、申し訳ないことをした気持ちになる。人に対しても同様。嫌いだったら無理して嫌うようなことをしなくてもいいや、っていう寛容な気持ちになったり、煩わしいと思っていたのは主観であり、ありがたく受け入れるようになる主人公。うむうむ。

    「ひよこの眼」
    青春的な話。高校生がこういう本で学ぶのうらやましい。
    ひよこの眼に、死を捉えているる姿を見出す洞察力、ステキですね。

  • 中学生の夏読にぜひ推薦していただきたい、名作だと思う

  • 大好きすぎる。何度読んだことか。
    山田詠美さんの子供を描いた小説はどれも瑞々しくてピュアで、何度でも読みたくなる。表現もくどくなくて、でもきれいで女性らしくて好き。

    高校の教科書にも載っていた「ひよこの眼」が一番お気に入り。わりと淡々と話が進むけれど、登場人物が魅力的だしすごく切ない。
    高校の授業では取り扱わなかったけれど。
    でも、それで良かったかな。
    「傍線Aで、彼はなぜこのような行動をしたか。1~4の中から1つ正しいものを選べ。」
    なんて言われたらせっかく素敵な物語なのに興ざめする!!

  • 子供の目で森羅万象をしっかりと捉えている。痛々しくも確かな作品。自分の幼少時代を振り返らずにはいられない作品。

  • ひよこの眼が読みたくて読んだ。何度か読んだことがあったが、何度読んでも最後の一文の余韻がすごい。「私は、こう尋ねてみたい衝動に駆られてしまい、慌てる。もしや、あなたは、死というものを見詰めているのではありませんか、と。」確かに、「うれしい悲鳴をげてくれ」の「顔色」に似ている。死相というものは本当に出ているのか、だとすればとても恐ろしい。でも、死相の存在を恋と勘違いしてしまい、最後の最後に気づいてしまう切なさが、ひよこの眼にはあって、それがとてもよかった。正確な文章は思い出せないが、最後の一文の余韻が印象的な小説でよかったのは、これ以外だとサガンの「悲しみよ、こんにちは」と江國香織の「デューク」だった。江國香織、山田詠美あたりの切ない短編集を書く女流作家の本は時々読みたくなる。サガンのブラームスはお好き(?)もいづれ読みたい。

  • きりっとしまった短篇集。
    あとがきによると、子どものころ過ごした地方都市で感じたことを書いているらしいが、こんな当時の切ない気持ちを書けるなんて・・・。
    「桔梗」「花火」にグッときました。

  • 「ひよこの眼」が読みたくて手に取りましたが、どれも素晴らしかった。何回でも読み返したい。
    少女のなかに眠る、少女が出会う、生と死と性愛をここまで美しく描くエイミーはやっぱりすごいな。自分が少女のときに出会いたかったと強く思う。

  • ちょっと変わった女の子のちょっと変わったエピソードの短編集。
    自分は男だからよく分からないけど、女の子にはこういった視点があるのかな。女の子の方が早熟だっていうし。
    「花火」は好きだな。「桔梗」のはかなさもいい。

  • 自分の考え方や、感じ方によく似ていて、心情を重ね合わせてよむことができた。とても面白い。

  • 何年も前に読みかけて放置してたのを手にとった。たまたま夏に。夏に読んで良かった。山田詠美の幼少期から思春期を主人公・テーマにした本はとてもいい。子供のダークな部分がピリッと入ってるのがいい。女の子はこうして男の子よりも早くオトナになってゆくんだなぁ。「花火」「桔梗」「海の方の子」「迷子」「ひよこの眼」が好きなお話し。

  • 子供ながらに死期を悟り、晩年を迎えてしまった、と思い込む少女のお話が表題作の短編集。

    何よりもまず、晩年の子供という言葉のチョイスが素晴らしいと思う。まるでMr.Childrenのような、正反対の言葉同士を掛け合わせたことで生まれる不思議な魅力を持った言葉に感じられてならない。

    表題作は表題作で好きだけれども、『海の方の子』が1番好きだと思った。これは高校生の頃、授業でもやった記憶がある。その頃からこの主人公・久美子の気持ちがよくわかると思っていた。偽善というものは、自分に酔っている人間がする行いでしかない。見抜ける人には見抜かれているものなんだよ、と、突き付けられる感じが、痛くて、だけども心地のいい作品。誰かにわかって欲しい、見抜いていて欲しいと感じる部分をどすっと突いてくれる秀作だと思っている。

  • 詠美さんの子供の話はよいなぁ。ほとんどが同級生よりも大人びた子供が主人公だけど、感情の無秩序な動きやら特有の感覚やらが、やっぱり子供なんだと感じさせて
    記憶ではなく感覚でなつかしさ切なさを思い出す。

  • 山田さんの作品でいちばん好き。深い。

  • とても、いい!

    「ひよこの眼」が入っているから購入したのだが、まず表題作「晩年の子供」から素敵さが溢れ出ている。

    飼い犬チロに噛まれたことで、遠くない未来に自分は狂犬病に罹って死ぬと悟ってしまう「私」。
    そんなこと起こり得る訳がないと知る私たち、大人の目を嘲笑うかのように、自身を苛み、晩年の子供を自称する彼女。
    それまで自分が生きてきた道筋に対し、一枚外側から見つめる視点を獲得する所がすごくいい。

    また、「堤防」も非常に面白かった。
    海に呼ばれた「私」が、その声に逆らうことなく落ちてからというもの、彼女の運命論者としての人生がスタートする。
    運命は決められているものなのに、そこに抗おうと奮闘する人間の姿に不思議を覚えてしまう、そんな素直な彼女が素敵なのだ。

    「蝉」では、少女が苛立ち紛れに破った蝉の腹が空洞だった、という場面にヒヤリとする。
    単純な残酷さだけではなく、そこには彼女なりの生命に対する衝撃が現れていて、その衝撃に私もしばし立ち止まってしまうのだ。

    山田詠美の描く子供は、鋭く面白い。
    子供「らしくない」ように見えて、私たちには皆、世界を裏切る力を普遍的に持ち合わせていたのだろうと思う。

    その眼差しの描き方が上手い!と感じた一冊。

  • 一人称だからか、主人公の思考の海を共に渡って往く感覚が心地よい。特に「晩年の子供」は思考回路にシンクロしすぎて、主人公が悟った時は、神の啓示にも思えた。
    また「蝉」が印象的で、子供のときにしか味わえない罪の意識や、まったくの被保護者であったときのあの幸福感が甦って切なくなった。

  • 電車で読むと泣く。

  • ちょっと気味の悪い小説です。
    わたしはもう読み返しはしないと思います。

  • 初めてこの方の作品を読みました。

全171件中 1 - 25件を表示

晩年の子供 (講談社文庫)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

晩年の子供 (講談社文庫)を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

晩年の子供 (講談社文庫)を本棚に「積読」で登録しているひと

晩年の子供 (講談社文庫)の作品紹介

メロンの温室、煙草の畑、広がるれんげ草の群れ。香り高い茶畑、墓場に向かう葬列、立ち並ぶ霜柱など。学校までの道のりに私が見た自然も人間もあまりにも印象的であった。心を痛めることも、喜びをわかち合あことも、予期しない時に体験してしまうのを、私はその頃知った。永遠の少女詠美の愛のグラフィティ。

晩年の子供 (講談社文庫)の単行本

晩年の子供 (講談社文庫)のKindle版

ツイートする