晩年の子供 (講談社文庫)

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著者 : 山田詠美
  • 講談社 (1994年12月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061858299

晩年の子供 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 村上龍編(アンソロジー)『魔法の水』におさめられていた『桔梗』(山田詠美)が魅惑的すぎて、『桔梗』を探して、この地味な…表紙絵の文庫を格安で購入。


    やっぱりすごい作家さんだと思った。中高生時代、山田詠美作品を熱病に憑りつかれたように読み漁った時期があった。

    友人と貸し借りっこして「ねえねえ、ここに私たちが描かれているよー!」なんて言いながら夢中になった記憶がある。ちょうど『放課後の音符』とか『蝶々の纏足』『風葬の教室』とか。衝撃的だった覚えが今でもしっかり残っている。

    けどサッと熱病のブームは去ってしまい「もういいや。必要ないや」とか言って手にも取らなくなってしまった。(この作品は私が詠美さんから離れた頃の作品でした。離れていた時にこういう作品が出ていたなんて…。)


    久しぶりに手に取るきっかけになったのは、震災ものだと思って借りた『明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち』を読んでから、この人のすごさを再認識させられて、またちょびちょびと読み始める。ご縁を感じる。


    『晩年の子供』…本当に変なタイトルだ。けど読めば、ちびまる子ちゃん的内容にクスッと笑える。昔の自分がいたりして、身に覚えがあったりして懐かしく、そして切な哀しい雰囲気が何とも言えない。(注・全部がちびまる子ちゃんん的内容ではなく、バラエティに富んでいます。)


    「晩年の子供」「堤防」「花火」「桔梗」「海の方の子」「迷子」「蝉」「ひよこの眼」「あとがき」解説…中野翠さん(←かなりよい解説◎)


    綿矢りさが山田詠美さんに影響を受けたとか聞いたことがあるけど「ひよこの眼」あたり読めば、「ひらいて」(綿矢りさ)が自然に浮かんでくる。最後の「ひよこの眼」は悲しかった…。これで終わりなんて…少しぼー…としてしまった。


    同時に、色々な若手作家の基礎になっているんだなぁ。。。すごいや…と再認識させられました。

  • なんと評価したらよいか。
    いろんな場面で衝撃的な小説。
    少女から見た男と女の世界、死に対する思い、客観的に見る自分。
    その時代の少女時代の山田詠美の感性は、通常の人の何十倍も研ぎ澄まされていた。
    普通では見過し忘れていくものまでもが記憶されていた。
    全ての短編が心に残るが、「花火」は、特に記憶に残る物語。
    二十八で人を本当に愛し、終わりがこないように演技する、女としての能力(感性)。女性の謎。

    男と女、恋、愛、性について山田詠美は書き手として表現している。
    読んでいて飽きない。
    山田詠美、もっと読んでみたい。

  • 「晩年の子供」山田詠美◆狂犬病で死ぬまでの半年間、小川を流れていった桔梗の花、家に帰れない夕暮れ…天真爛漫無邪気ばかりが子供じゃない。大人から見ればくだらなくても、子供は子供の世界で、視点で、全力で絶望し、悟り、残酷さを発揮する。この感覚を大人になってから書ける山田さんはすごい。

  • 高校の教科書に載っていた「ヒヨコの眼」が忘れられなくて購入。
    読書から離れてしまった学生時代、また始めようというきっかけになったとても大切な作品です。

  • そういえば私も子供の頃は、私はどうして今ここにいて、ここにいる私を私と自覚して生きているんだろう?なんて、当時はそんな言葉では考えなかったけど、そのように言葉になかなかできない疑問を抱きつつ生きてきたなぁ、ということを思い出した。山田詠美さんのこの少女達を主人公にした短編集は、少女が抱く生と死に対する疑問とか恐れ、愛や性についての戸惑いなど、繊細に豊かに書き出していて共感と好感を抱くことができた。少女時代というのはすぐに過ぎ去ってしまうものだけれど、少女のような感性は一生なくしたくない、と思えた。

  • 山田詠美らしくもあり、またらしくない小説集。9篇の短篇から成るが、読者である私たちはそこで少女時代の彼女に会うことが出来る。9篇はいずれも1人称で語られるが、フィクションでありながらも主人公は基本的にはかつての作家本人だろう。その意味では、ある種ノスタルジックな小説でもある。誰しもが(男性の読者であっても)共感し得る要素をいずれの短篇もが持っていると言えるだろう。ただ、「晩年の子供」に典型的なように、最後は日常に収斂してしまい、文学の高みに飛翔しきれないのが残念だ。「ひよこの眼」には可能性があったのだが。

  • 山田詠美短編集

    現代文の教科書に「ひよこの眼」という短編が入っているということを教えて頂き、かつ貸して頂きました。
    読んでおもしろかったため、手元におきたい。So短編集,『晩年の子供』をGETしましたin book off。

    いくつかの短編がおもしろかったです。

    「晩年の子供」
    私の周囲は、濃密な他者からの愛で満たされていた。そして、幸福な人間は、そのことに気付くことがなく、そしてだからこそ幸福でいられるのだということに私は気付いた。幸福は、本来、無自覚の中にこそ存在するのだ。(中略)自分が愛に包まれていると自覚してしまった子供ほど、不幸なものがあるだろうか。
    →気付けいて不幸の理由=あ、私死ぬんだ。あ、愛されている。あ、私死ぬんだ。寂しい。不幸だ。。。この感覚、死にそうになったことはないけど、分かる気がする。

    「堤防」
    私はこういう運命なんだ、と思ってそれを易々と受け入れてしまう主人公。海に落ちる運命なんだ、鉄棒から落ちる運命なんだ。それに逆らうなんてばかばかしい。といって、落ちる。遅刻を避けるために走ることも、時間に逆らうことは運命に逆らうこととして走らなかった。
    しかし、最後に、自殺未遂の友達を心配するあまり、走った。そのときに、気付いた。未来は、自分の意思でいかようにもなるんだ。大事なものは気持ちなんだ、って。
    究極の運命論者の主人公が、運命を最後に否定できる設定は痛烈!分かりやすい!

    「花火」

    男と女って、まったく面倒だわ。体で魅かれあって、それに飽きた瞬間に、離れられない関係になる。体が離れられないなんていうのは、まったくの嘘。離れられなくなるのは心が結びつき始めるからよ。体も心も結びついて離れられないのは、だから一瞬なのよね。両立しない。すぐに消えちゃう。まるで花火みたいなものよ。素晴らしい瞬間だけどね。
    →ただただ、ステキな表現だ。脱帽。

    「海の方の子」
    ・良い人のふりをするには、一番、悪人なんだよ。
    ・哲夫くんは、もう、私にとって可哀想な人ではなくなっていたのです。
    →かわいそうと思う自文化絶対主義的な言葉を使わずに、そうでない世界を見せてくれる作品。最後のお別れのシーンは読んでてしゅんとなる青春さ。

    「蝉」
    うるさい、わずらわしいものとして蝉を引き裂き殺した。それと同様に、わずらわしいなという人を心の中で殺してきた。蝉が短く限られた時間で死んでいく存在であることを思うと、申し訳ないことをした気持ちになる。人に対しても同様。嫌いだったら無理して嫌うようなことをしなくてもいいや、っていう寛容な気持ちになったり、煩わしいと思っていたのは主観であり、ありがたく受け入れるようになる主人公。うむうむ。

    「ひよこの眼」
    青春的な話。高校生がこういう本で学ぶのうらやましい。
    ひよこの眼に、死を捉えているる姿を見出す洞察力、ステキですね。

  • 中学生の夏読にぜひ推薦していただきたい、名作だと思う

  • 大好きすぎる。何度読んだことか。
    山田詠美さんの子供を描いた小説はどれも瑞々しくてピュアで、何度でも読みたくなる。表現もくどくなくて、でもきれいで女性らしくて好き。

    高校の教科書にも載っていた「ひよこの眼」が一番お気に入り。わりと淡々と話が進むけれど、登場人物が魅力的だしすごく切ない。
    高校の授業では取り扱わなかったけれど。
    でも、それで良かったかな。
    「傍線Aで、彼はなぜこのような行動をしたか。1~4の中から1つ正しいものを選べ。」
    なんて言われたらせっかく素敵な物語なのに興ざめする!!

  • この作家は太宰が好きなのかな?太宰に近い匂いがする、そして題材に合わせて文体等を滑らかに変化させることのできる力量も相当なもの。
    それでも本作はあんまり当方の好みじゃないかな、やっぱり山田詠美には若干の無理があろうと「吠えまくっている」テイストを求めてしまう。
    そして本作は技巧的な感じが強すぎるかなと。子供本人の視点のようでいて、結局は万能者たる作家の思考・動きが透けて見えるんですよ、この辺りが太宰的で当方あんまり好みじゃないいんですよね。
    まぁ無いものねだりです、まさに読者の勝手そのものです。

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晩年の子供 (講談社文庫)の作品紹介

メロンの温室、煙草の畑、広がるれんげ草の群れ。香り高い茶畑、墓場に向かう葬列、立ち並ぶ霜柱など。学校までの道のりに私が見た自然も人間もあまりにも印象的であった。心を痛めることも、喜びをわかち合あことも、予期しない時に体験してしまうのを、私はその頃知った。永遠の少女詠美の愛のグラフィティ。

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