花の降る午後 (講談社文庫)

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  • 講談社
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感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・本 (506ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061859319

感想・レビュー・書評

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  • 今日は神戸にまつわる小説が読みたくて、これを引っ張り出してきた。

    単行本になったのは、バブル真っ只中だったと思うが、確認すると、新聞に連載が始まったのがバブル前で、私が読んだ文庫本は、震災後に出た講談社版だった。

    単行本が出てすぐの89年に映画になっていて、神戸市の市政100年の記念映画か何かで、街中でよくポスターやCMを見たのを覚えている。

    正直、決して好きな話ではない。
    全体にリアリティがなくて、賭博や華僑、裏社会や誘拐事件などの設定が本当に陳腐に感じてしまう。また、主人公の未亡人典子が魅かれる絵描きの青年も、ただ「真っ直ぐ」なだけ。他の登場人物が濃いので、影が薄いように思う。

    当時の30代の、それも未亡人で、亡き夫の店を継いでいる女性だから、お店やそれに関わる人を何よりも大切にしていて、そう簡単に恋愛しないイメージなんだろうか。あれくらいただ「真っ直ぐ」な人で、それを彼の「若さ」で良いものとして、ちょっと強めに押し切られちゃっての恋愛のほうが、当時は自然だったのかな?いまの時代と違うなぁとも思う。

    ぞわぞわと居心地の悪いところも多いけど、懐かしいバブルの雰囲気や、柔らかめの関西弁に、自分の記憶の中の神戸に出会えるから、つい読んでしまう。

    また何年後かに引っ張り出して、読んでしまうんだろうな。
    長い付き合いになりますね。

  • 夫の死後、フランス料理店のマダムとなって店を切り盛りしている典子。
    自分が買った絵をきっかけに若い画家である雅道と恋に落ちる。
    そして店を乗っ取ろうとする陰謀。
    多くの話は仕事と恋と、どちらかを選ぶということが多いとら思うが、本作の主人公はどちらも手に入れようとする。
    善良な、一所懸命生きている人々が幸福にならなければ、この世の中で、小説なと読む値打ちは、きっとないでしょうから。
    著者の言葉である。

  • 伏線が回収しきれてない感は新聞連載だからか。悪役もイマイチ何がしたかったのかわからない感。それを差し引いても、主人公やそれを取り巻くキャラクターが魅力的で、一気に読んでしまった。
    主人公と歳が近いのもあるかもしれない。こんなしなやかな女になりたい。

  • 仕事ができる女性って素敵だ。

  • あらすじを読んだ時の期待値より読後は低い。ミステリ要素を含んだ37歳の未亡人フランス料理店オーナーとしての仕事と年下男との恋愛。後味もよくスッキリする。悪人も出てくるけど、いい人たちに囲まれている主人公。残念なのは主人公の恋人がイマイチつまらない男だということだ。金のある女には年下のヒモみたいで。

  • 本棚から見つけて久しぶりに再読。
    1995年の本なので、約20年振り?

    当時すごく面白かった記憶はあるのですが・・・
    だから残してたんだろうけど、今読むと少し地味かな。
    ミステリーとサスペンスと恋愛をMIXしたような
    作品なんだけど主人公があくまで表へ出ない分、
    どれをとってもなんか控え目で物足りない。

    中途半端ってわけでもないのだけど、
    やはり20年もたつと少し色あせたかな・・・。

  • ミステリのようでもあり恋愛小説のようでもあり・・・引き込まれた。典子を演じるとしたら宮沢りえかなあ、なんて思いながら読んでた。宮本輝作品は初めて読んだけど、ちょっとした心の動きとか、動作と心の中が違うこととか、女性心理がよく描かれてるなと思った。

  • 懐かしい

  • 若い未亡人が公私ともに充実した日々を手に入れるまでの話なのだが、サスペンスの要素あり、昼ドラ的な要素ありで先を読ませる。
    仕事面での才能や有能さは描かれず、主人公に予め備わっているたおやかな美しさのみで仕事でもプライベートでも男性を惹きつけ、それがすべて主人公に献身的に尽くしてくれる。
    主人公は悩んだりしているだけであまり中身の無い話だが、ドラマ化したらおもしろいと思う。

  • 宮本輝の描く女性像は自立している、
    初めて読んだ作品は『森のなかの海』だったが、『花の降る午後』の主人公もやはり自立していて、たくましかった。
    宮本輝の描く女性に憧れる。

    『森のなかの海』があまりにも(自分の中で)ヒットしていたので、『花の降る午後』はちょっとパンチが足りなかったように感じた。
    それでも、主人公には共感出来、面白かった。

    それにしても、宮本輝の紡ぎだす日本語はどうしてこんなに美しいのだろう。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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