話すことがたくさんあるの (世界の子どもライブラリー)

  • 講談社
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本棚登録 : 16
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061947115

感想・レビュー・書評

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  • てっきりノンフィクションだとばかり思っていた。それほど日記形式で語られる傷ついた少女の回復のさまは、心に迫ってきた。少女は両親と断絶する出来事を境に失語症に陥り、病院での回復も望めず、女子学校の寮での生活が始まる。原因となった出来事がどんなものだったのかは、徐々に少女の語りのなかで全容が掴め、スリリングで面白かった。親に憎まれていると心底思い、誰にも触れて欲しくない、何も感じたくないと思い、笑いも泣きもしなかった少女が級友との生活で戸惑い、怯え、徐々に彼女たちと心を交わすようになっていく。そして唐突に、自分が傷つく原因となった父を、自分は憎んでおらず、とても心配しているのだと気付く。親友キャシーや理解ある先生の助けを得て、最後に彼女は父へ会いに行く。一時間半ぐらいの読書の間で何回も涙と鼻水が止まらなくなり、三度読み返した。今まで知らなかったけれど、手にとって本当によかった。

  • ノンフィクションかと思ったらフィクションでとても驚いた。
    失語症に陥った少女が日記のなかに明かす胸のうち。
    親と戯れる級友に「騙されないで!みんな憎まれているのよ!」
    と叫びたくなるというその孤独があまりに痛々しい。
    親に憎まれてると思い、誰にも触れて欲しくなかった少女が
    徐々に級友たちと心を交わす手探りの成長が
    誕生日プレゼントを渡すという
    (彼女にとっての)快挙につながる場面、
    自分を傷つけた父を憎んでいないということに気付く場面は
    大泣きしてしまった。
    級友や頼れる先生の助けで
    父に会いに行くラストも涙なしでは読めない。
    少女の心の変遷がきめ細かで、心洗われるオススメの児童書。

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著者プロフィール

1950年メルボルン生まれ。シドニー大学で学び、職業を転々としたあと、28歳で教員生活へ。87年『話すことがたくさんあるの……』でデビュー。オーストラリア児童文学賞受賞。小説・エッセイ多数。

「2021年 『ウサギ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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