- Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061960053
作品紹介・あらすじ
向う三軒両隣ならぬ"向う二軒片隣"の4軒の家を舞台とし、現代の近郊の都市居住者の流れ出した日常を鋭く鮮かに描き出す。著者の最高傑作と評され、谷崎潤一郎賞も受賞した"現代文学"の秀作。
感想・レビュー・書評
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通路を挟んだ4軒1画の日常を12個に切り分けた連作形式だが、来客側の話など効果的に外からの視点が入り面白い。
“ドラマなきドラマ”と作者もあとがきで述べている通り特に構築的な展開はないが、当時の区画整理された住宅街の、干渉し合うねっとりした空気がよく描かれていて楽しめた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
谷崎潤一郎賞、解説:高橋英夫、作家案内:曾根博義
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まだ途中ですが・・・
おもちゃの部屋で出てくる隣のおじいちゃんも、カップルに道を聞いたおじいちゃんも、結構怖いんだが。薄気味悪いとはこのことや。 -
玄関から庭門までの距離。生ぬるく、安心と不安の入り混じる場所を行き来する浮遊感がここちよい。物(物体)の描かれ方が印象的。蛇口・ヌータ・紙おむつ。解説の高橋英夫が黒井のエッセイについていうには「薄気味悪いもの、謎めいたものと、晴れやかなもの、心安らかなものはわずかに皮膜一枚の差にすぎず、その一枚の薄さの中にドラマが秘められている」。どこにでもいるわたし。
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少し奇妙な家庭を描かせると黒井千次はすごくうまい。多少退屈な点を除いても。