拳銃と十五の短篇 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061960398

作品紹介・あらすじ

うわべは優雅な村人であった亡父の形見の六連発の拳銃。母の心臓に、雷に打たれたようにある六つの小さい深い穴。さりげない筆致と深く暖かな語りのうちに、生きていることの根に、静かな声援をおくる三浦哲郎の鮮やかな短篇連作の世界。野間文芸賞受賞。

感想・レビュー・書評

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  • 三浦哲郎はとても好きな作家の1人。
    正直特筆する様な文学表現も持たず、刺激のある物語を創る訳でもないが、どの作品も滲み出る様な喜びや哀しみがあり感情豊か。
    たまにゾッとする怖い話もあり飽きない短編集。

  • 一週間くらい前に読み終わりました。
    幸せと幸せの隙間に業を、その逆も、仕込むのうますぎ。緩急がよくとても読みやすいし読み応えもある。がいっぺんに読めない。ぐらい重い。貸してくれてありがとう。

  • なぜ三浦哲郎が短編の名手なのか?というよりも何故、三浦哲郎の作品はたったあれだけの描写でその世界を読者に伝えることができるのか?これで話が成り立ち、さらに味わいを出せるのがむしろ奇妙なくらいである。

  • この短編集だいすき。おまけに解説までいい。

    家族のこととその周辺のことが主に描かれている。
    三浦哲郎を心から好きと言えるきっかけとなった小説かもしれない。擦り切れるほど読みたいな。借りた本だから買わねば買わねば。

    内容のことについてひとつも書いていなくても、後でこの感想を読めばこの作品とどう触れ合ったかわかる気がする。おしまい。

  • エッセイに近いような短篇集。
    おそらく作者の家族環境に基づくなんともいえない雰囲気が漂っている。

    似たような感じの作品として以前読んだ堀江敏幸「雪沼とその周辺」が何の感慨も湧かなかったのに対して、本作品は感慨深い。
    この差は、いかにも作られたエピソードなのか、そうでないのかによると思う。

  • 太宰治の後にこれを読み、何かがすんなり入ってきた感じがした。

    何と言うのか、うまく書けないけれど。

    私は普段戦争の本ばかり読んでいて、死にたくない人たちがその意に反し、巨大な力の下で踏みつぶされる様にして死んでいくものばかりに接していたが、この本の死は、ひたひたとくっついてきていて、ふとした瞬間に人を絡め取っていく。
    本人にも気がつかない、これも見えざる何かの力。
    絡めとられず、自らそこにいく、呼ばれても踏みとどまって残った人間の諦めのような空気。
    ひさびさにぞっとする本を読んだ。

  • 再読、開始です。
    (2012年12月24日)

    卒業です。
    (2013年3月21日)

  • 三浦哲郎を初めて知ったのは、センター試験国語の問題文。「素顔」という作品が採られていて、それがなんかとても好きだった。大学の図書館で全集から探して全文読んだなあ。おばあちゃんの方言が味があってねえ。
    そのあと「忍ぶ川」とか「モーツァルト荘」「はなます物語」読みました。何度も何度も出てくる、盲目の姉や自死した兄の話が印象に残る。
    この短編集は本当にヴァラエティに富んでいて、うまいなあと思わせてくれる。

  • 何年か前に入手して一回読んだ筈だけど、ほとんど記憶がなくて、まるまる初読のような再読。
    お、おもしろい。決して派手ではなくて、作者の体験に近いんだろうなと思われるものもそうでないものもある。哀しい話からちょっと怖い話、おかしい話、ほほえましい話など、いろいろ。
    日常のちょっとしたエピソードもあれば、家族の忌まわしい血にまつわる、くらさを伴う短編もあり、ひとつひとつも良いし、まとめて読むとなんとも言えない気分になる。
    引き出しが多いなあ。有名な作家さんは得てしてそういうものなのだと思うけど、あらためて。

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著者プロフィール

三浦哲郎

一九三一(昭和六)年、青森県八戸市生まれ。早稲田大学文学部仏文科を卒業。在学中より井伏鱒二に師事した。五五年「十五歳の周囲」で新潮同人雑誌賞、六一年「忍ぶ川」で芥川賞、七六年『拳銃と十五の短篇』で野間文芸賞、八三年『少年讃歌』で日本文学大賞、八五年『白夜を旅する人々』で大佛次郎賞、九一年『みちづれ』で伊藤整文学賞を受賞。短篇小説の名手として知られ、優れた短篇作品に贈られる川端康成文学賞を、九〇年に「じねんじょ」、九五年に「みのむし」で二度にわたり受賞。他の著作に『ユタとふしぎな仲間たち』『おろおろ草紙』『三浦哲郎自選全集』(全十三巻)などがある。二〇一〇(平成二十二)年死去。

「2020年 『盆土産と十七の短篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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