桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)

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著者 : 坂口安吾
制作 : 川村 湊 
  • 講談社 (1989年4月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (454ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061960428

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桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)の感想・レビュー・書評

  • 安吾は大好きな作家です。十年振りに読み返しましたが、やっぱり今読んでもいいなぁ。文体とか、ほんとに好みなんだなぁ。講談社のこの文庫に収録されているのは逸品揃いで、結局全て再読。『二流の人』エグいエピソードと間のいいカタカナ使いで安吾らしい戦国歴史絵巻。講談を聞いてるみたいで、するする読めて、ワクワクしちゃう。表題作と『夜長姫と耳男』は寓話的ゆえ、ついついこれらの物語が何を意味しているのか、などと分析してしまいそうになるけれど、それはつまらない。もう、そのまま、読むだけ。世界に浸るだけでいたい。

  • 坂口安吾が好きすぎて、冷静に判断できないのだけど
    この短編集はとにかくすべてが美しい。

    安吾らしい冷徹さと温かみの混在した、
    謎めいた、それでいてとことんリアルな世界観。
    表題作はとにかく一読の価値ありです。

  • 桜の花の満開はあまりに美しい。そして、あまりに美しいものには、不気味がある。ふとした瞬間に冷静では居られなくなりそうな何かが。

    「花の下は涯がないからだよ」

    何度も読み返す、大好きな作品。

  • 気持ち悪さと美しさが交錯していて更に不気味さを引き立たせている

  • 短編が何作か載っているけど、やっぱり書名にもなってる話が一番好き。桜の花の美しさと残酷さ、明暗の対比、頭の中に広がる色。日本人だから書けた、そんな気がします。暗黒日本昔話という感じ。

  • 要求をすることにより、自分の毎日(人生)を幸せに形作ってくれていた妻、しかし、徐々にその際限のない要求の繰り返される生活に退屈、そして嫌気を感じ始める自分。
    桜の幻影に惑わされ、男が見ていた夢なのか、はたまた誰かの夢なのか。
    虚空。
    ラストの余韻は最高である。

  • 毎年桜の時季になると、必ずこの本を開きます。

    昔はこの作品に恐怖や畏怖の念を強く感じていましたが、
    今は結末の印象によって寧ろ清々しく、
    浄化されてゆく感覚を抱いています。

    読後、夢幻能に似た神聖さを感じ、
    「嗚呼、序破急の次には○が訪れるのか。」
    なぞという思考が沸き起こりました。
     (○は敢えて申し上げませんが、
      結末付近で繰り返される単語のうちの一文字です)
    左様に考えると、この作品を能楽の演目にしたら
    中々趣があるのではないでしょうか。

    散りもせず、無くなりもせず、唯あるべき処に還ったとすれば。
    桜の満開のその後に、哀しみを覚える理はないと感じるのです。

  • 審美社から出ている福田庄助さんの絵本が珠玉!!

  • 芥川の「藪の中」みたいですな。

  • 坂口安吾の代表作。

    桜に対する価値観が変わるかもしれない。
    残酷で美しい御伽噺。

  • 桜に狂わされるなんて経験はしたことがないなぁ。北海道はタイミングを逃すと、満開の桜を見られずに終えてしまう一年がザラにあるので。

    どこが始まりで、どこが終わりなのか、はたまた最初から何もなかったのか不思議なお話でした。

    坂口安吾の小説を読みたくて、なるべく短めのものを探していた時に見つけた作品です。

  • 何度も読み返す数少ない作品。
    昔話のような物語なのだが、
    表現がとても美しい。
    題名は日本文学史に残る傑作。

  • この世でいちばん好きな本です。
    (今のところ…)
    満開の桜や、花吹雪の中女を背負って歩いていく男が目に浮かんできます。
    桜の頃になると読みたくなって、読み終えるとなんとなく寂しくなって、しばらくボーっとしてしまいます。

  • 怖かった…。
    想像以上!

    ただ最後…本当に美しかった。
    ぞっとするほど。

    ひそひそと花が降ります。

    ひそひそ…がすごくいい。

  • 青空文庫版で読んだ。

    桜の描写が「満開」「花びら」一辺倒。坂口安吾さんて、ものをじっくり見る作家じゃないらしい。

    「満開」としか書いてないのに美しい小説と言われるのは、満開の桜を見たことがある読者が頭の中で思い描いてる桜がきれいだから。
    それは作者の表現力のなすところではないからね。

  • 安吾の言葉から、血の力がプツプツと泡立ちながら吹きだしている。凄まじい叙情性の記録映画の中に、入り込んでしまったような錯覚。
    表題作「桜の森の満開の下」に至っては、活字が次第に文字言語でさえなくなってしまうような耽美性、危険な力が充満していた。眠る前に読んだ時、桜の舞い散る嵐の中で死を夢想しながら佇んでいる、現実と夢との境界が崩壊したような生々しい夢を見た。

  • 満開の桜を見ると、何故かいつも胸がざわつきます。
    音もなく静かに散り、静かに地面を埋めてゆく優しい淡いピンク色には「綺麗」なだけではない、正体不明の怖さがあります。
    不安定な気持ちになるのに惹かれてしまう。そんな魅力を桜に感じるのは、この本に書かれている出来事が、かつて本当にあったからではないだろうか、と思ってしまいます。
    美しく、怖い、なのに目をそらすことが出来ない。そんなお話です。

  • 知る限り、もっとも美しい物語ではないかと思う。

    満開の桜が楽しく感じられるようになったのは、花見が流行るようになったごく最近のことである、と作者は言う。桜から人間を取り払うと恐ろしい、と。そんなところに一人でいたら気がふれてしまう、と。
    桜は、孤独と狂気に満ちている。

    ときどき読み返す作品だが、読むたびに感じ方が変わる。
    女は美しく残酷であり、男はそんな女にどこまでも尽くして縋りつく。己をおかしいと、愚かしいと思いながらも。それは作者が男性であるゆえの、自己憐憫的描写ではないだろうか、と思っていた。
    だが、どの世界いつの時代でも女と男の本質はこうなのかもしれない。僅かずつ愛の経験を積むほどに、この作品の美しさが胸を貫くようになる。
    女がいなくなった世界には、美しい哀しみだけがあとに残る。匂いのしない死の世界のように。

  • 一番好きなお話なので改めて購入。桜の下には何もない。

  • この作品に出会ったのは10年以上前なのですが、最初に読んだ時の印象は今も鮮明に残っています。

    満開の桜は、美しく、怖しい。

    一気に咲いて、数日足らずで散ってしまう短い命の儚さ。

    桜を妖艶な美しさ、怖さととらえた安吾の表現に、日本人なら共感する人は多いのではないでしょうか。


    物語の中では、主人公の山賊が次々に人を殺していくという残酷なお話なのですが、美しい人妻に魅せられて、操られる山賊に、不思議と残酷さを感じないのです。

    美しさの前には、残酷なことも残酷とは思えなくしてしまう。

    だから美しい満開の桜の奥には、とても残酷なものが隠されているのではないか・・・
    その残酷なものを秘めた美しさに人は魅了されるのではないか。

    わずか30ページの短編ですが、非常に完成度の高い洗練された文章で綴られており、いつまでも心に残る作品です。

  • 「桜の森の満開の下」と「夜長姫と耳男」は桜の季節になるとワンセットで何度でも読み返してしまう、特別に好きな二作。最初に読んだのは夢の遊民社が「贋作・桜の森の満開の下」を演った頃で、たぶんそのタイミングがあったからこの文庫が出たのだったと思う。遊民社の桜の森~は私も青年館で92年に観ました。

    上記二作は別格として、信心深い狸がお坊さんになる「閑山」や天女の羽衣を返したくない「紫大納言」などはシニカルだけどファンタスティックな日本昔話の趣で好きでした。後半は歴史ものが多く、「二流の人」は黒田如水、「梟雄」は斉藤道三、「家康」「道鏡」はタイトル通り。いずれも大河ドラマなどでおなじみの戦国武将らが、個性豊かな憎めないキャラクターとして描かれていて、たまにクスっと笑ってしまう。比較的現代ものの「小さな部屋」「禅僧」は、夜長姫や桜の森の女房に通じる、男を破滅させるタイプの妖婦が印象的。

    ※収録作品
    「小さな部屋」「禅僧」「閑山」「紫大納言」「露の答」「桜の森の満開の下」「土の中からの話」「二流の人」「家康」「道鏡」「夜長姫と耳男」「梟雄」「花咲ける石」

  • 活字本の良さって読んで想像して読み進めて情報が足されてまた想像して、現実じゃありえない光景が見えるところにもあると思うんだけど、それを上手いこと不気味にやらしてくれるのって良いよね。読んだのは表題作のみ。青空文庫で。

  • 『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』という近頃流行りのタイトルを見て、梶井基次郎の『桜の樹の下には』と、この『桜の森の満開の下』がベースになっているのではないかと思い読んでみた。とてもよかった。安吾も『堕落論』だけじゃないんだな。満開の桜の木の下では皆おかしくなってしまう、というか、花も盛りの一瞬には生命を燃やし狂ったようになるというような、生き物のSaGaを感じた。『櫻子さんの…』は多分読まない。このタイトルを書いてみたかっただけだろうから。

  • 青空文庫で表題作のみ読了。
    タイトルからくるイメージと実際の内容が全然違う。桜の美しさと怖ろしさの対比がすごい。

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桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)の作品紹介

なぜ、それが"物語・歴史"だったのだろうか-。おのれの胸にある磊塊を、全き孤独の奥底で果然と破砕し、みずからがみずから火をおこし、みずからの光を掲げる。人生的・文学的苦闘の中から、凛然として屹立する、"大いなる野性"坂口安吾の"物語・歴史小説世界"。

桜の森の満開の下 (講談社文芸文庫)のKindle版

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