意味という病 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (346ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061960565

作品紹介・あらすじ

日本のシェークスピア論のパラダイムを批判し、明晰な論理と思考の下に、新しい"マクベス"像を描く、柄谷行人の初期秀発エッセイ「マクベス論」をはじめ、秀作『マルクスその可能性の中心』につながら、その明視力の圧倒的展開を収録。

感想・レビュー・書評

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  • 〇以下引用

    それでも意味は?
    意味・・ほら雪がつてゐます。どんな意味があります?


    一切の「意味」を拒絶した男、どんな形であれ自己を意味づけることをやめた男がここにいる。

    彼等は偶然で無意味な「白痴のたわ言」の世界、「生命の川」のかれはてたグロテスクな世界を見出す。そして、そこから脱出しようとして行為に踏み切り、自分を必然化(運命化)しようとする。


    ヴァレリーは、近代生活はわれわれが肉体的努力をせずにすむようにするとともに。知的努力もせずにすむようにする傾向をもっていると書いている。--自然が失われただけではなく、「知性」もまた失われている


    美しくみせるための一行があってもならぬ、美は特に意識して成された所からは生まれてこない。どうしても書かねばならぬこと、書く必要のあること、ただそのやむべからざる必要にのみ応じて、書きつくさねばならぬ。一も、二も百も、終始ただ「必要」のみ。(安吾)

    やむべからざる実質がもとの所の独自の形態が、美を生むのだ(安吾)

  • p.1989/10/11

  • [ 内容 ]
    日本のシェークスピア論のパラダイムを批判し、明晰な論理と思考の下に、新しい“マクベス”像を描く、柄谷行人の初期秀発エッセイ「マクベス論」をはじめ、秀作『マルクスその可能性の中心』につながら、その明視力の圧倒的展開を収録。

    [ 目次 ]
    マクベス論―意味に憑かれた人間
    夢の世界―島尾敏雄と庄野潤三
    私小説の両義性―志賀直哉と嘉村礒多
    歴史と自然―鴎外の歴史小説
    寒山拾得考
    薮の中
    小説の方法的懐疑
    人間的なもの
    平常な場所での文学
    場所と経験
    生きた時間の回復
    時代との結びつき
    淋しい「昭和の精神」
    ものと概念
    自作の変更について

    [ 問題提起 ]


    [ 結論 ]


    [ コメント ]


    [ 読了した日 ]

  • 129

  •  むちゃくちゃおもしろかったんだけど、これについて語る言葉を持っていないので困る。とりあえず他の著作も読んでみようと思った。「批評」そのものを食わず嫌いしていたんだけど、これはちょっと失敗だった。まさかこんなにおもしろいなんて思いもしなかった。

     馬鹿な感想を洩らすと、知識としては知っていたけど、古井由吉が褒められている文章を読んで、なんか嬉しくなった。まったく鼻持ちならないファン意識やなぁと自分でも思う。

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著者プロフィール

1941年兵庫県生まれ。東京大学経済学部卒業。同大学大学院英文学修士課程修了。法政大学教授、近畿大学教授、コロンビア大学客員教授を歴任。1991年から2002年まで季刊誌『批評空間』を編集。著書に『ニュー・アソシエーショニスト宣言』(作品社 2021)、『世界史の構造』(岩波現代文庫 2015)、『トランスクリティーク』(岩波現代文庫 2010)他多数。

「2022年 『談 no.123』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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