絵空ごと・百鬼の会 (講談社文芸文庫)

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著者 : 吉田健一
  • 講談社 (1991年6月3日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061961333

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絵空ごと・百鬼の会 (講談社文芸文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 吉田健一の小説は、基本的に登場人物が美味しいお酒を飲んで気の置けない友人と気の利いた会話を楽しんでいるだけで、とくに波乱万丈な事件も起こらず、トラブルを起こしたり感情的になってストーリーを引っ掻き回したりする登場人物もおらず、たまたま日常の一部を切り取っただけ、というテイでそのまま終わる印象ですが「絵空ごと」もまさにそれでした。

    すでにあくせく働かなくても余裕で食べていける立場の優雅なおじさまたちが、偽物の絵を集めたり、偽物の英国紳士を量産したり(笑)しつつ、みんなで集まって酒飲んで音楽聞いて絵眺めて過ごせる共有の豪邸があるといいよね、と一人が言い出したら早速実行に移しちゃうという、庶民にとってはまさにそれこそが「絵空ごと」のような生活。なんというか、事件に巻き込まれない有閑倶楽部おじさまバージョンとでもいいましょうか(笑)。

    倉橋由美子の『夢の浮橋』でジェーン・オースティンの小説について「不愉快きわまる人物は出てこない」「未成熟の人物が出てこない」 「下のクラスの人間が出てこない」と評されていましたが、吉田健一の小説にも同じことが言えるのかもしれません。

    同時収録の短編「百鬼の会」は、やっぱり優雅なおじさまが美女だらけの素敵なバーをみつけてお酒を飲んで楽しむのだけれど、どうやら美女たちの正体は・・・というような話で、個人的にはこちらのほうが面白かったです。

  • 酒を飲み、旨いものを食べ、気の合う友達同士で洒落た話をする……と、まぁ、内容を説明するとそれだけなんだけども、登場人物の会話が鋭い文明(世相)批評にも読める。
    しかしまぁ、教訓を得ようなんて無粋なことは考えず、ただゆっくりと作中の時間を楽しむのが一番。

  • 「絵空ごと」吉田健一らしい、小説。ゆるく、知的すぎてそして展開が長い。
    しかしこの雰囲気は捨てがたく、何度も味わいたいものとなるのでおそらく死ぬまでにあと3回は読むと思う。
    店屋ものは、いつも届けてもらう店まで自分で歩いていって頼むものなんだと良き昭和時代も満載である。
    「百鬼の会」これは立派な怪談小説。酒を飲みに行ったサロンで、これは変だと思ってすたこら逃げたら、店のボーイがそのままバイオリンを弾きながら追いかけてきたシーンなどは笑えるけど怖い。
    いずれの小説も、やはり「酒」ありき。素晴らしいです。

  • 『絵空ごと』は単行本があるので感想はそちらに書く。解説の高橋英夫の「充たされた永遠の夕暮」と『百鬼の会』を読む。戦後の焼け野原の残る東京でカクテルパーティーの後で、ホストである文化役人のスミス氏と赤い軒灯がある家中が美人で一杯になっているバーで飲む話です。短編のファンタジーです。

  • 最初から最後まで酔っ払っている, 夢のような小説である. 読む前と読んだ後とで何も変わらない. そういう意味では吉田健一の他の小説と変わりはないが, 「絵空ごと」は少しばかりくどすぎる. 40年前の, 舞台としては多分もっと前の, 吉田健一の酩酊を今, どう味わえばいいだろうか.

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絵空ごと・百鬼の会 (講談社文芸文庫)の作品紹介

一風変った或る男が、同じ酒場の定連客らと語らって、自分ら好みで理想のサロンをもちたいと、遂には、18世紀英国風の至れり尽せりの洋館を作る仕儀となる。芳醇な酒と程よい会話と。時の流れは静かに開かれてゆく。虚実皮膜の間に夢かの如くに現れる"至福の体験"の喜びを絶妙な文体で綴った長篇『絵空ごと』。短篇『百鬼の会』。奔放にして優雅、独特の想像力漲る吉田健一の真髄2篇。

絵空ごと・百鬼の会 (講談社文芸文庫)はこんな本です

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