- Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
- / ISBN・EAN: 9784061963863
作品紹介・あらすじ
重い血の記憶がよどむ南紀の風土のなかで原始的な本性に衝き動かされるままに荒々しい生をいとなむ男の姿を、緊迫感溢れる文体で描く短篇集。若い女との気ままで怠惰な生活をなじられ、衝動的に両親を殺すに到る表題作の他、「荒くれ」「水の家」「路地」「雲山」「荒神」の六篇を収録。
感想・レビュー・書評
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どの話の主人公もみな荒くれもので、シンプルな思考形態を持って生きている人物として書かれているな、と思った。シンプルであるが故に閉塞感を感じる生活が生々しく描かれている。そしてシンプルであるが故のストレートな衝動、感情の昂りのエネルギーは凄まじく、鬼気迫るものを感じるシーンがいくつもあった。困窮し、抜き差しならない状況下での愛憎入り混じる夫婦間のやり取りの中で、荒くれた人物像の奥に潜む繊細な心の揺らぎが垣間見える瞬間は哀しくもあり、美しいと感じた。
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「荒くれ」「水の家」あたりは、登場人物の名前こそ違えどいつもの中上健次(=私小説)。表題作と「雲山」「荒神」は殺人なり犯罪なりが絡んでくるあたりが新鮮(というと語弊があるけれど)に感じました。
とくに「荒神」は、無意味に無差別に犯罪を重ねていく男の話で、基本殺人といえば「家族殺し」が多い中上作品の中で、他人を無差別に手にかけるパターンは珍しかったかも。
※収録作品
「蛇淫」「荒くれ」「水の家」「路地」「雲山」「荒神」 -
健次の暴力はいつも切ない。大きく手をあげて、振り下ろした先にあるのが人肌であることにすら、触れ合いとしての喜び、恥ずかしさを想起させてしまう。
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2.4
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文学
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読み終わりました
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艶めかしい題名。
上田秋成に興味を持ったのもこの頃かしら。
そして泉鏡花もまた。
2002年6月16日読了