| ブログで紹介する» |
|
Check |
|
|
この作品からのみんなの引用
-
暁寒き陣門の柱に、楊修はすでに首となって梟(か)けられていた。昨夜の才人も、今朝は鳥の餌に供えられている。「ああ、儚(はかな)い哉」さすが武骨の将たちも、慄然として、曹操の冷虐な感情におぞ毛をふるい、また楊修の才を悼んだ。実に、楊修の一代は、才をもって彩られていた。しかしその豊かな才も、あまりに曹操の才能をも超えて、常に曹操をして、怖れしめていたため、かえって、彼の忌み憎むところとなっていた。
― 465ページ -
「われかつて、汝を殺さざるに、かえって、汝われを殺さんと謀(はか)る。この結果は、いまに思い知らしてやる」と、いった。そして、武士に命じて、鞭や棒で乱打を加えたから、皇后はもだえ苦しみながら遂に息絶えてしまった。その悲鳴や曹操の罵る声は、外殿の廊まで聞えてきたほどだった。帝はお髪(ぐし)をつかみ、身を慄(ふる)わせて、天へ叫び、地へ昏絶された。「こんなことが、天日の下(もと)に、あっていいものか、この地上は、人間の世か、獣の世か」
― 298ページ -
「―家に慈母があっても、厳父なく、家の衰えみだれるを見る子は悲しむ。家に厳父あって、慈母は陰にひそみ、わがままや放埓(ほうらつ)ができなくとも、家訓よく行われ、家栄えるときは、その子らみな楽しむ。……一国の政法も、一家の家訓も、まず似たようなものではあるまいか」
― 273ページ
みんなの感想・レビュー・書評
吉川三国志の第6巻。
龐統が仕官するところから、劉備が漢中王に就くあたりまで。
赤壁も終わり劉備が蜀の地を手に入れたことにより、いよいよ三国時代の到来。
しかし、ここら辺から大国同士の小競り合いが続くこととなり物語は少しだれる。
それにしても、恩を仇で返すこと数知れず、遂には一線を頑なに守っていた劉姓の同族にまで牙を剥いた劉備玄徳の仁の心とは一体・・・。
後半に入り、曹操が優秀な家臣を次々と死に追いやったりなど魅力的な人物が少しずつ老い衰えて変化していくのは寂しい部分だ。
■書名 書名:三国志(6)(吉川英治歴史時代文庫 38) 著者:吉川 英治 ■概要 赤壁の大敗で、曹操は没落。かわって玄徳は蜀を得て、魏・呉・蜀 三国の争覇はますます熾烈に――。呉の周瑜、蜀の孔明、両智将の 間には激しい謀略の闘いが演じられていた。孫権の妹弓腰姫(きゅ うようき)と玄徳との政略結婚をめぐる両者両様の思惑。最後に笑 う者は、孫権か、玄徳か?周瑜か、孔明か?... 続きを読む »
吉川先生の代表作。随分前の作品ながら文体は読みやすくて改めて感心。
この巻では、臥龍鳳雛の両軍師や五虎将軍が勢揃いするなど
立ち後れていた蜀もようやく、って感じで体制が整った様子。
現実的には蜀はこのあたりがピークのひとつなのかな、と。
個人的には、龐統って、人間的にどうかと思うよ。
あっ、歴史、ではなくて、個人的にはこのカテゴリーとしてます。
多少の停滞はあれ、とんとん拍子で蜀を制覇していく劉備である。文武ともに優れた部下も揃ってきた。 以下に興味深かった点を引用したい。 ・「帰らなければ、彼が信義を失うので、予の仁愛の主義に傷はつかない」 →劉備の益州攻めの際、生け捕った敵方の冷苞を解放した際に、魏延から「あいつ、きっと帰ってきませんぞ」と危ぶまれた時に返した言葉である。なるほど、これは現代にも通用しそうだ。尽くし... 続きを読む »
iPod touchのせいで、全く進まなかった三国志六巻、やっと読了。曹操がかなりイヤーなヤツになってきた。残り後二冊、サクサク読もう。
「聞説、曹丞相は、文を読んでは、孔孟の道も明らかにし得ず、武を以ては、孫呉の域にいたらず、要するに、文武のどちらも中途半端で、ただ取柄は、覇道強権を徹底的にやりきる信念だけであると」
自分の認識もこれに近い。
だから曹操はダメなのだ、ということではなく、だからこそ曹操は偉大なのだ、という意味で。
曹操の偉大さを讃えんがために文武の才を称揚するパターンが多いけど、ちがうと思うんだよね。
文武の才がとやかくじゃなく、何よりもその覇道を貫こうとする信念こそが何よりも彼の強みなんじゃないのかなあ。
いたずらに文武の才を褒めそやすのは大事なところを損なってる気がしてならない。
劉備玄徳、未だ領土を持たず。
しかし、彼の周りには人が集まる。
よく言うには、
曹操は天の時を、孫権は地の利を、そして劉備は人の和を得たと。
集う、人たちの物語。
曹操、勢いが衰える一方なんですね。黄忠の活躍も面白かったです。年齢を重ねると、判断力は鈍ってくるもん、ということがわかりました。もちろん、劉備、孔明は、活躍中です。関羽のキャラクターも、以前に増して、面白くなってきました。この人は、ちょっと偏屈っぽいですね^^
羅貫中の三國演義をもとにした小説の名作である。古風ゆかしく美しい文章は読みやすく、物語の世界に読者を引きずり込む力がもの凄い。私は学生の時に読んだが、大げさでなく寝食を忘れるようにして1巻から8巻までを一気に読んでしまった。
なお第6巻は、劉備が漢中王になるところまで。
いよいよ水を得て龍の如く律動をはじめた劉備。
魏、蜀、呉と三国がたち、ついに役者は揃った。
三雄がようやく並び立つにあたり、それぞれの環境や性格が、若かりし頃とはずいぶん変わってしまったことを思い知らされる。
若い頃は無茶苦茶で残忍な振る舞いをしていたけれど、年齢を経てからは臣下を大切にする情の篤い面も見せていた曹操だったが、5巻あたりから酷く我が儘で堪え性のない独裁者へと変わってしまったなぁと思っていたら、この6巻でも、諫言を呈した臣下を誅したり、まるで愚かな主君の見本だ。
彼の唯我独尊、天衣無縫な振る舞いは痛快なところもあったぶん、残念だ。
それにしても、さすが雄大な歴史絵巻である三国志。
人も国も老いて変わっていく様が、あまりにも滔々としていて、気がつけば物語の中の世界はずいぶん歳月が経っているのだ。

ついに蜀を手中に収める。馬超が加わり、役者がそろってきた。





