アルゴナウティカ (講談社文芸文庫)

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制作 : 岡 道男  岡 道男 
  • 講談社 (1997年8月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (408ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061975811

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アルゴナウティカ (講談社文芸文庫)の感想・レビュー・書評

  • トロイア戦争に先行する、有名なアルゴ探索船のお話。個人的には一行が旅の途中で立ち寄った島に守護神のように存在するタロスという人造人間(?)の存在が印象的でした。なんかこう、ちょっと巨神兵ぽいイメージ。

  •  アポロニウスによる神々と勇者達の織りなす雄大な叙事詩。平易な邦訳のおかげで大変読みやすい。岡氏は本作の唯一の翻訳者であるという。
     主人公イアソンは、非情な王によってアルゴ船に乗って遙かコルキスにある金羊皮を取ってくるよう命じられる。英雄達は強靱な膂力と精神力で困難に満ちた冒険の旅を進めていく。彼らは確かに神や英雄の子孫であるが、決して神通力の持ち主ではない。目の前に広がる困難に時に嘆き、時に打ちのめされそうになりながら、自ら前途を開いていく。しかし、どうしても打破不能な状況に陥ったときは、ヘラを始めとする神々が助力を与えるのである。ある意味、ひとと神々の協力による冒険であると言えよう。
     成立は紀元前3世紀であるが、古さを感じないのは、イアソンを始め、登場人物達の心の葛藤が詳細に語られることにある。イアソンはよく悩み、嘆く。そのたびに神々や仲間に助けられ、前進を諦めない。また、イアソンは旅の仲間達のリーダー的存在であるが、絶対的主導者ではない。取るべき方策を仲間達の前で披露して同意を得ようとしたり、イアソンのやり方に不満を抱く仲間がいたり、と群像劇の要素も色濃い。
     本作の見せ場のひとつは、イアソンに難題を押しつけるコルキス王の娘メデイアとの恋であろう。それは女神の画策によってエロスの矢で引き起こされたものであるが、乙女メデイアの心の葛藤、愛に苦しむイアソンの悩みは初々しく微笑ましい。メデイアをコルキス王に奪われぬために、旅の途中で婚姻を結ぶことになったことをふたりとも不本意に思い、故郷の父の館で婚礼をあげたかったと悔やむところなど、純粋な若者達の心理は今も変わらぬと印象深い。
     コルキス王と娘メデイア、難題に挑む若者イアソンの構図は、根の国に住まう素戔嗚尊と娘須世理比売、彼女の助力で難題を克服する大穴牟遅命の構図とよく似ている。もっとも、素戔嗚尊が手に手を取って逃げる若者達を言祝ぐのに対し、コルキス王はしつこいほど娘を取り戻そうとするのであるが。
     神々の思惑と、人々のそれとがイアソン一行を中心に複雑に絡み合い、地中海を巡るアルゴ船の冒険譚。そして古くて新しい英雄の物語。一読して損はないと思う。
     

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アルゴナウティカ (講談社文芸文庫)の作品紹介

黒海の東の果て、コルキスの地の樫の巨木に張られた全羊毛を持ち帰るように王から命じられた英雄イアソンはアルゴ船の一行と大航海に乗り出した-古代ギリシアの神々や英雄が織りなす雄大な叙事詩の唯一の邦訳。

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