白鯨 モービィ・ディック 下 (講談社文芸文庫)

  • 講談社
3.84
  • (11)
  • (7)
  • (10)
  • (3)
  • (0)
本棚登録 : 143
感想 : 11
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (672ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061982178

作品紹介・あらすじ

燃え立つ太陽と薄明の月影、輝く天空と無限の深海の闇、苛酷な人間の運命を暗示するかのような大海原の真っ只中で起った捕鯨船ピークオッド号乗員らの惨劇。巨鯨モービィ・ディックに敗れゆく片脚の老船長エイハブ。禍々しくも、また神々しい巨大な一頭の白鯨をめぐって展開される雄大な海洋冒険小説の趣ある古典的名作を新たな読みやすい訳にしたオリジナル文庫。全二冊。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 前半はクラシックな別訳で読んでちんぷんかんぷんだったので、後半は評判の良い千石訳で。意味が分かるようになったらイシュメールやエイハブの異様さがはっきり伝わってきて、へんてこな小説だな!とあきれながら読んだ。

    ときおりはさまる意味深な文章のおかげで、海も船も鯨も何か別のことをさしていそうで無心に読めない。好みとしては読み終わった後ぼんやり何か頭に浮かぶくらいがいいのだけれど。それでも読み続けてしまったのは、だんだんエイハブが気の毒になってきて、見届けなくては!という気持ちになったから。彼は白鯨に否応もなく憑りつかれてしまったひとで、もう自分ではどうしようもなかったんだと思った。そしてエイハブのオブセッションに殉じた船員たち。あの絆の強さってなんなんだろう。最後、追跡の三章は別人が書いてるみたいに文章がタイトで面白かった。

    イシュメールの視点やフェデラー、ピップの存在など、どういう意味があるのか気になる箇所がいくつかある。この隙間の多さが本作を古典の名作にしているのだろう。長すぎて振り返れないのが残念。

  • アメリカ文学を代表する一作として、そして世界十大文学の一つとして数え上げられる本作を、何の予備知識もなく読んだらどうなるでしょうか。

    おそらく、「意味プー」であろうことを容易に想像できます。

    映画『ジョーズ』の元型であるモービィ・ディックはあまり登場しないし、やたらと書誌学的な知識や情報に基づいて語るイシュメールは延々とクジラについて瞑想するし・・・。とにかく「小説」や「物語」として読もうとすると、苦痛そのものでしょう。

    しかし考えてみると、著作権についても現在ほどしっかり定まっていなく、小説の書き方についても現在ほど定まってなかった時代だからこそ、ここまで恐ろしく奔放に書けたのでしょう。

    ですから読者は、現在から遠く離れた当時の文学空間を想像することが必要です。そして、その想像力によってこそ作者の創造力をうかがい知ることができるのであり、クジラを語ることを通じてセカイを語ろうとする作者の途方もない企画力をうかがい知ることができるのです。

  • エイハブ船長が最後まで好きになれなかった。
    特に航海に大事な四分儀を壊してしまったときに、
    なんて酷い船長だと感じた。
    エイハブ船長が一方的に復讐心を燃やしている相手である白鯨には同情してしまう。
    シンプルな文章が好みの自分としては、ゴテゴテに飾り立てた文章は読みづらく辛抱して完読にいたった。

  • 待ちに待った白鯨とのシーンは最後わずか100ページにも満たず。そして結末は、上巻の裏表紙に書いてやがるもんだから、ネタバレの中、読了。

  • じつに様々なことが書かれている。鯨に関する事と捕鯨に関する事。個々の事柄に向けられた強固な眼差しは、時に普遍性を帯びるとおもう。この本の中で描かれる膨大な細部と比喩に圧倒され、一見してとても大きなものに向き合ってる気にさせられるけど、例え話のようなものではなく読みたい。

  • 平戸などを舞台とした作品です。

  • わたしが読んだのは河出書房の全集シリーズだったのですが、この最新版の訳はなかなか評判がいいようなので、また読んでみたいです。(河出の訳は…)(…)

全11件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1819年-1891年。ニューヨークに生まれる。13歳の時に父親を亡くして学校を辞め、様々な職を経験。22歳の時に捕鯨船に乗り、4年ほど海を放浪。その間、マルケサス諸島でタイピー族に捕らわれるなど、その後の作品に影響を及ぼす体験をする。27歳で処女作『タイピー』を発表。以降、精力的に作品を発表するものの、生存中には評価を受けず、ニューヨークの税関で職を得ていた。享年72歳。生誕100年を期して再評価されるようになり、遺作『ビリー・バッド』を含む『メルヴィル著作集全16巻』が刊行され、アメリカ文学の巨匠として知られる存在となった。

「2012年 『タイピー 南海の愛すべき食人族たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ハーマン・メルヴィルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×