墓碑銘 (講談社文芸文庫)

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  • 講談社
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784061984905

感想・レビュー・書評

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  • 自分に中立的な歴史的知識欠けているからか、戦争文学は苦手だ。
    ただこの墓碑銘は戦争を題材にしながらも、自己同一性を問うのが主題となっている。
    「戦争反対」とか「平和」なんていう面倒な主張はない。
    多少日本人の描かれ方が気になるかもしれないが、これはこの世代の作家のデフォルト設定とも言えるのであまり気にしないのがいいと思う。
    日米のハーフとして生まれたトミイ・アンダーソンこと浜仲富夫が日本兵になり、自己の存在を見つめる物語。
    浜仲自身の心境は非常に分かり易く描かれていると思ったのだが、小説としては凡庸。
    映画の話も後々大きな意味を持ってくるかと思いきや、あっさりと使われただけで終わってしまったし、他にも濃厚に描写してもいい場面が多くあったのに、軽く流しているような気がしてならなかった。
    朝丸・沢村・森・・・など印象深いキャラクターも徐々に存在感をなくてしまい、ラストも何だか駆足で終わってしまう。
    また裏テーマとして異父妹との近親愛があるのだが、いまいち上手く物語に絡めていなかった。
    やり方次第では大長編になったであろうが、この作品としては消化不良。
    ただ何でも「寓話」というタイトルで続編があるらしく、それは非常に気になる。
    近親愛の結末など消化不良に終わった部分が読みたいと素直に思える作品ではあった。

  • 主人公のものの考え方が小島先生そのままみたいで、あれーと思いつついつもの通り読み進む

  • 『寓話』を読んでいると、また読みたくなる。『寓話』を読まなくても、きっとまた読みたくなる。何回目で面白さが減るだろうか、なんとなく想像もつかないような、小島信夫のすごさににやりとする。

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著者プロフィール

小島信夫
一九一五年、岐阜県生まれ。東京大学文学部英文学科卒業。五五年、『アメリカン・スクール』で芥川賞、六五年、『抱擁家族』で谷崎潤一郎賞、七二年、『私の作家評伝』で芸術選奨文部大臣賞、八一年、『私の作家遍歴』で日本文学大賞、八二年、『別れる理由』で野間文芸賞、九八年、『うるわしき日々』で読売文学賞を受賞。他に『菅野満子の手紙』『原石鼎』『こよなく愛した』『寓話』『残光』など多数。二〇〇六年十月没。

「2023年 『小説作法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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