白秋

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 32
感想 : 1
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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062054188

感想・レビュー・書評

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  •  こ、これはないでしょ!と思わず叫んでしまった。
     鎌倉の情緒たっぷりで花の描写も素晴らしく、人物の息遣いまでも
    耳に残る素晴らしい作品…と堪能しながら読み進めていく中、
    一人の人物が崩壊の道をたどっていく。
     彼女の名は志津。重病の主人公、真也を献身的に支えているうちに、
    自らの人生を棒に振ってしまう女性である。著者の悪意に満ち満ちた
    キャラ設定に、憎しみを抱く実在モデルがいるのでは?などと考えてしまった。
     殺人まで画策する歪んだ嫉妬心に、信じられない…と思うと同時に、
    その心情が理解可能な自らの心に、恐怖をおぼえるのである。
    若い二人には何の罪もないのに、なぜか彼らに対し苦い感情が
    わいてくる。自分が彼らと同年代なら、間違いなく彼らの清らかさに
    感激すると思う。
     今の私の心には、狂気のまま置き去りにされた志津がまとわりついて離れない。
     ホラーよりも怖い読後感だ。
     落胆して★3つにしたかったが、夢中で読んだのを思い返し★1つ追加。

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著者プロフィール

1950年山口県生まれ。’81年短編小説「皐月」でデビュー。’91年『乳房』で吉川英治文学新人賞、’92年『受け月』で直木賞、’94年『機関車先生』で柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で吉川英治文学賞、’14年『ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞する。’16年紫綬褒章を受章。著書に『三年坂』『白秋』『海峡』『春雷』『岬へ』『駅までの道をおしえて』『ぼくのボールが君に届けば』『いねむり先生』、『琥珀の夢 小説 鳥井信治郎』『いとまの雪 新説忠臣蔵・ひとりの家老の生涯』、エッセイ集『大人のカタチを語ろう』「大人の流儀」シリーズなどがある。

「2023年 『ミチクサ先生(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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