わが手に拳銃を

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著者 : 高村薫
  • 講談社 (1992年3月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062057486

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わが手に拳銃をの感想・レビュー・書評

  • 大陸の人間であるリ・オウと日本人の一彰の二人の長い年月をこえた絆の話です。日本で拳銃を削る一彰と、大陸で壮大な夢を抱くリ・オウ。
    「心配するな。あんたが餓死する前に、俺が会いにいく。俺が右でも左でもない人間である証拠を、見せに行くさ」とか、リ・オウかっこよすぎだ…。おお、リ・オウ。このやろう。という感じです。全体的に名場面、名台詞だらけで読んでいて楽しいです。
    『李歐』も好きですが、私はこちらのリ・オウと一彰の方が好きです。こちらの方が、二人の関係が男同士の対等な関係という感じがしました。終わり方もとても好き。

  • 幼い頃に母親を銃事件で亡くした青年と
    闇社会を暗躍する美貌の殺し屋リ・オウ
    四十丁の密輸銃をきっかけに絡み出した
    二つの人生についての物語


    「李歐」の原型になった作品とあったので
    こっちを先に読んでみました

    マフィアだゲリラだ国家スパイだ人民軍だシンジケートだCIAだ暴力団だ公安だ
    大阪の街工場を舞台にして描かれるのは
    赤い国と青い国を中心としたアジア全域のドス黒い闇社会についての話で
    もちろん高村さん特有の硬筆と胃もたれするような緻密な描写でもって物語はずしりと重く血生臭いのですが
    合間合間に差し込まれる杜甫の中国詩や桜吹雪の美しさ
    台詞回しのカラリとした晴朗さ
    そして何を置いてもリ・オウというキャラクターの突き抜けた存在感が他のどの作品にもない不思議な幸福感を全体に与えていて
    難解と評される高村作品の中では読みやすい一冊だと思います

    身に纏わりつく全てをこそぎ捨てて能動的に自分を破滅させようとする主人公

    世渡り用の上等な皮を着込みながら世界に中指を立てている他者
    決して混ざり合うことはないのにどこか根底では同じ闇を共有している
    そんな背中合わせのつがいのような独特の人間関係が高村さんの本には一貫して描かれているように感じます
    初期の作品なので文章は若干生硬く体温が高めですが
    題材ごとに専門家を驚かせるあの偏執的な取材力は変わらずです
    黄金~が爆弾の手引き書だとしたら
    こちらはさながら銃改造の手引き書のようなマニアックさ
    また女性は刺身のツマ扱いが常な高村作品には珍しく女性キャラが魅力的に描かれていたのも印象的でした


    目の奥に妖しい炎を抱え
    美しい中国の舞いを踊り
    仙人と芸術家と商人とギャングを全部足して割ったような飄々さで自由を求める男リ・オウ

    「Hey」「純度は4ナインよ」「……十割にしろよ」

    などなど 四方八方オッサン祭りが鉄則の高村ワールドでは
    彼の挙動の全てが風のように軽やかで
    なんだか青年誌に一人ぶち込まれた少年漫画のキャラクターのような浮き世離れ感さえありました
    海賊映画みたいなエピローグの美しさも酷く印象的だった一冊

  • 一気に読めて、ドキドキします。
    背景とか拳銃や機械の描写の細かすぎるところは頭に入ってこない部分も多いが、理解できなくてもそういうところがハードボイルドな感じでいい。
    読み終わるころにはリ・オウは頭の中で姿形声質まで出来上がっています(笑)
    一彰、歪みながらもすごく理解できます。
    よかった

    色々と意見のある「李歐」も読んでみます。

  • 全体の大まかな流れは『李歐』と同じ。ただ違うエピソードが盛り込まれていたり、ディテールに関してはかなり異なる部分もある。特に終盤からエンディングにかけては全く違うストーリーになっているので、『李歐』とは違う作品として十分楽しめる内容になっている。
    比較してみてみるとメインキャラクターである李歐の描き方がやはり見劣りするなあという印象が強い。『李歐』ではもっと艶のある描写になっていて、ミステリアスな計り知れない感じに惹かれたのだけれど。ストーリー展開が李歐その人を引き立てているような側面もあったので、今作はその点で劣ってる気がする。あとは大陸が十分に描かれていない。これは李歐のルーツでもあるし、大陸の熱みたいなのもが作品を引き立てている節があったので、その辺りも物足りない。
    李歐自体が好きなので、新しいエピソードを知るという意味では楽しめたけど、作品全体の完成度という点では断然『李歐』という結論。

  •  書くためには物すごく専門知識のいる小説だと思う。きっと沢山文献を読んだり、綿密な取材をしたんだと思う。髙村薫が寡作な理由は、こんな小説ばかり書いているからなんだろうな。すげえよ。
     この小説には拳銃に絡んだ様々な組織が登場する。暴力団もいれば、政治的な組織もある。組織の論理は冷酷に人間を握りつぶす。この小説の登場人物たちは、拳銃を手に、そんな組織の理論に精一杯、血を流しながら抵抗する。その姿が何とも美しい。

  • 『李歐』の原作? どちらもおもしろいです

  • 『李歐』よりこちらの方が好きでした。
    自分がどストレートな男子だと自覚できて良かった読書体験。

    映画『カリートの道』をもっと素直にスカッとさせたようなラストが大好きです。

  • 好きな系統の本だったが、周辺描写が細かく、主人公の心情などを感じる妨げになっていた。もう少しスムーズに読めると良かったのだけれど。

  • 李歐が好きすぎて文庫になった時と内容が大分変ってるという話を聞き、ネットで探して購入しました。ハードカバーで二段組みという恐ろしい!と思ったのですがスラスラ読めました。李歐よりも全体的にサラっとした感じで、分かりやすいのですが、李歐の方が魅力的に感じました。

  • (再掲)壮大な友情の物語。次々と関係者が亡くなる中で若い二人だけは・・・

  • 男臭くハラハラする息苦しい世界を堪能。リ・オウの背景があまり描かれてないのが残念!もっと知りたい!しかし男性は魅力に溢れ血が通い丁寧に語られる割に、あまり出てこないんだけど女性が実態も魅力もないのが少し気になる。

  • 終了日:2010・5・18、今回はカタルシスとか体温に反映される程の身体的な反応よりなにより、痛い程の動悸。
    脈打つ素早さよりその重苦しい痛さ。
    とにかく苦しくて痛かった。
    てか、 李歐 が物凄いラブストーリーだったことを再認識。
    こっちのが確実にスリルというか疾走感が強かった。

    でも李歐を先に読んだからこそのこの読後の感傷。
    結果としては李歐が先でよかったかも。これ、なんかハードル高くない?(苦笑)
    ああ、でもとにかく最後の数十頁は李歐同様、没頭してしまった。我を忘れるくらい。

  • 『李歐』と比較のため読了。
    読んでみて全く別の作品という感じがしてこれはこれですごく新鮮だった。
    李歐の圧倒的なまでのキレのある台詞みたいなものはなかったけれど、一彰も李歐もどことなく未熟さというか若さというかそういう部分が感じられてこれはこれで面白かった。
    展開もこちらの方がよりハードボイルドな雰囲気は満載。
    カマキリ云々という話はあまり実感として伴わない部分があるので、一彰の心情に近いといえば近いのだろうか…。
    話の勢いでいうとこちらの方が好み。
    人物の描写に関しては文庫の『李歐』の方が好みという感じでした。

  • シンジケートとか公安とか赤とか青とか、物語の背景がよく分からず、十割楽しめていません。リオウとカズアキに萌えるばっかりで。膝枕、、、(o_ _)o

  • いままで読んだ著者の作品の中でもどきどきはらはらする回数が比較的多かった。それだけ、出てくるひとたちの関係性が一瞬でがらっと変わったり、裏切りに裏切りを重ねたりと、目まぐるしい思いをした。
    そしてリ・オウだけども、登場シーンから色気満載だった。妖しくて、こんな人間に魅せられたら自滅するだろうなあと思えるひとだったけど、なんだか心を掴んで離してくれない。一彰といっしょにどんどん引き寄せられていっている気分。言葉もよくよく考えてみると、くっさいなあと思えるんだけど、リ・オウならきっと似合うんでしょうね。
    こう、強烈に惹かれ合う人間を見ていると、なんだかうらやましくもなるよね。身を滅ぼすとわかっていても、そうやって深い深いところの衝動は抑えきれないってことかな。
    そしてあいかわらずアルコールを摂取するシーンの色っぽさ、たまらんな。

    (349P)

  • 1993年、第14回吉川英治文学新人賞候補。

  • 講談社文庫『李歐』の原版。ドラマ版李歐を観たのを期に、ようやく読みました。
    全然違います、李歐とは。凄いな…というのが読了後の感想。
    吉田一彰とリ・オウという同じ名前を名乗りながら、過去も、人格も、熱の熱さも、判断も、生き様も、先を視る視線も、ことごとく、違う。
    それでいて、まったく別人なのではなく、どこかでアノ“吉田一彰”とアノ“李歐”に繋がっているんだなーと根元で認めさせられる。

    私はどちらかといわれれば、「李歐」の方が好きです。リ・オウはともかく、一彰が。
    一彰は、善悪とか必要性とか理由とか策略とか熱情とか、そういうものに徹底的にこだわらない人だと思うのです。というか、そういうものを自分のものとして認識しない人。だからあれ程までに“李歐”に熱望されたのだと思う。
    周囲の思惑に徹底的に翻弄されながら、翻弄されることを自分の表皮一つ外側に感じて、ただ櫻と李歐の夢を身体の一部にしていた彼の柔らかな無関心さに、私は惹かれます。
    悪に抱かれ、これが俺だと叫ぶ人間らしさよりも、ただ“李歐”の夢だけを15年間見続けるという非現実を生き続けた透明さを持つ一彰が私のなかにはすでにできてしまっているのでしょう。

  • 「李歐」の改稿前の本。

    拳銃に魅せられた青年が裏社会に片足を突っ込み、
    リ・オウとの一目惚れを昇華する話でした。

    単純に、こっちの一彰とリ・オウの方がすきです。
    「李歐」はスケールが壮大の上に李歐が神がかりすぎな感じがしてついていけなかったので、ふたりの若々しさというか綱渡りっぽい感じが危なげだけど爽快でよかったです。
    そんなに際どいシーンはなくても、いちいち台詞が際どくて素敵でした。

    拳銃や機械の描写はやっぱりめんどくさかったけども、
    これのメインは一目惚れの話だと思えばいつもより読みやすかった気がします。

    高村さんの本は、毎回読後は疲労感とかやるせない気分にさせられますが、この本は解放感というか前向きな気分になれるのではないかと思います。

  • 「李歐」は、この作品を下敷きに文庫版で書き下ろしにされた作品。「李歐」の方が、たしかに作品としては完成されているけれども、これはこれで、ひとつの読み応えのある作品になっている。


    登場人物はもちろん、ストーリーの骨組みは「李歐」と同じ。ただ「李歐」に比べると、登場人物たちがより感情的で、その分、より浅はか。ストーリーのつながりが苦しいところもある。作者にしてみれば、ちょっと作品を書き直したくなるのが、なんとなくわかるような感じだ。でもそういう部分が逆にこの作品を、裏切りや陰謀が横行しても明るく、華やかな「青春小説」といったような趣きにしている気がする。


    しかし高村薫、やっぱり女性の描き方は下手なのかもしれない。主人公の吉田一彰が、敦子という女性に長年惹かれる意味なり背景なりがよく理解できない。だからこそ、「李歐」では、敦子の露出は格段に減ったのかもしれない。まあもしかしたら、この作品を書いた頃が下手で、今では上手なのかもしれないが。

  • 李歐の前身となる作品。
    面影はあるものの全く別の作品として楽しめる。

  • おお、リ・オウ。このやろう。
    ラストの一彰救出シーンが好き。

  • 吉川英治文学新人賞候補(1993/14回)
    「李歐」に全面改稿改題

  • 未読。「李謳」を先に読んでいるので、どのくらい加筆修正されているのか比較してみたい。

  • 面白いなーと思った作品でした。
    じわじわ来る感じが好きです。

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