わが手に拳銃を

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062057486

感想・レビュー・書評

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  • 拳銃に翻弄された一彰のストーリー
    大学生活から、段々と道を踏み外し
    ていくのが、読んでいて胸が苦しく
    なるようだった。
    雰囲気でいうと、「神の火」に似た
    世界観。

  • 全体の大まかな流れは『李歐』と同じ。ただ違うエピソードが盛り込まれていたり、ディテールに関してはかなり異なる部分もある。特に終盤からエンディングにかけては全く違うストーリーになっているので、『李歐』とは違う作品として十分楽しめる内容になっている。
    比較してみてみるとメインキャラクターである李歐の描き方がやはり見劣りするなあという印象が強い。『李歐』ではもっと艶のある描写になっていて、ミステリアスな計り知れない感じに惹かれたのだけれど。ストーリー展開が李歐その人を引き立てているような側面もあったので、今作はその点で劣ってる気がする。あとは大陸が十分に描かれていない。これは李歐のルーツでもあるし、大陸の熱みたいなのもが作品を引き立てている節があったので、その辺りも物足りない。
    李歐自体が好きなので、新しいエピソードを知るという意味では楽しめたけど、作品全体の完成度という点では断然『李歐』という結論。

  •  書くためには物すごく専門知識のいる小説だと思う。きっと沢山文献を読んだり、綿密な取材をしたんだと思う。髙村薫が寡作な理由は、こんな小説ばかり書いているからなんだろうな。すげえよ。
     この小説には拳銃に絡んだ様々な組織が登場する。暴力団もいれば、政治的な組織もある。組織の論理は冷酷に人間を握りつぶす。この小説の登場人物たちは、拳銃を手に、そんな組織の理論に精一杯、血を流しながら抵抗する。その姿が何とも美しい。

  • 中国とかがが絡んでスパイがどうとか言いだすと、まぁ面倒というかよく分からんことになるわけで。隠れ蓑とかみんなで作ってるうちに誰も実態が分かんなくなってるんじゃないか。
    そんなわけだから、登場人物の関係性とか把握しようとしても意味がなくて、主人公と田丸さんのなんだかよく分からんこだわりっていうか頑固っていうか面倒くさいおっさんの生き様をフンフン言いながら読むべし。

  • 『李歐』よりこちらの方が好きでした。
    自分がどストレートな男子だと自覚できて良かった読書体験。

    映画『カリートの道』をもっと素直にスカッとさせたようなラストが大好きです。

  • いままで読んだ著者の作品の中でもどきどきはらはらする回数が比較的多かった。それだけ、出てくるひとたちの関係性が一瞬でがらっと変わったり、裏切りに裏切りを重ねたりと、目まぐるしい思いをした。
    そしてリ・オウだけども、登場シーンから色気満載だった。妖しくて、こんな人間に魅せられたら自滅するだろうなあと思えるひとだったけど、なんだか心を掴んで離してくれない。一彰といっしょにどんどん引き寄せられていっている気分。言葉もよくよく考えてみると、くっさいなあと思えるんだけど、リ・オウならきっと似合うんでしょうね。
    こう、強烈に惹かれ合う人間を見ていると、なんだかうらやましくもなるよね。身を滅ぼすとわかっていても、そうやって深い深いところの衝動は抑えきれないってことかな。
    そしてあいかわらずアルコールを摂取するシーンの色っぽさ、たまらんな。

    (349P)

  • 「李歐」は、この作品を下敷きに文庫版で書き下ろしにされた作品。「李歐」の方が、たしかに作品としては完成されているけれども、これはこれで、ひとつの読み応えのある作品になっている。


    登場人物はもちろん、ストーリーの骨組みは「李歐」と同じ。ただ「李歐」に比べると、登場人物たちがより感情的で、その分、より浅はか。ストーリーのつながりが苦しいところもある。作者にしてみれば、ちょっと作品を書き直したくなるのが、なんとなくわかるような感じだ。でもそういう部分が逆にこの作品を、裏切りや陰謀が横行しても明るく、華やかな「青春小説」といったような趣きにしている気がする。


    しかし高村薫、やっぱり女性の描き方は下手なのかもしれない。主人公の吉田一彰が、敦子という女性に長年惹かれる意味なり背景なりがよく理解できない。だからこそ、「李歐」では、敦子の露出は格段に減ったのかもしれない。まあもしかしたら、この作品を書いた頃が下手で、今では上手なのかもしれないが。

  • 面白いなーと思った作品でした。
    じわじわ来る感じが好きです。

  • ハードボイルドのお約束・ツボをしっかりと押さえた、
    非常に勢いとスピード感のある小説。
    「シミタツ」の一連の作品を彷彿とさせる。
    本作と同登場人物・同設定の大幅改定版が、
    「李歐」として文庫化されているらしい。
    非常に興味深い。

  • 『李歐』と比べてハードボイルド感が高めです。
    でも相変わらずリ・オウは一彰が大好き。
    その一言に尽きます。
    おもしろい!

著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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