国境の南、太陽の西

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062060813

感想・レビュー・書評

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  • 自分にとって特別な存在である他人とそうでない他人の違いは、その人の中に自分のために用意された何かがあるかないかの違いなのか。そしてそこにひきつけられその人を知ると、その人の中にはその人だけしか知らない、その人だけが引き受けている世界があることを知る。そこに求心されていく主体(ぼく)は、同時に、誰かにとって特別な存在である他人でもある。個人と他人との係わりということについて考えさせてくれるし、誰にも多少の覚えがありそうな、伝えられなかった初恋についての後悔や、失ってしまった時間についての切ない心情を味わわせてもくれる。結論が少々青臭い気がするのは、読んだ時期が悪かったせいでしょう。

  • 何度読んでも霧雨のような静かな悲しみと不思議な寂寥感で頁を閉じる。

    でも
    いつかきっと、またページを開く。

  • 好きな作品です!

  • 37歳になった僕は旅先で出会った人と幸せで充実した生活を送っている。
    しかし、心の中では小学生の時に仲良しだった島本さんを求めている。
    島本さんに逢ってしまってから今の生活に戻れるのだろうか?

  • 私はこの手の村上作品は好みではない

  • 相手も自分も損なって、でもその時はそうするしか考えられなかった主人公の悲しみ。
    悲しみや虚しさがしっとりと心に沁みてくる。

  • 怖い、「太陽の西」

  • 再読
    不倫相手に心中を示唆されるもののセックスで頭が一杯でその気持ちを汲むことが出来ず結果不倫相手を失う話でじゃあではもし心中示唆を汲み取ることができたらこの主人公は一緒に死ねるのかな多分死ねるだろなじゃあ不倫相手が消えた今それってもう死んだも同然じゃん何を糧に生きてくの?

  • 島本さんやイズミのことが最後曖昧で終わっていると思う。どこかで主人公が不幸になれと思ってる自分がいた。若い頃とはいえ、女性を傷つけてるな~って思う。

  • 初めてこの小説を読んだのは私が高校生のときで、当時は正直あまり好みではないと感じました。しかし大人になって再読してみると、意外とおもしろいと感じました。時間が経つと小説への感じ方がこんなにも変わるものなのだと驚きました。

    小説は、まず一人っ子の「始(はじめ)」が、小学校の六年間を通じて出会ったたったひとりの一人っ子、島本さんに異性としての好意を抱くところから始まります。しかし別の中学校に進んだことで、二人は会わなくなってしまいます。

    大人になった始は、島本さんではない女性と家庭を持ち、仕事もうまくやっていました。
    けれど長いあいだ、島本さんに対して“心の中の特別な部分(p23)”をあけていました。小学校卒業から二十年以上経って、島本さんに再会した始は、ぽっかりと欠けている部分を埋めることができるのは彼女だけだと気付きます。

    奥さんと二人の娘のことを愛していると言いながら、島本さんのことを愛している、どこにも行ってほしくない、と言う始は、人を傷付けてしまうことのできる、身勝手で残酷な人間です。始も自分でわかっているのだと思います。それでも“その力に打ち勝てるという自信がどうしても持てない(p287)”不完全なところが、人間らしさなのかもしれません。

    島本さんがいなくなったことで、“僕は君(妻有紀子)と別れたくない(p287)”という始は、やっぱり自分勝手だと思います。傷付けられたはずなのに、それでも“私はあなたのことが好きよ(p290)”と言ってくれる有紀子と出会えた始は、幸せ者だと思います。“明日からもう一度新しい生活を始めたい(p291)”と言う始の言葉を、信じたいです。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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