政と官

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062072267

感想・レビュー・書評

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  •  読んでいて感慨深くなってしまった。なんというか、この人がどのような気持ち・想いで政治に向かっていたのかが伝わってくる、というか、文字からそれが伝わってきた。深くは言わないが、ぜひとももう一度読もう!

  • 政治とは何か、役人の役割とは何か。二つの世界を知りつくした筆者が、役人そしてすべての日本人が政治とどう関わるべきかを問う。 (1994年刊)
    ・まえがき
    ・第一章 役人とは何か
    ・第二章 政治家とは何か
    ・第三章 政治家と役人と
    ・第四章 官僚主義を許すもの
    ・第五章 決断と情報収集
    ・第六章 トップの条件
    ・第七章 政治の原則
    ・第八章 政治の目標
    ・巻末資料 内閣運営の現状と課題

    2015年1月5日再読
    著者は1996年に政界を引退しており、本書は、政治家としての晩年の著作といえる。実体験に基づき、政治と官僚の役割について解説しているが、ある種の回顧録と言える。
    著者は、役人としても警察庁長官というトップに上り詰め、その後、内閣官房副長官を務める中で、役人の限界を知り、政界進出の思いを強くしたというp36-41。大量の選挙違反者を出し落選した後、復権をかけて当選し、要職を歴任することになる。
    著者は、「役人は政治家をバカにすることがある。しかしそれは間違いだ」p51と言い切る。「政治家は、どんな人でも、五万人とか十万人とかの人間に自分の名前を書かせるのである。それだけの何かを政治家は誰でも持っている、ということを認識せべきだ。」と言う。これはなかなか含蓄のある言葉である。官僚に対し政治家が優越する理由を簡潔に表している気がした。
    第四章では、内閣総理大臣の権限について触れているが、その権限は思った以上に小さいことがわかる。閣議の決定は全員一致が慣行。内閣は、行政全体を総括する立場から、政策の総合調整を行うにすぎない。総理大臣は、各省庁を指揮することはできない。その権限が及ぶのは、各省大臣どまりである。各大臣に対しても、閣議で決定した事項に関してのみ指揮監督できるのであって、それ以外の、たとえば人事について指揮監督する権限は持たない。内閣と行政府はまったく別個の機関である。各省大臣が国務大臣として内閣の構成メンバーになっている、という点でつながっているにすぎないp113-116という。
    では、田中首相や中曽根首相は、なぜあれほどの権限をもっていたか。著者は、それは政治的実力であって法律的権限ではないというp117。この行を読んで、総理大臣といっても、ほとんど影響力を発揮しないケースがある事に得心がいった。

    初見時にはわからなかった事がわかって価値を見直した本である。政と官の役割を考えるためには正しい知識が必要である。現在でも、読む価値が十分にある一冊である。

  • 政治家とは、役人とは。その両方を経験した立場からの言葉には説得力がある。日本の政治、行政組織の課題、危機管理における情報収集の重要性など今も抱える問題が変わっていないことを多少情けなく思いながら読んだ。

    参考:後藤田五訓(wikipediaより)
    1.出身がどの省庁であれ、省益を忘れ、国益を想え
    2.悪い、本当の事実を報告せよ
    3.勇気を以って意見具申せよ
    4.自分の仕事でないと言うなかれ
    5.決定が下ったら従い、命令は実行せよ

  • 政治改革が叫ばれた時代の書。ただ、リーダーの在り方やトップの心構えなど、参考になる点はある。民主主義に対する氏の姿勢を伺う事ができる。

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