ユーモアは老いと死の妙薬

  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062079488

作品紹介・あらすじ

心安らかに死を迎えるための「生き方」の処方箋。

1995年の春、私自身、生と死が表裏一体であることを切実に体験させられた。
……細胞検査でガン細胞が発見されたため、1ヵ月ほど入院して大腸の一部を切除する手術を受けた。
今まで自分の健康を過信していただけに、患者の心理の揺れ動きや、医療関係者の対応の難しさを実感させてくれた。
……これは1つの大きな転機だった。人生の危機というのは、自己の価値観を見直すために与えられる、神からのプレゼントだと改めて痛感した。――(本文より)

感想・レビュー・書評

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  • 著者の子ども時代は第二次世界大戦の最中だった。身近な人々の死、そして自身もぎりぎりの死の淵に立たされた体験によって、「人生の大切なものや美しいものは、すべて贈られたものなのだ」ということを学んだ。

    時間について。
    「人間は、とかく惰性に押し流される。しかし、今決心して始めなければ、私たちの人生は、あっという間に時間切れになってしまう。思い立ったら、すぐ実行しなければ、明日という日は、もう来ないかもしれない。」

    人との関係について。
    「もし、相手の言うのことのすべてに唯々諾々と従うだけの人がいたとすれば、それはやがて、その人自身の自立した人格さえ失うことになりかねず、また、相手にとっても、その人はいつしか退屈極まりない存在に過ぎなくなってしまうだろう。…互いに自分の考えをはっきりと述べ合い、有益な批評を交わす生き方を怠ったならば、いつか全く心の通い合わない冷ややかな関係に陥るに違いない。」
    本当に相手を愛している人は、あえて相手に反対して闘うだけの勇気を持ち合わせている。
    カール・ヤスパースはこれを『愛ゆえの闘い』と表現した。
    表面的な同意と気楽な付き合いに終始していては、深い人格的な『我と汝』の出会いは体験できない。

    核心を突いている。まさにその通り。事なかれ主義の気楽な付き合いに終始していては、互いを高め合えるはずもない。真の愛があるからこそ、闘う勇気を持てるのだ。

    自分の人生から逃げている人、全方位から逃げまわって生きている人に、第6章だけでも是非読んでほしい。

    death education 死への準備教育
    死を深く考えることによって、私たちは今生きていることの尊さを改めて実感できる。
    つまり「死への準備教育」は、そのまま「生への準備教育」にほかならない。

  • クロノスとカイロスの概念、ギリシャ語で時間が区別されている。

    カイロスは一回限りの独自で質的な時間。
    あのとき、感じた。
    とかの「とき」ということか。

  • 著者は北ドイツ出身のイエズス会司祭で、長く上智大学で教鞭を取った方。日本の死生学の泰斗みたいだが、「生と死を考える会」は分裂している模様で、会の性質上ちょっと鼻白むものがある。

  • 死を意識することで生を輝かせようという気持ちにさせた一冊。

  • ・真に自分を愛せない人に、他人を愛することなど、到底不可能だろう。
    ・「人は何歳になっても、単に高齢者と総称してはならない。一人一人違う個性を持つ独自の存在であり、老いは人生の道程の1つにすぎないのだから」
    ・自然と人間、人間と人間の出会いを通じて、私たちは人為を超える神秘と向き合うことができる。
    ・思い立ったら、すぐ実行しなければ、明日という日は、もうこないかもしれない。

    ・口に出すあいさつはもちろん大切だが、たとえ言葉は通じなくても、あるいはもう手足が動かず、口が利けないような状態になったとしても、人間は笑顔で周囲の人に感謝を伝え、心を通わせることができる。

    ・私たちは、誰もが同じ人間同士として、一歩先を行く先輩のために、なにかを「する」t量方法はなくても、最後までそばに「いる」看護によって、最もその人らしい人生の終わりを全うさせるkとができるのではないだろうか。

  •  心安らかに死を迎えるための「生き方」の処方箋、と帯に書かれている。

     こんな処方箋があれば、宗教という文字は必要なくなる。

  • デーケン節の真骨頂!読んでいると師の顔が浮かび、声が聞こえてきます。

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