睥睨するヘーゲル

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062084116

作品紹介・あらすじ

自分で、考えなさい。
哲の女、池田晶子が、考えることを知らない世紀末ニッポンを撃つ!

大不況、オウム騒ぎにフェミニズム、ポスト・モダンにインターネット、オカルトブームの次は、哲学ブーム……?ますます騒がしい世間を睥睨しつつ、つねにいまここで正しく「考える」。哲学の原点から、世にあふれる全勘違いを粉砕するメタフィジカル・エセー

感想・レビュー・書評

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  • ・心に残った言葉は、以下など。

    1)哲学は、生きるための何の役に立つのか?

    1.世の人々が自明と信じ、それに基づき生きている諸々の価値を、なぜ自明なのか考える。

    2.人々が普通は考えずに生きていることを、しっかりと考えて生きるのだから、これが力強くならないわけがない。

    2)「将棋の神様と指している」 by 羽生名人

    1.彼が対座しているのは、対戦相手ではなく、実体としての無限である。
     ・無限の向こうへと、自身のさらなる完成を目指して前進する思考。

    2.将棋とはいえ、目に見えない、一人きりの神を対戦相手の一種やはり創造。
     ・またそうでなければ、その職業が宿命的であるはずがない。

    「宿命に動機はない、必然だけがある。」

  • オピニオン誌『正論』紙上に連載されたエッセイなどを収めています。

    「意見」(オピニオン)を声高に表明するひとは、「意見」を表明する「自分」を表明しているにすぎないといい、「無私」で「自由」な「口伝」(オラクル)に賭ける著者の姿勢が、まっすぐに示されています。

  •  ヘーゲルに関して、何かヒントを与えてくれるのかなと、期待したのですが、フレーズの面白味だとか。雑誌[正論]に連載した第1部は、過激でラディカル。

  • 相も変わらず切れ味が鋭い論考が盛りだくさんでした。とくに前半の○○と○○というシリーズは対比がおもしろかったです。

  • 「睥睨するヘーゲル」というタイトルは著者のお気に入りのフレーズで雑誌『正論』に連載した時のタイトルである。
    本書の前半部は、連載+書き下ろし、後半部はその他に掲載された原稿で構成されている。
    少し堅めの内容となっている。94年〜95年頃に書かれているので、当時の状況を思い返しながら読んでいくとやっぱり本質を掴んでいるなぁと感心させられる。
    著者の立ち位置から見れば、結局、世の中大したことなどないと再認識できる。

  • 考えることについて考えさせられる本。
    自分のアタマで考えたい。っていう自分って誰でしょうねって本。

  • 数多ある氏の著作の中でも比較的意地悪な池田晶子が書いていますw
    印象的だった箇所がふたつ。

    ひとつは哲学と宗教とについての論考。
    出発点は恐らく同じであった根源的な謎への問いに対して、
    氏は「私は意地でもそれは神だとは言わない」と語っているところ。

    もうひとつは哲学というそれをひとに勧めないことを書いているところ。
    哲学は自殺行為である、人間を廃業すると。
    そんなものには下手に手を出さないほうがいいと説く。

    一貫して「考える」が底流している、らしさの出ている作品。

  • それを知るための思考の在り方、これを「考える」という。そして、考えて知った事柄のことを「知識」という。
    したがって、情報と知識とは、人間の頭脳において対極の位置にあるわけで、情報は外から入手して知るものだが、知識は自ら考えて知る以外入手方法はない。絶対にない。厳しく言えば、情報はそもそも、「知る」ものではない。あれは取って付けて、受けて流すもので、サルにでもできる。(79ページ)

  • 大好き。読み終えてしまうのが勿体なくて、1編ずつ読んでは閉じ、禁断症状が出るまで放置、を繰り返してる。会いたかったなあ。残念。

  • カテゴリと読書状況にズレがあるのは、短いコラムの一つ一つを、繰り返し読みながら、思いついたことを書きとめながら、何日もかけてやっと次へと進むから。
    そして、読み終えてしまうのが勿体無くて、なおさら進められない。
    夢を見るように読んでしまう、というのはとても気持ちよいことなんだけれど、著者はそんな表現嫌がるかも。
    この本を読んでいて感じる、あの透明な思考、ができるようになれたらどんなにいいか。亡くなる前に、一度お会いしたかった。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。文筆家。専門用語による「哲学」ではなく、考えるとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立して多くの読者を得る。とくに若い人々に、本質を考えることの切実さと面白さ、存在の謎としての生死の大切さを語り続けた。著書多数。2007年2月23日没。

「2022年 『言葉を生きる 考えるってどういうこと?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池田晶子の作品

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