ウランバーナの森

著者 :
  • 講談社
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感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062087599

感想・レビュー・書評

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  • 大好きな奥田英朗氏のデビュー作ということで、この本を手に取った

    装丁からしてジョン・レノンの横顔
    オノ・ヨーコとの間に息子ショーンが生まれ、育児のため、第一線から退き、軽井沢で暮らしていた頃の暮らしが題材のようだった

    はじめは、便秘による体調不良の話が延々と続き、挫折しそうになったが、後半、盂蘭盆(うらぼんえ)に、アネモネ医院から出た森での出来事から俄然おもしろくなった

    タイトルの「ウランバーナの森」の『ウランバーナ』というのは、盂蘭盆のサンスクリット語らしい

    ジョンの心の隅に暗く重く棲みついていた亡くなった人々との再会で心の澱を吐露し、謝ることによって、少しずつ解放されていく

    そして、極め付けは、幼い時から満足な愛情をかけられることのなかった母親との交信? あの世とこの世の境のようなところまで引き戻され、母の生い立ちを知ることにより、母を理解し、わだかまりが解けていく

    神秘体験?幽霊との遭遇?
    どう解釈したらいいのか分からない不思議な世界?不思議な話ではあったが、世界的なポップ・スターのある意味での真実の姿を知ったようなおもしろさがあった
     
    体調不良(主に便秘であるが) を訴えるジョンに対する心療内科の先生の話がとても気楽で吹き出しそうになるがある意味、的を射たアドバイスのようでおもしろかった

    この医師によると、ジョンの体調不良の原因は、創作活動をしていないからだという
    ジョンにとっての歌は精神のバランスをとるために必要な代償物、各種のコンプレックスや空虚感を歌によって埋め合わせてきた。下品なたとえをするなら、歌はあなたの排泄物だ。それをここ4年していないわけだという

    参考文献を見れば、まるっきりのフィクションとも言えないと思う

    最後、体調不良も改善し、ジュニアのために歌う
    『beautiful boy 』
    私の頭の中にもジョンの優しい歌声が流れた

    浅田次郎氏がこの作品を絶賛したと表紙裏に書いてあった
    なるほど、浅田さんの作品もこういう類の本、たくさんあるよなと納得した
    「鉄道員」「椿山課長の七日間」「地下鉄に乗って」等

    奥田英朗さんはこの作品が出発点だった

  • あの世界的ポップミュージックスター・ジョンが妻ケイコと息子ジュニアとお盆を軽井沢で過ごしていたときのお話。

    ジョンは重度の便秘に悩みつつ、過去に犯した自分の過ちが、トラウマとなって悪夢にうなされる。

    ケイコの勧めで心療内科にかかり、知らぬ間に催眠療法を受けていたが、クリニックの帰りに森の中で不思議な体験をする。

    お盆という日本古来の風習と、ジョンの日本的な一面が相まって、不思議な雰囲気を醸し出す。

    所々に事実と重なる部分が織り交ぜられ、ビートルズファンにはたまらないことでしょう。

    でも、この小説はなんというジャンルになるんだろ?

    2010年 読んだ本 記念すべき100冊目の作品となりました。

  • 病は気から

  • ジョンレノンのファンじゃないけど、イメージがわいて楽しく読めた、不思議な感覚の本やった

  • まったく覚えてない。

    主人公はジョンレノンらしい。でも印象に残らない作品。

  • ジョンレノンをモデルにしたアーティストが軽井沢で過ごす、ひと夏の物語。
    冒頭から中盤にかけて、便秘の話が続くので、ナンセンス小説かと思いきや、中盤から今までの伏線を見事にラストに向けて一気呵成てきに集約していく。
    しかも、主人公が自分の内面を語ることのセリフが非常にいい!

    『人は何を隠して生きているのだろう。みせかけの笑顔の奥に、何を封じこめて毎日を送っているのだろう。のぞかれたくない胸の内。見ないふりをしている真実。「しあわせ?」と聞かれれば嘘でも「しあわせ」と人は答える。それはまるで、そうありたいための自己暗示のようなものだ。』

    最初の1/3は退屈かもしれませんが、中盤以降は人の心を深く揺さぶる感動がありますので、かなりおススメです。

    奥田英朗さんは、デビュー作から才能を開花させてたのだなと、感心しました。
    浅田次郎さんは、この作品を絶賛していたようですね。

  • 西表島などを舞台とした作品です。

  • あのジョンの話のフィクションなんだけど、奥さんはヨーコじゃないのか?

  • 途中まで自分をジョン・レノンだと思い込んでる人の話かと思ってた。
    精神科医が出てくると伊良部を連想してしまったけど
    全然真面目な人だった。残念。
    盛り上がりに欠けるけど上手くまとまってる。

  • 『そうだな、許すとか許さないとか、そういう問題じゃなくて…そう、ぼくは運命に優しくなることを知ったんだ』

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著者プロフィール

おくだ・ひでお
1959年岐阜県生まれ。プランナー、コピーライターなどを経て1997年『ウランバーナの森』でデビュー。2002年『邪魔』で大藪春彦賞受賞。2004年『空中ブランコ』で直木賞、2007年『家日和』で柴田錬三郎賞、2009年『オリンピックの身代金』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『最悪』、『イン・ザ・プール』、『マドンナ』、『ガール』、『サウスバウンド』、『無理』、『噂の女』、『我が家のヒミツ』、『ナオミとカナコ』、『向田理髪店』など。映像化作品も多数あり、コミカルな短篇から社会派長編までさまざまな作風で人気を博している。近著に『罪の轍』。

「2021年 『邪魔(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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