てんたまおや知らズどっぺるげんげる

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 35
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062100953

作品紹介・あらすじ

悪夢か天啓か…「ドッペルゲンガー現わる」!?バーチャル日本に跳梁する言語妖怪との果てなき戦い。前衛芥川賞作家の最新傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 2020/1/25購入

  • 『ドン・キホーテの「論争」』を先に読んでおいたほうが良いと思う。

    夢について書かれた部分が多く、その他いろいろあってかなり読むのに根気がいる。
    でも、「論争」のときに作者がどういう状態だったのか少し分かって嬉しかった。

    「…」(引用)という風に、いろいろな人の言葉(小説以外にも)が引用されているんだけど、これだけ沢山の言葉を覚えているのがすごいな、やっぱり作家は違うな、と思った。

  • 純文学論争前後の連作。案の定、論争相手は妖怪扱いです(笑)雑司ヶ谷界隈や鬼子母神界隈の話題は他の作品にもよく出てきていたけれど、今回初めて赤テント(※正式には紅テント=唐組)をご覧になったそうで。私も一時期年に2回は紅テント観に鬼子母神に通っていたので、あのへんの話題が出ると、わりと具体的に場所がわかるので楽しい。論争が落ち着いたら今度は猫問題。ここでは終盤ちらっと出てくる程度だけど、このへんから作品がほとんど猫関係になってちゃうんだよなー。

    「てんたまおや知らズどっぺるげんげる」「文士の森だよ、実況中継」「ここ難解過ぎ軽く流してねブスの諍い女よ」「リベンジ・オブ・ザ・キラー芥川」

  • 1999年から2000年にかけて関わった「論争」を背景に、『てんたまおや知らズどっぺるげんげる』、『文士の森だよ、実況中継』、『ここ難解過ぎ軽く流してねブスの諍い女よ』、『リベンジ・オブ・ザ・キラー芥川』の4編の身辺雑記風短編小説集。主役は論争前の作品に登場し小市民キャラ(え?)、その後論争用キャラとして大フィーチャー大忙しの沢野千本。題材がドッペルゲンガー、予知夢と、オカルトじみてるが、オカルト嫌いな笙野頼子(もとい沢野千本)、だが「符号」と解釈しちゃう矛盾したところが可愛い(をい?)。「どっぺるげんげる」は追い詰められた人が見るもの。てくてくてくてくてくでんでんでんでんでんでん。沢野千本が笙野頼子の「どっぺるげんげる(分身)」。最後にまだキドウになる前の雑司ヶ谷の捨て猫だった頃の猫達も登場。でもね、最近思うのだが、笙野頼子の身辺雑記風たたかえ小説(極私的言語の戦闘的保持小説とでも言いましょうか)、ご飯をちゃんと食べてないと読むのにエネルギー取られる…。

  • 猫が嫉妬するという理由でたまごっちを殺す場面が最高。「あなた関西弁(の描写)は町田康より下手ですね」と編集者に言われた、などの小ネタもたまらない

  • 「純文学論争」渦中の淡々とした日々のよしなしごとをモチーフにした短編集。とは言ってももちろん私小説ではない。日常の表面がてろてろと溶けてきて妄想世界に移行してゆく手際というか、語り口が凄い。笙野頼子体験3作目でようやく彼女の凄さに開眼した。「書くべきこと」と「書かれてあること」の間に無駄がない。完璧な文体。

  • 図書館で借りた。
    『本の本』によると、文芸誌上で論争となった
    ことを元にしたものらしい。
    読んでみてさっぱり理解できなかった。
    文学に巣食う妖怪辞典、というのが所々にあり、
    こんな人がいるのかと面白かった。

  • 「この小説はフィクションでありここに登場する笙野頼子は架空の人物です」。
    そんな言わずもがななご注意をしなければまずいほど、純文学事情がセキララに語られる。
    バーチャル日本に跳梁する言語妖怪との果てなき戦い

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著者プロフィール

笙野頼子(しょうの よりこ)
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。
81年「極楽」で群像新人文学賞受賞。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年『二百回忌』で三島由紀夫賞、同年「タイムスリップ・コンビナート」で芥川龍之介賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、14年『未闘病記―膠原病、「混合性結合組織病」の』で野間文芸賞をそれぞれ受賞。
著書に『ひょうすべの国―植民人喰い条約』『さあ、文学で戦争を止めよう 猫キッチン荒神』『ウラミズモ奴隷選挙』『会いに行って 静流藤娘紀行』『猫沼』『笙野頼子発禁小説集』『女肉男食 ジェンダーの怖い話』など多数。11年から16年まで立教大学大学院特任教授。

「2024年 『解禁随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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