ジャンヌ・ダルク暗殺

著者 :
  • 講談社
3.56
  • (5)
  • (11)
  • (19)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 62
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062109871

作品紹介・あらすじ

はたして神は、誰を支持するのか。神の声に従う処女と野望に燃える娼婦、悪をきわめた将軍たちがおりなす熾烈な歴史絵巻。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • あまりにも有名なジャンヌ・ダルクの話と、同じジャンヌという名前を持ちながら神を信じない娼婦の密偵の話が絡み合う。

    私は神様は都合のいい時しか信じないけど、信仰心の篤い人々ってちょっと怖いと思う。死まで恐れなくなったら、人間としてちょっとやばいんじゃないの?位は思う。

    その分、娼婦のジャンヌは正直者。
    色んな手段を使って人々を篭絡し、いい暮らしが出来るように常に上を向いている。神様は信じていない。

    最終的にラ・ピュセルは火あぶりとなり、ジャンヌは拷問で両腕を失う。どっちが幸せかは分からない。

  • 娼婦のジャンヌダルクと、聖者ジャンヌダルクの話。

    聖者ジャンヌダルクの強さは
    神への告解が終わっていることが重要とされ、
    死をおそれていないこと。

    娼婦のジャンヌダルクの強さは
    すべて自分の力で道を開き、自分を信じてるところ。

    娼婦という仕事を作ったのも神であり、という
    娼婦ジャンヌダルクの言葉に・・・・そうだ・・・と思いました。

    何が汚いものなのと思うかさえ個人の自由。
    信仰心のないわたしには聖者ジャンヌダルクの気持ちは理解しがたいが・・・。

    娼婦ジャンヌダルクの生き方にとても惹かれました。
    が、あんなに強くかしこくは生きれないなぁ(笑)

    どんな生きざまがその人らしく、幸せであるかは
    その人自身にしかわからないもので、
    想像はできても、決めつけることはできないことだなぁと思う。


    最後に、娼婦ジャンヌダルクにはっぴーが訪れたことで
    すっきり読み終われましたデス。

  • 二人のジャンヌを効果的に書き並べていますが
    時代背景が上手く描いてあって、何気ない
    エピソードも上手に理屈がついて、くすりと
    楽しめます

  • 二人のジャンヌの物語。
    神を信じない売春婦のジャンヌと、神を信じるラ・ピュセルのジャンヌの相対的な関係がよかったです。

  • ジャンヌダルクが好きなので読んでみたんだけれど、ジャンヌがもう一人いて、ちょっと「あれれ?」な感じだったかな。どこまでも神を盲信する狂気と紙一重な彼女が好きなので。

  • 歴史的人物が二人いたと仮定してその二人を通して善と悪を描くとういう手法は、いくつかみかけるが、この本はとてもうまく描かれていると思う。特に聖人とされている方の純粋ゆえの困ったちゃん加減が心憎いと私は思う。

  • 15世紀フランスの神の使いを名乗って散っていった有名なジャンヌ・ダルクのお話。
    ジャンヌ・ダルクの一生や足跡を追うと言う形ではなく、彼女と同じ名前の娼婦ジャンヌを主人公にして、権謀術数が渦巻く宮廷や、信仰心の厚いジャンヌ・ダルクや、フランス王太子・シャルルの即位に関わる人々の活躍などが描かれている。
    まず、主人公がずばりジャンヌ・ダルク、じゃないところが良かった。しかも、神の世界からは汚れた罪人として扱われている娼婦っていう設定が、物語をただの正義の為の戦いの聖戦的な色あいから遠ざけ、物語に幅と深みが加わって読み応えのある作品に仕上がっていると感じた。
    彼女の作品を読むたびに、細かい部分までしっかりと緻密に組み立てられたストーリー運びの巧さに感心してしまう事、しばしばなのだけれど、そんな彼女の数ある作品の中でも、これは久々の大作だと思った。
    ジャンヌ・ダルクそのものを追いかけるような話しではなく、あくまで娼婦・ジャンヌの生きざまを描いており、「娼婦だって人間なんだ」って何度も言っている彼女の何にも負けまいと強く生きていく姿には、胸がジーンとして、最後には感動しました。
    泣けてきちゃいました。。。。
    私はアンチクリスチャンなんで、ここで描かれているジャンヌ・ダルクにはイライラし、中世のキリスト教がもたらした様々な罪深き事柄は、益々批判的な気持ちを強くしたかな・・・。
    敬虔なクリスチャンの方は読まない方がいいかもね。
    頭くること、間違い無しでしょう(笑)

  • イングランド軍に包囲され、いつ落ちるかわからないオルレアン。そこで生きる娼婦ジャンヌは己の野望の為に、王太子シャルルに近づく、そして、神の声に従い、フランスを救うと宣言する少女を知る。同じ名を持つ二人の先にある運命は。
    本当は「愛される」ことを、「包まれる」ことを求めながら、得られないことに絶望し、生きる活力を野望にそそぐジャンヌの姿が強烈。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

長野県生まれ。西洋史への深い造詣と綿密な取材に基づく歴史小説で脚光をあびる。フランス政府観光局親善大使。著作に、『新・三銃士』『皇妃エリザベート』『シャネル』『アンジェリク緋色の旗』『ハプスブルクの宝剣』『王妃マリー・アントワネット 華やかな悲劇のすべて』『幕末銃姫伝』『i維新銃姫伝』など多数。青い鳥文庫ではKZのほかに「妖精チームG(ジェニ)」シリーズ、『マリー・アントワネット物語』『三銃士』も手がけている。

「2019年 『探偵チームKZ事件ノート 特装版 校門の白魔女は知っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

藤本ひとみの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×