- Amazon.co.jp ・本 (180ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062113311
作品紹介・あらすじ
障害児学級のベテラン教員を襲った、ある「事件」。告白体で語られるその顛末と、物語にひそむミステリー。各紙誌で注目、期待の新鋭による芥川賞候補作。
感想・レビュー・書評
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障害児に関わる人の中で、なんでこの人なのか、著者の独特の感性がうかがえる。終始ゆらっとした感じで気持ちの悪さが残るが文体は読みやすくわかりやすい。人間は多面的で他者から見えていること、本人が口にすることが必ずしも真実とは限らない。不利益を被る場合でも真実を言うとは限らない。それこそが人間らしさ、高等生物のふくざつさだと思う。この著者の本はもう一冊読んでみよう。
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難しい。最後がどうも理解できない。
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え?なんか展開が予想外で結末も未解決で
え? -
国語の教科書的な折り目の正しさと、難解さの中に
もの凄い歪みを抱えている小説です。
読んでいて、どこかノスタルジーを感じるな、と思っていたら、
谷崎潤一郎の作品オマージュみたいなんですね。
それでいて、内容は漱石先生のこころのようで、
良い意味での心地悪い読後感が後を引きます。
とてもいいと思います。 -
今読んでる最中なので最後の数ページの前で足踏みです。
ここまでは読んで良かったと思います。
と書き、最後の部分を読了。
確かにちょっと意外な感じです。
「ぼくたちは大人になる」の方がこなれた感じで好きでした。 -
障害児学級を長年担当してきた教師の回想録。
佐川光晴作品を読むのはこれで3冊目。
読み終わった結果論から言えば、人物の心や内面がよく描かれている部類に入る作品だと感じる。
しかし全体の物語の構成が省略されていて、突拍子もない感じで物語が進んでいる印象は拭えない。
読んでいる途中は、これは障害児学級に勤める教師の物語だと感じていた。
しかし最後の残り数ページで、突然ミステリー作品へと早変わりする。
しかし未だに人物達の心や行動が謎ばかりで、解明されないまま物語が終わってしまっている。
それが読み手には『残念』とも感じれば『新しい面白さ』とも感じる。
確実に両極端の批評が分かれる作品だと思います。
私自身としては、なかなか読み応えはある内容ではありました。
後は『結末』に納得出来るか否かの問題です。 -
う~ん、なんといったらよいのか……。
ちょっと気味悪い内容だったです。
読みやすくてどんどん読めていったけど、最後でおっと驚くんだけど、「なんだ?」みたいな。 -
「群像」(2002年3月号)初出。これまでの佐川さんの私小説風な作品とは少し趣を変えて、この小説では主人公を50才の男性ベテラン教師としている。小学校の障害児学級を長年にわたって担当しているという、この教師の一人語りで進められる述懐めいた報告は、夏をはさんだおよそ3か月ほどの出来事だ。障害児の問題と家族の問題を掘り下げて描こうとしているようで、終盤で一気に展開する話はミステリの様相も示す。それにしてもこのタイトル、むしろこれは「ゆがんだ愛」なのではないだろうか?
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読み終えてもよく分からない。伏線に気付かなかったのかな。でも読み直す気にもなれず…
うわぁ、同じ本読んじまった・・・
途中「ん?」と思ったものの、途中で読むのやめちゃったのね、と思っていたら。
そして、全く同じ感想。
なんじゃこりゃ??? -
突拍子ない。
という言葉が思わず浮かんだ。
イスラームと障害児学級。そこへもってきての、植物状態の人の介護。果てにある逮捕劇。
「縮んだ」ってどういう意味だろう?と思って思わず辞書を引いた。
「歪んだ」ほど格好良くなく、なんか惨めな感じの漂う「縮んだ」。
「伸びやかでなくなる、萎縮する」「隙間がなくなったりして、体積・容積が少なくなる、小さくなる」(大辞林)
本当はそこに正しい形があるのに、年をとってゆくにつれていびつに「縮んで」いく夫婦愛。
悲しいけど、わかる気もする。くしゃくしゃになっちゃって、てのひらでギュギュっとしわを伸ばせば
元通りになる気がするけれど、一度ついたしわの数々は消えることはない。元通りの「体積」に帰ることはない。
でも主人公に言いたい。
冒頭、偉そうに恋愛のなんたるかを語っておいて、
自分のオクサンに言いたいことも言えないで、ぶつかり合うことを避けて。
ラスト、「だれかが責任をとらねばならない」なんて、何、悟ったようなこと言ってんだよ!