東大講義録 ―文明を解く―

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  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062113793

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  • ・始代における国家権力の必要性は防衛、徴税、治安と司法、種子の保存、祭祀。日本の総理大臣の秘書官は外務省、財務省、警察庁のほか、経産省から出る。
    ・中世になると物が足りなくなり、人が余ってきたため、信仰や文化が始まった。
    ・中国では、唐の終わりごろに石炭が発見されてコークスをつくる技術が生まれた。それによって金属の生産が増え、鉄の農機具、銅の鍋釜、銅貨が鋳造され、貨幣経済が盛んになった。宋磁は規格大量生産された。経済・文化が発展したのは宋代。
    ・日本では応仁の乱の頃から治水技術が進歩して、15世紀後半から16世紀にかけて沖積平野が開発された。これによって、織田信長の父親が金持ちになった。
    ・近代国家に求められる機能は、通貨の発行とその価値の維持(財務)、公共事業や教育・福祉など民間ではできない事業の運営(国土交通、文部科学、総務、厚生労働)、国民に情報や指針を与える指導業務(経済産業、農林水産、内閣府)。
    ・明治時代の国家事業は、郵便と電信、鉄道、土木建設(治水利水、港湾と水路、道路)、教育。
    ・日本の行政は、土地不足・人口増加を前提として、道路、郵便、電話、電灯、警察、初等教育、医療を全国に届けるユニバーサル・サービスという考え方に立っている。
    ・昭和16年体制の一環として、情報統制のための東京一極集中が進められた。全国放送を東京に限ること、出版物の取次を東京にしか認めないこと。
    ・戦後の日本の正義は、効率、平等、安全の3つで、自由と楽しみが抜けている。結果の縦の平等から生まれたのは、終身雇用、年功序列の職縁社会、累進課税。

    (下巻)
    ・石油が値上がりすると、化学肥料や農薬が値上がりするため、食糧危機がやってくる。焼畑や森林伐採が進み、自然破壊が起こる。第2次石油危機の後の1970年代末に、アマゾンや南部アフリカの熱帯林の伐採がすすんだ。
    ・マルクス経済学では、人間が経済的に有利なことを求める経済人であること、それぞれの社会に適した最適規格が存在すること、最適規格を官僚が発見できること、規格大量生産は効率がよいことの4つの仮説に基づく。

  • 時代はすべてに派生する★可農地での農業開始?天に左右される→神意を重要視→抽象的な文化を生み出す?私有財産は生まれない→経済階級はない?土地と収穫を守る国家→防衛、徴税、司法が生まれた★農地改革:土地が改良できる?人間の力が重要→観察力が増す→写実文化→科学?隣の土地を侵略?私有財産が生まれる→階級が生まれる→交易が始まる★エネルギー不足:物を消費しない→物に関心がない→抽象文化→形式化

  • 日本の歴史を解説

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著者プロフィール

堺屋太一

一九三五年、大阪府生まれ。東京大学経済学部卒業。通商産業省(現経済産業省)に入省し、日本万国博覧会を企画、開催したほか、沖縄海洋博覧会や「サンシャイン計画」を推進した。在職中の七五年、『油断!』で作家デビュー。七八年に退官し、執筆、講演、イベントプロデュースを行う。予測小説の分野を拓き、経済、文明評論、歴史小説など多くの作品を発表。「団塊の世代」という言葉を生んだ同名作をはじめ、『峠の群像』『知価革命』など多くの作品がベストセラーとなった。一九九八年から二〇〇〇年まで小渕恵三、森喜朗内閣で経済企画庁長官、二〇一三年から安倍晋三内閣の内閣官房参与を務めた。一九年、没。

「2022年 『組織の盛衰 決定版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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