負け犬の遠吠え

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062121187

感想・レビュー・書評

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  • 何年か前に流行った本という感じ。
    ずっと読み継がれる感じの本ではない。
    時代の風俗を勉強するという意味で後20年ぐらいたって資料的にそんなこともあったのかという風に読むのはありかな?
    負け犬とは、30代以上、未婚、子なしをおしのべていう。
    自分がどう思っていようと周りは、おかわいそうに・・・という目で見るのだから、そうです、私は負け犬です、キャイーンと服従の姿勢をとれば、それ以上打たれない、私は負けていないわ、もっと可哀そうな不幸な人たちがいると相手に優越感を抱かせてあげて社会に役にたつのなら、それでもいいじゃないか的なことを推奨しているらしいのだが。
    なんだか、違和感があった。
    読み進んでいくうちに原因が判明。
    作者はバブル世代。
    実は、彼女がいっている負け犬とは、30代以上、未婚、子なし、そして、年収800万以上のバリバリのキャリアウーマンの事なのだ。
    (雑誌のインタビューで年収800万以上という発言をしているらしい)
    そして、本書で描かれている勝ち犬とは、有閑マダムになれるぐらいの年収の男と結婚し、嫁ぎ先もお金持ちで、嫁にはずかしくないようにと、ダイヤとかの指輪とか、すごく仕立てのいい礼服などを買い与えることができる義理の親を持つというプチセレブのことなのだ。
    はあ、それが違和感の原因かと。
    今どき、都会には30代以上、未婚、子なしなんてわんさかあふれているんだけど。
    年収800万なんて女子は探すのが難しいだろう。
    30代以上、未婚、子なし、派遣社員なんてざらにいる時代だもの。
    正社員だって、ボーナスってなんですか?みたいな。
    そう、この本が売れたころには「そうそう」と同意をする負け犬たちがいたのだろうが、今は、「そうか・・・おれたち、負け犬以下なのか・・・」と思うばかりである。
    不況から脱出できない日本、もう既に、酒井さんの書いたみじめな負け犬すら、絶滅危惧種なのだ。

  • だいぶ前に図書館で借りて読みました。
    この本を読んだあとに、『金曜日のパリ』を読んだので、それと比べるとずいぶん後ろ向きだなあという印象。
    「イヤ汁」とかいう表現の仕方も、好きじゃないなあ。

    基本的には、人に対しても自分に対しても、口出しなんて無用だと思ってる。
    その人の生きたいように生きるのを、他人が批評する筋合いじゃない。
    個々の生き方への批評じゃなく、社会のあり方に要因があるのだとするなら、そこのところをもっと深く分析してほしかったな。
    そもそも既婚者と未婚者を勝ち負けで分類すること自体、世間的な価値観に乗っかってるだけの気もします。

    まあ、こういう本が気になる自分も、世間様の価値観を気にして生きてるんでしょうが。。

  • ふむふむ、良く分析されているという感じ。
    著者は負け犬だけど勝ち組なので少し余裕感が感じられる。
    男性が読んでも面白いですが、女性が読むと色々な気持ちになるのかな。

  • もう14年前の本なんだなあ…

    オリンピック4回以上前の時代だよ。
    この時代に「えっあの人、なんか独身だけど、きっとそれには触れちゃいけないんだよね?ね?」という対応をされていたであろうタイプの独身未婚女性に強烈なスポットライトをあびせたというのが、この本の最大の功績だと個人的には思う。
    負けてるふりしてそう思ってないよね、という炎上必至の書き方ですら、この著者の作戦ではないかと思うのであります。

    自分はこの本に出てくるような、色々な遊びを知っていて仕事も充実したゆえに結婚は逃したがオシャレにも気を使うような負け犬ではなく、普通に、こりゃもー普通に性格が悪くてご縁がなくイヤ汁たっぷりの趣味に走るだけの単なる未婚女性なので、別にこの本から何かを学んだり気が楽になったりすることはございませんでした。10年前買った時も今日読み直したときも感想は変わらない。

    でも4回のオリンピックを経ても、時代はもしかしたらそれほど変わってないかもしれないなあ。と思わせるだけの力をまだこの本は持ってる気がする。
    今の時代ってポートフォリオが大事とか言うじゃない。副業とか投資とかNISAだって流行ってるしさ。
    だけど、色々な人がいていーんじゃーんという人間的ポートフォリオの感覚はまだ薄いと思うんです。

    私のような無頓着そうな人でさえ
    「ああ私は何のラベルで生きていけばいいんだ。この歳で当然妻でも母でもない、そして大好きな仕事があるわけでもマネージャでもバリキャリでも美魔女でもない、上質な服も興味ないけどこの歳で独身だとどれかはやらなきゃあかんのやんね?」
    と逡巡したり
    「いいわね好きなように生きててーってあんま仲良くもない主婦のおばちゃんにスケートリンクで言われた!いや同じ時間にスケートしとるおばちゃんこそ、仕事しなくても好きなことできて気楽でいいわねーって感じなんですけどそれを言ったら失礼だと私はわかるから言わないのになんでおばちゃんは考えずに私に言うの!?」
    と素直なご挨拶かもしれないのに裏で静かにイライラしたり
    つまり自分がニュータイプ負け犬であり、まだ注目も保護すらもされないマイノリティであるという負い目があるのだなあと日々思うのであります。ダイバーシティの枠に入ってないと。
    だから何もいいことしてないからこそ、何かしないといけないと思う部分は、14年前の立派な負け犬さんたちと変わらないかなーなんて思うのでありました。まっ思うだけで翌日には忘れて努力しませんけどね。

    長くなりましたが、また10年後にどんな感想を持つかが面白そうだなと思う本です。

  • 著者がとことん突き抜けていて、爽快感があった。
    結婚しない・子を産まないことがそんなに負けか?とは思うものの、当書では「それはいったん置いておいて」著者の「遠吠え」に耳を傾けると、ユーモア溢れる語り口にニヤッとさせられる。

    しかしながら、この不況の中「負け犬」となる女性はなにも高学歴・高収入で、身なりも綺麗な人ばかりではない。というより、むしろそういった人がほんの一握りだと感じる。
    学歴はあっても、仕事では人間関係なんかにつまづいて、転職を繰り返していたり、はたまた学歴もなく、なし崩し的にフリーターのまま30代へ…とか。仕事もそこそも順調だけど、どうしようもないドブス(失礼)とか!
    そういった女性のほうが私は多いような気がする(恐らく著者との属するコミュニティがまったく違うからだろう。高学歴、高収入で男もとっかえひっかえなど負け犬の中でも勝ち犬もとい価値犬なのでは?と思わざるを得ない)。
    そして、そういった人は無かったことになっているから、キャリアウーマンに当てはまらない女達は、負け犬以下の存在ということなのだな、と思った。

  • まったく読む価値なし。
    10年前に話題になった本だから一読しておこうと図書館で借りてパラパラと読み始めたものの…30頁ほどでギブアップ。読むに堪えないしろものだ。
    「負け犬の遠吠え」と自らを落として書いている風だが、内容はまったく反対の自己礼賛。負け犬とは享楽的な恋愛体質者と位置づけ、未婚、子ナシ三十代以上の女子と定義する。危なっかしいこと、おもしろいことが大好きで、好奇心旺盛な女が売れ残るとして、いわゆる勝ち犬の既婚組をまじめで堅実な女の裏返しのように書いているが、果たしてそうなんだろうか。10年前に書かれたと差し引いて考えても疑問が残る。だいたい慎重に構えていては結婚に至らないんではないんでしょうかね。
    最初の30頁で判断して申し訳ないですが、あまり期待できる展開は望めないような気がする。ごめんなさい。

  • 女性が女性を語るとき、ある種のトゲはつきものだけど
    やはり読んでいて「ん?」と首をひねることが多かった。
    というのも現代の負け犬は、筆者が語る負け犬像よりももっと貧困化していると感じるからです。
    しかし10年近く前に書かれたことだと思えば、まぁ意見が合わなくてもしょうがないよな、と。
    否定的な感想になりましたが、
    なるほどと思うこともあったし、話題になった本ですし
    読んでおいてよかったです。

  • 最初にこの本と“負け犬”の定義だけを聞いたときは、また余計なことを言う輩が出てきやがって……と思ったが、いざ読んでみたら、自分が書いているかと思うほど! しかも著者の酒井女史は同い年! 思わず走っていって手を取りたくなった(どこへ?)。今も言葉だけが一人歩きしているが、ちゃあんと読めば本来の意味もわかってくるバス。“負け犬”のみなさん、食わず嫌いせずに読んでみましょう。少しは未来が気楽になりますよ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「少しは未来が気楽になりますよ。」
      ふ~ん
      「枕草子REMIX」や「紫式部の欲望」は結構ツボだったので、分析力は買うので読んでみようかな、、...
      「少しは未来が気楽になりますよ。」
      ふ~ん
      「枕草子REMIX」や「紫式部の欲望」は結構ツボだったので、分析力は買うので読んでみようかな、、、
      2013/08/17
  • もう20年近く前の本になるけれど、負け犬と勝ち犬の相容れなさをひしひしと感じ出していて、手に取った。両者は相容れないものなのだ、と分析されていて納得する。そして私は完全に負け犬まっしぐら。

    完全に負け犬の要素を持ち合わせているのだけど、負け犬の定義にはまるには、まだ少し猶予が残されている。かといって今更勝ち犬に180度方向転換なんてできないところまで来てしまっている。負けました、と腹を見せる覚悟もしつつ、どこかで抜け道も探している。

    20年で少しは負け犬に優しい世の中になったとも思う。結婚の価値というものが下がってきているようなのだけど、やはり結婚している方が勝ちということは変わっていない気がする。未婚だと、どこで間違えたんだろうなんて思ってしまう。
    人間っていつまでも変わらないものだなと、数十年前のこの手の本を読むたびに、安心するし、ガッカリもする。

  • 最初の数十ページで、こりゃくだらなそうな本と思ったけど、どんでん返しを期待して最後まで頑張って読んだが、結果くだらない本だった…。
    これ読んどいて、それ言っちゃ元も子もないかもだけど、結婚してるかどうかだけで勝ち負けをラベリングするのはだいぶ無理ある。
    筆者のいう、負け犬=好奇心旺盛で、安定よりワクワク感やその瞬間の楽しさを重視する、自由人。勝ち犬はその逆。みたいな定義も、いや、人それぞれやろ!と思ったし。
    なんだか、同性内での不用な対立構造をわざわざ作って、イヤ汁垂れ流してる筆者の人間性が、もうあーこの人、合わないなぁと。
    負け犬にならない十ヶ条とかも薄っぺらすぎて、バカバカしすぎて…これを真に受けて実行しようとしている若い人がいたら、そういうとこだぞ、と言いたい。
    私からしたら、まぁ10年以上も前の本だから、古すぎる価値観も仕方ないかぁと思ったけど、最近のレビューでも好意的な評価が多くてびっくり。

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著者プロフィール

エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

酒井順子の作品

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