- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062122054
感想・レビュー・書評
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初松浦寿輝。「あやめ」「鰈」「ひかがみ」からなる連作。正視できない悍ましい世界を見せつけられ、引き摺りこまれかけ、やっとの思いで戻ってきた。生死の混濁どころではない、はじめから境界すらないのではないか。人間の業の救いなさをここぞとばかりに悪鬼の如く現前させ、異界を幻術させ、目を覆いたくとも目を離させない。そこには恍惚に導く何かがあるのだろうけれど、それは何なのかを私はまだ知りたくない。この蠢く艶めかしい異界に囚われ身動きできなくなる前に、もっと無様に足掻いてみたい。しかしこの求心力に抗うのに相当消耗した。
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表題「あやめ」は出だしから引き込まれる。道を渡って車にはねられて死んだけど、なんとか道を渡りきった、ところからの物語。幻想的で物悲しい。
3つとも少しずつ重なっているが、展開としては別の話。2人目はおぞましい人物だが、扱いはあと2人と一緒。罪も罰もなく、感情も漂白された深い孤独を感じる。圧倒的な世界感ではあるが、まだここまでの心理にはなれない。ここに至る悲しみの深さを思ってしまう。 -
初めて読んだ作家さん。
なんだろう・・・。
不思議な感じ。
でも、まっぴるまにぽかぽかと日にあたりながら読んでるのに、本を読み始めるとすぐにこの世でないような曖昧な世界に入り込み、周りがずんと暗くなる感じ。引き込まれる。
うーん。あと何冊か読んでみないと、好きかどうかの判断は難しい。 -
2011/8/16購入
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暗かった。上に怖かった。
でも、こういう雰囲気は好きです。生きてんのか死んでんのか、幻を見ているようで。 -
幻想と現実と妄想と虚構と幽界と現実が入り乱れた感覚の表現がやっぱり秀逸。