最後の言葉 戦場に遺された二十四万字の届かなかった手紙

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062122122

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  • 激戦地で日本軍将兵が書き遺した手紙や日記を、作家・重松清が、遺族のもとへ届けます。彼らが伝えたかった思いとは。60年、届かなかった言葉が、私たちに語りかける……。

  • 32.お気に入りさんの本つぶを見て読みたくなりました。もう、涙涙で、図書館の本なのに濡らしてしまわないか心配になるほど泣きました。本当に戦争時代に生きた方々は、愛妻家で、家族思いで。それなのに、戦争によって引き裂かれてしまう。酷いなぁと思います。日記を書いた本人が読み直して欲しかったってあったけど、本当にそう思う。大切な日記をこうして他者に見られてしまうのは辛いけど、こういう形でしか知れないので、教えてくださってありがとうと、感謝の気持ちでいっぱいです。

  • しょ、しょっぱなから涙腺が壊れました。外で読めない…。

  • もうすぐ8月である・・

    8月が来る度に、あの第二次世界大戦〜太平洋戦争の頃の特番などがテレビで放映される。

    戦火の中で家族や友人、恋人のために日本人兵が書き留めていた手紙・・・それは本来はもう届かないはずだったもの。

    しかし米国などで偶然に発見されたこれらの手紙。

    そしてこの本は、その書き手の肉親を探し出し、重松清が手渡すというドキュメンタリーが書籍になったものだ。



    現在は、何かと世をはかなんで自分で死を選ぶ人もいる。

    それはその人にとって、かなりつらいものであるだろうし、他人が理解できないことなのかもしれない。



    しかし、戦いの最前線で引く事もできずに、玉砕する運命にあった日本人兵たち。

    生きて祖国の地を踏むこと、母親のつくった温かい食事を食べること、恋人を幸せにすること、子どもの成長を見ること・・

    そんなことを夢に見ながら、死んでいった彼らの言葉の一つ一つは、当然ながら胸を打つ。



    国を守ることが、家族を守ることになる・・だからこそ、死に立ち向かえたというのか。

    もしも自分がこの時代に生まれていたとしたら、オレはそこまで強くなれるとは思えない。



    オレ自身も当然ながら「戦争を知らない子どもたち」の一人である。

    そしてこの悲しい戦争を体験した年代の方々も、だんだんと少なくなっている。



    贅沢の飽和、自由の確保・・それだけでも満足しない現代人。

    しかし、どこかしらでこの時代のことを風化させない取組みがなくてはならない。

    そのような意味でも、この本は次世代にも引き継いでいかないといけない役割をもっていると思う・・。

  • 読書中

  • 戦争知らない私たちにはよく理解できないけど怖いな、戦争

  • 私の祖父はフィリピンにて特攻で殉死しました。私は神風特攻隊の孫です

  • 第二次大戦中、サイパン、ガダルカナル、ニューギニア、ソロモンで戦死した日本人将兵たちの日記が見つかった。NHKのディレクター渡辺考と作家重松清がその日記を遺族に届けるノンフィクション。

    死と隣り合わせの恐怖を感じながら、身体が次第に弱っていく。食べ物も兵器もない。しかし、お国のため天皇陛下のため、大本営発表の言葉を信じて、戦わなければならない。日記に書かれていることは、軍人としてではなく、父として夫として息子として 家族や恋人の身を案じることばかり。絶望や諦め、遺書。戦っている人はごく普通の感情の持ち主だ。私たちと何ら変わりはない。

    大本営発表の『大きな言葉』に、戦訓中の「生きて虜囚の辱めを受けず」の言葉に
    人々は導かれあるいは背中を押されて戦中を生きた。
    しかし、普通の人の『小さな言葉(日記)』が重くつきささる。

    戦後60年経った今、日記を手渡された遺族は喜びや驚きだけでなく、戸惑いも感じている。
    遺骨が帰らなかった為、ひょっとしてどこかで生きているのではないかという願いも
    かけていたと言う。

    上陸し、敗戦まで激戦を繰り広げたニューギニアでは
    今でも君が代をはっきり歌うことが出来る老人がいる。
    60年たった今でも 当時覚えさせられた歌詞とメロディを記憶している。

    戦争って何。
    「天皇陛下万歳!」だけでない、もっとささやかな もっと当たり前の
    もっと人間臭い戦場の日々。


    節子のこと思ひ出したまらなし。
    節子の肌、恋し。

    節子と別れてより約5ヶ月以上になりぬ。
    手紙も中々とどかぬといふ。卑怯には非ざれど、早く帰りたきものなり。

    節子よ、力強く歩め。凡ゆる障害を打破して歩まん。
    節子の柔き気持、しなやかなる腕、豊満なる肉体、一として余をして
    嫌はしむるものあらず。節子よ、元気なれ。
    而して、忍んで余の帰りを待て。

    余は決して死なず。断じて死なず。



    イラクに派遣されている自衛隊はどのような言葉を残しているのだろうか。
    戦争に行っているのではないと言っても同じ様な気持ちではないだろうか。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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