ブラフマンの埋葬

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著者 : 小川洋子
  • 講談社 (2004年4月13日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (154ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062123426

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ブラフマンの埋葬の感想・レビュー・書評

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  • ブラフマンと名づけられた動物は何なのか、最後まで明らかにはされない。
    体型の描写から言うとビーバーかカワウソかとも思うが定かではない。
    主人公が飼っていたのは、ペットでも動物でもなく「ブラフマン」なのだ。
    およそ生き物を飼ったことのある人なら、ここはおおいに共感できる部分だろう。
    碑文彫刻師の存在が、それを明快に語っている。
    世界にただひとりの、時間と心をわけあった友。それがブラフマン。
    主人公が自分のことを語る場面は過去形で語られ、ブラフマンのことを語る場面は現在形で語られる。
    そこが実に生き生きとしている。
    皮肉なことに、人間の「娘」にわずかに心を奪われた隙に、ブラフマンはあっけなく命を落とす。
    淡々と書かれた終盤の埋葬場面が、それだけに切ない。
    「淋しがらなくてもいい、僕はちゃんとここにいるから」
    そういえば私も、愛猫の死にそういって聞かせた。泣けるなぁ。
    無国籍風の舞台と、無駄を省いた文章が美しい。
    装画は山本容子さん。

  • 小川洋子さんの本ばかり選んで読んでしまうのは
    このひとの、こんな色彩感覚にも似たこの文才にあるとおもう。

    ブラフマンという ネコなのか、犬なのか、はたまたイタチなのかも
    わからない「謎」の動物の存在が「僕」の家に傷を負ってあらわれる。

    小川洋子さんの文章によく使われるのだけれど
    このかたの文章には「いち個人」の具体的な名前をつけない。
    わたしは「私」であって、ぼくは「ぼく」
    少女は「娘」であって、ほかを「彫刻師」など職業で表現する。

    またその職業もうつくしいし、外国か日本か
    そんなことはどうでもよくて、そこの世界観に生きる「ひとびと」という
    存在がある。

    もっとも好きなのが今回のような「僕」の存在や語りかけかただ。

    「無理しちゃダメだ」
    僕は頭を撫でた。
    「君は怪我をしているんだ」

    喧騒の中で生きているのをわすれるこの時間の静けさと対話のなんとやさしいことだろう。「僕」の存在というのは決してしかりつけたりなどしない。
    けれど謎の動物のいたずらにも「これは机といって、本を読んだり、食事をしたり、手紙を書いたりするものなんだ・・」と説明をする。
    人はこの説明という作業にどれだけ心が救われるかわからない。
    ここに「愛情」というものをとても感じるのだ。

    どうしてこんな風にすてきな言葉をえらぶんだろう。
    小川洋子さんの世界というのは色彩のように生まれて、水彩のように水を多く含んでいる。鮮やかな色をぼんやりと描き、ときには油絵のようにねっとりとけれど、全体はやさしく物語る。

    ブラフマンの最後ですら、彼女は「僕」としての注釈をつけた。
    けれど最後の一文に、電車の中で涙してしまうのだった。

  • 元資本家の別荘を管理する管理人。芸術家のお世話をする彼が見つけた不思議な生き物。その生き物とは、一体なんだろう?

    暗すぎずない内容で読後、何だかちょっとほっとした。

  • 【状態】
    展示中

    【内容紹介】
    夏の初めのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。それは傷だらけの小さな生き物だった。思いだせばいまでも温かな気持ちになれる、奇跡のような楽しい毎日。

    【キーワード】
    単行本・家族・生死



    +++1

  • つい50年前まで川を下る他には来る手段がなかった小さな村。そこに芸術家たちのために無償で提供されている家がある。創作者の家と呼ばれるその建物に住み込みの管理人している僕とある夏の夜迷い込んできた小さな動物、ブラフマンとの物語。

    ブラフマンは犬としか思えないのだがそうは書かれない。
    一体なんなのか?何故言ってくれないのか?そればかりが気になってしまい集中できなかった。ブラフマン目線のカギカッコつきのセリフの部分も必要だったのか疑問。

    土地と建物と人物と出来事の関係がうまく絡み合っていないような気がした。それぞれはとても魅力的なので余計に惜しい。後日談があれば読みたいくらいだ。

    小川作品にはもう少しの熱量とさらに癖のある人物を求めている。

  • 数時間で読めてしまった。やっぱりこの人の世界観が好き。奇想天外なストーリーがある訳ではないけど、心がスーッと落ち着く。

  • ブラフマンってなんだったん?
    罪悪感あり?
    こんなのって・・・理不尽

  • 結局ブラフマンって何だったんだろう。私は犬だと思ったけれど…。淡々と流れるブラフマンとの生活はとても穏やかで、きっとそうなんだろうな、という躾の過程も微笑ましくて。時おり出てくる彼女と彼の描写は少し生々しかったし、石棺の描写は神秘的でもあり、おどろおどろしくもあり。それでも流れる時間はとても穏やかに感じました。最後に来なかった彼女には苛立ちを感じずにはいられませんでした。車の運転のあたりから、あまり好きにはなれない人ではありましたが…。

  • 他の人の頼みならブラフマンを優先したろうに、娘のことが好きだったから、ブラフマンをひとりにしてしまった。悔やんだろうな。良い意味で人物像が掴みにくく、余韻の残る不思議な話だった。

  • 美しい文章で綴られる、主人公と謎の生き物との短い交流。
    とりあえず、すぐ読めた。
    ブラフマンは結局なんだったの?カワウソ?
    ブラフマンはちょっと可愛くて、愛らしくて、別荘の皆に見送ってもらえたのはよかった。ただ、主人公の男が若干気持ち悪い。好きな女の子のストーカーみたい。彼氏とちちくりあってる場所の詳細とかどうして知ってんのさ(ドン引き)。
    美しいようで薄気味悪く、泣くまでも笑うまでもない微妙なバランスを保った不思議な小説でした。
    泉鏡花賞といわれると、確かにな、といった感じです。
    ただ、現実世界とは解離したどこかの世界のお話風の展開は、どこか梨木香歩や川上弘美を連想させ、この手の話は先鋒がたくさんいるのにな、といった感想。
    彼女の言葉使いには惹かれましたが、内容はあまり残らなかったです。

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ブラフマンの埋葬の作品紹介

夏のはじめのある日、ブラフマンが僕の元にやってきた。あたたかくて、せつなくて、いとおしい。こころの奥に届く忘れられない物語。

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