庭の桜、隣の犬

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 390
感想 : 79
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062125895

感想・レビュー・書評

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  • 和田レミみたいな女の子は怖い。
    知らない間に取り込まれていくから怖い。

    どこにもいけないくらい空っぽだから。
    だから自分でどこでもない場所を作りたかったのかな。
    房子の「そうちゃん、私いくとこないんだよ」って
    言葉がすごく悲しかった。あんまりにその通りで。

    歪なんやけど、誰の日常もそんなもんやと思う。
    だからこの小説のラストはやっぱりちょっと切ないんやけど、
    それでも倖せな絵だなぁ、って感じました。

  • かなり私好みの本でした。
    主人公である房子は36歳の専業主婦であり、平凡な生活を送っているのだが、いきなり旦那の宗二が仕事が忙しいので職場の近くにアパートを借りることを宣言。
    実際、宗二はアパート太陽荘の1室を借り、その部屋と自宅の行ったり来たりとなる。
    でも宗二は決して不倫などやましい事をしている訳ではない。
    そんなの結婚してる意味がないのでは?と思う人が大半だと思うが、私は少しうらやましくも思える。
    <strong>大切な人と同じ時間を共有し続けるのも悪くはないと思うが、やはり自分だけの時間も大切だと思うからだ。</strong>
    だからと言ってそれは相手と一緒にいるのがイヤになったからとかではない。
    房子は宗二が部屋を借りることに反発したが、そんな状況を楽しんでいる部分もある。
    そんな房子に共感できる。
    <strong>房子はちょっと不思議な考え方をする主人公</strong>だが、その行動が楽しくてついつい読み進めてしまう。
    最終的にこの二人は離婚するのかしないのか分からないのだけど、それがどっちであってもこの二人の関係は変わらないのだろうな、ちょっと波乱万丈な生活だけど、ちょっと憧れてしまう。
    <strong>とても後味のよいお話でした。</strong>

  • 隣の家を覗き見しているかのような面白さ。30代の子供のいない夫婦の日常のちょっとした危機。

著者プロフィール

1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部文芸科卒業。90年『幸福な遊戯』で「海燕新人文学賞」を受賞し、デビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で、「野間文芸新人賞」、2003年『空中庭園』で「婦人公論文芸賞」、05年『対岸の彼女』で「直木賞」、07年『八日目の蝉』で「中央公論文芸賞」、11年『ツリーハウス』で「伊藤整文学賞」、12年『かなたの子』で「泉鏡花文学賞」、『紙の月』で「柴田錬三郎賞」、14年『私のなかの彼女』で「河合隼雄物語賞」、21年『源氏物語』の完全新訳で「読売文学賞」を受賞する。他の著書に、『月と雷』『坂の途中の家』『銀の夜』『タラント』、エッセイ集『世界は終わりそうにない』『月夜の散歩』等がある。

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