怪帝ナポレオン3世

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著者 : 鹿島茂
  • 講談社 (2004年11月30日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (486ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062125901

怪帝ナポレオン3世の感想・レビュー・書評

  •  <馬鹿の色情狂>といわれていたナポレオン三世がじつはフランスを先進国に押し上げた大政治家であり、たんなる飾り人形と思われていた皇妃ウージェニーがとんでもないモンスター・ピアレントで第二帝政崩壊の張本人であったとは、まことに驚くべき歴史の真相というしかない。とはいえ、ナポレオン三世その人が複雑怪奇きわまる行動で周囲を唖然とさせていたことも争えぬ事実であるからには、その真の評価はこれから始まるということなのだろう。
     19世紀フランスの夢と悪夢をまぜこぜにしたような時代を色鮮やかな絵巻物のように見せてくれた鹿島氏の力量には、ただただ感服するばかりである。

  • 著者いわく、この帝の世間一般的なイメージは「馬鹿」だそうだ。
    私にとっては少し違って、オーストリア皇弟をあれほど悲惨な目に遭わせたからには、悪魔のごとき血も涙もない陰謀家だとばかり思い込んでいた。
    いずれにせよ、無知と誤解に満ち満ちた偏見だったことは変わらない。

    しかして、その実像は。
    王子→亡命者→囚人→大統領→皇帝→戦争捕虜→亡命者とめまぐるしく変転した64年間にこの男が夢見たものは、なんと壮大で、21世紀の今振り返ってさえ、進取の気にあふれていたことか。
    「貧困を根絶するために皇帝になる」などと大真面目に言うやつは、確かに相当の「馬鹿」だろう。この英雄の甥ときたら、言うだけでなく本当に即位し、さらに数々の画期的な福祉政策を断行してのけたのである。

    サン=シモンという名前は、「空想的社会主義者」なる、どう考えても褒め言葉ではない決まり文句とセットで知られる。ナポレオン三世はこのサン=シモンの熱烈な信奉者であり、そしてまた一方では没落皇家の一員という、権力の座に就くにはこの上なく不利な生まれであった。
    にもかかわらず、不屈の精神で皇帝にまで上りつめ、巨大な権力と実行力を手に入れて、「空想的」な己の理想を現実にすべくひたすら邁進した…それが著者が提示してみせた、知られざるナポレオン三世の姿である。

    政治や経済の「堅い」話がかなり続くが、明快で軽妙な著者の筆は、それを苦痛に感じさせない。内容のみならず、リーダビリティの点でも画期的な名著である。
    強いて言うなら——著者も認めているように——誹謗中傷に晒され続けた人物の再評価を志すあまり、彼のダメ人間としての側面の描写がないがしろにされてしまった感がある。本書に負けず劣らず面白い作品になるはずのそれを、一日千秋の思いで待ちたい。

    2012/5/23〜5/24読了

  • 【08.5/図書館】
    まだ読中。クーデター関係の部分が面白かったなぁ〜!今まで「1851年12月に、大統領ルイ・ナポレオンがクーデターをおこして(以下略)」くらいの、年表的情報しか知らなかったから、色々となんかこう面白かった……。
    読了してから改めてまとめます。歴史はあっちからもこっちからも見てみる必要って、やっぱりあるね。
    現代社会を含めてだけど、左右とか上下とかに偏ってちゃ、楽しさ半減っていうかさ。

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怪帝ナポレオン3世の作品紹介

花の都パリを造り、消費資本主義を生みだした皇帝は、貧困根絶をめざした社会改革者でもあった!?この摩訶不思議な人物の実像を徹底的に解明する。

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