幸福な食卓

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著者 : 瀬尾まいこ
  • 講談社 (2004年11月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062126731

幸福な食卓の感想・レビュー・書評

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  • いやあ、反則ですよ、瀬尾さん……。

    「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」の書き出しで始まるこの作品。
    さすが「坊ちゃん大賞」受賞作家。
    毎度毎度の事ながら、一気に読者を魅きつける書き出しだなと思い、読み出した。
    いつものように飾り気のない素直な文章が心に染み入る。
    「ホントに彼女の文章はほんわかして心がほのぼのしてくるよなあ」と、映画「テルマエ・ロマエ」を観て大笑いした後に帰宅し、部屋で横になりながらこの本を読んでいた。
    「最後は今回どんな終わり方なのだろう?」とのんびりした気持ちで読んでいたのだ。
    最終章『プレゼントの効用』に入っても。
    「中原さんも大浦君も微笑ましいカップルだなあ。大浦君は何をプレゼントし、何を中原さんに要求するのだろう?」
    とワクワク、ウキウキしながら読んでいたのだ。
    ところが、まさかの急展開。
    そんな……。
    一気に涙が零れ、気が動転してしまった。主人公の中原さんのように。
    そんな馬鹿な……。嘘でしょう?
    涙が止まらなくなった。
    「反則だよ、瀬尾さん」と心の中で思わず呟いてしまったのだ。

    思っていた以上に懐の深い作家でした。瀬尾まいこさんは。
    泣かされました。やられました。参りました。お手上げです。降参です。
    また、次の作品が読みたくなりました。それしか言えません。

    映画化され、DVDも出ているようです。
    しかも、昨日観ていたDVD『武士道シックスティーン』に出演した北乃きいちゃんの映画デビュー作だって。
    そのうえ、この映画で第31回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞だそうだ。
    中原さんのイメージにぴったりだよなあ。観たい……。
    おそらく映画を観ても、ラストは泣いてしまいそうな私です。はい。

  • もういい大人なのに、190ページにさしかかった途端に声をあげて泣いて、
    娘にあきれられた、記念すべき作品。

    「家が遠いのに自転車でかわいそう」的発言をしたために、主人公佐和子に頭が貧困と言われ、早速次には自転車に乗ってきて(しかもお金持ちなので電動自転車!)、帰りには電池切れで押して帰っていく大浦くんの後ろ姿。

    初めて彼氏の家を訪れるときに、手土産にお歳暮かお中元でもらったサラダ油セットを持ってきたヨシコが、傷ついた佐和子のために作ったかすかすのシュークリーム。(ときどき卵の殻入り。)

    そんなひとつひとつのエピソードがたまらなく愛おしい、大好きな一冊です。

  • みんなに会ってみたい。

    温かく、気持ちよく生きている。

    泣いた。自然と涙があふれてくる。 悲しみが素直に伝ってくる。


    でも、最後には上を向いて歩いていける。

    きっと、幸せな道が開いている。開くことができる。待っている。

    瀬尾まいこさん、すばらしいです。

  • 淡々と進んでいく時間、あっさりとした言い回し、展開。

    どれをとっても"情熱的"な要素はどこにもないのに、心にふんわり響く小説。

    あったかくて、切なくて、柔らかくて、ふわりとしてて。

    陽光の中干しておいた布団に包まれたときのような、優しい優しい包容感。

    切ないのに爽やかな読後感。

    深刻な事態をものすごい軽いことのようにさらりと書いて淡々とストーリーが進むのに、何かがすとんと心に落ちてくる。

    どれだけつらいことがあっても、朝は普通にやってくる。

    そして、ありふれた日常も。


    優しすぎる物語。

    たまにはこうやって、文学やら比喩やら何やら難しいこと考えずに、児童書みたいに単純に読めちゃう小説もいいな。

    好みです。読後感、好きです。

  • 瀬尾さんの世界観あふれる一冊。
    離れても繋がっている家族に感動しました。最後の展開にはビックリしましたが、あえてハッピーで終わらないのが良いと思った。

  • 初めて読む作家さんだったけど、ふわっとした感じで読んでて楽しかったです。好きな人とのやり取りを思い出しているシーンでは、主人公が大事に思っていることが伝わってきて思わず泣いてしまいました。すごく感情移入ができた小説でした。

  • 佐和子は中学生。父親と6歳年上の兄・直との3人暮らし。
    母親は訳あって別居したけれど頻繁に交流している。
    家族みんなで取り繕ってはいるが5年前の梅雨に父親は自殺に失敗してしまった。
    その一件をきっかけに家族一人一人にはひずみが生まれ始めていた。

    あらすじをかいつまんで書いたけど実際は重い過去を背負いながらも
    登場人物たちはみんな飄々と過ごしていて重苦しさはほとんど漂っていない。
    どちらかというと滑稽ささえ持ち合わせている。
    こういう設定が物語を重くしすぎてなくて私にはすんなり溶け込めた。
    いきなり冒頭で「父さんは父さんを止めようと思う」と淡々と宣言する父親。それに対して特に驚きもしない兄。
    その兄・直は毎日毎日下手なギターをかき鳴らしたり、彼女へのクリスマスプレゼントに
    突拍子もないものを選んで佐和子を驚かせたりその他もろもろのエピソードに思わずクスリと笑ってしまう。
    その彼女小林ヨシコのキャラクターもなかなかいい味を出していて
    佐和子の恋物語とともにストーリーにふんわりした印象を加えている。

    佐和子の「父さんが自殺を図っても、母さんが家を出て行っても、そして突然の悲しい出来事があった時も
    いままでと同じように普通に朝はやってきてアタリマエにお腹が空く」という言葉は
    どんな悲しむ言葉を重ねるよりもとても切なく響いた。
    ラストの数行もとてもいい言葉だと思う。

    ここからはネタバレです↓



    佐和子にプレゼントをあげるために始めた新聞配達の途中で死んでしまった大浦くんと
    彼に手作りのマフラーをせっせと編んでいた佐和子。お互いが直接渡すことは叶わなかったが
    二人とも同じマフラーを送ろうとしていたというところがなんとも切なかった。
    「私は大きなものをなくしてしまったけれど、完全に全てを失ったわけじゃない。
    私の周りにはまだ大切なものがいくつかあってちゃんとつながっていくものがある。」
    いい言葉だな~~でも若干18歳で人の死に直面してこんな風に思えるって大人だな~

  • つらいことがあった時も
    悲しいことがあった日も、
    朝は変わらずやってくる。

    食卓に並ぶのは家族の優しさ。
    けれど家族を縛っているのはそんな食卓の決まりごと。

    お父さんは自殺に失敗して
    お母さんは家出した。
    私は梅雨が苦手になり、いつからか兄は真剣さを捨てた。

    それでも家族は繋がっている。
    みんな気付かないところで悩んで傷ついて。
    そして気付かないところで想われて守られて…
    どうかこうあればいい、きっとそんな物語。

    ***
    たぶん現実にこんな家族はありえない。でもありえそうだと思うほど、どこかが限りなく現実に近い。
    ふわりと暖かくて、ちくりと悲しい。そんな物語です。

  • 本当に素敵で綺麗。心から愛おしいと思える作品でした。

  • ちょっと変わった家族の話。ひとりひとり、個性があるがいい味出してんだなぁ。初っ端の唐突さから始まり単なるソフトな破天荒家族の話かと思いきや、徐々に色々な事情が出てくる。暖かく面白く、それでいてしんみりさせる。が、最後はまた暖かさで締める。展開も上手いがテンポも良い。登場人物も好きだわ。非常に気に入りましたわ。

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