幸福な食卓

著者 :
  • 講談社
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  • / ISBN・EAN: 9784062126731

感想・レビュー・書評

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  • R3.9.2 読了。

     少し変わった家族の物語。家族の形ってどんなものがいいのかな?
    うちの家族には無いものがたくさんあり、読んでいて温かい気持ちになれました。

    • theamaries1994さん
      家族のかたちに関わらず、その大切さは伝わってくるお話だと思いました。
      家族のかたちに関わらず、その大切さは伝わってくるお話だと思いました。
      2021/09/03
  • 「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」
    春休み最後の日、朝の食卓で父さんが言った。
    主人公・中原佐和子の父親が仕事の教師を辞め、そして父親も辞めると宣言する。

    これが物語の始まり。なかなかインパクトのある出だしに、少々、父親の無責任さに苛立つ。

    当然ながら『お父さんを辞めるなんて、なんて無責任な父親なんだ!』と思ってしまう。
    しかも兄・直は、憤りも動揺もなく「いいんじゃない?」の一言を発したのは、この兄の思考は?と疑ったのち、学年トップの成績で英検1級、漢検1級であることを知ると『そうなんだ』と逆に落ち着いた思考だと感心してしまう。(すごい先入観だ)

    自殺未遂の父、夫の自殺未遂に病んでしまい家を出た母(家を出た後は生き生きしているようだ)、天才児で大学を中退し農業をする兄、父の自殺未遂のショックから梅雨時期に具合が悪くなる佐和子。これが中原家である。

    「うちの家庭って崩壊してるのかな?」
    私がプリンにスプーンを突き刺しながら言うと、母さんが目を丸くした。「どうして?恐ろしく良い家庭だと思うけど」「父さんが父さんを辞めて、母さんは家を出て別に生活してる」
    (中略)
    「でも、みんなで朝ご飯を食べ、父さんは父さんという立場にこだわらず子どもたちを見守り、母さんは離れていても子どもたちを愛している。完璧。」

    良い家庭の基準はその家族が決めるものである。側から見ていて崩壊していても(笑)、その家族がいいと思っていれば、これが普通だと思っていれば、それでいい気がする。
    仮に中原家が崩壊していたとしても、私がこの家族を良い家族だなぁと思えたのは、家族が家族のことを考えていることだ。

    佐和子が高校になってつき合った大浦君が、亡くなった時、佐和子を支えたのは家族であった。直ちゃんが、小林ヨシコに振られそうになった時に一緒に悩んだのは佐和子だった。

    「幸福な食卓」の定義、この本を読んで、タイトルの意味がわかる。家族が揃って食事ができることが何よりの幸福ではなかろうかと同意する。少なくとも中原家においては…

  • ごく普通の家庭がそれを守ろうとするがあまり壊れそうになる前に、それぞれ、あるがままのかたちで受け入れようとする姿を描く。

    しかし、最後が悲しすぎて…。
    なぜそうしなければいけなかったのでしょう、瀬尾さん!と問いたくなる。

    中学校の国語の教科書にも紹介されていたが、確かに中学生以上向けだと思う。

  • ある日、父が「今日で父さんをやめようと思う」と言った…

    軽いタッチでさらさらと話は進むけどなかなかの高カロリー展開。家族の関係やその他諸々考えさせられた。
    でもやっぱり私は瀬尾まいこ先生が好きだ。

  • 父親をやめた父親、家を離れて一人で暮らす母親、真剣な人間関係を築けない兄、うまいこといっているようでどこか正常に機能していない家族、自身の学校生活、恋愛に悩む佐和子の物語。

    「真剣ささえ捨てることができたら、困難は軽減できた」と言う、かつて自殺を試みた父の言葉など、人生の重い側面を根底に敷きながらも朗らかに進んでいく日常。
    大浦くんとの和解、小林ヨシ子による兄の復活で次第に良い方向に向かっていくほっこり物語かと思いきや。。。

    あまりに唐突な落下に心がついていかず、一度一息つくために本を閉じざるを得ない展開。
    それでも凛として前に進む家族の姿にじーんときた。

    • koshoujiさん
      私のレビューに”いいね”をいただき、ありがとうございました。
      この作品は、最後の落ち、というかあまりの急展開にびっくりしましたね。
      えっ...
      私のレビューに”いいね”をいただき、ありがとうございました。
      この作品は、最後の落ち、というかあまりの急展開にびっくりしましたね。
      えっ!!!!!
      と開いた口がふさがらず、その後は涙涙でした。
      一応、結構たくさんのレビューを面白おかしく書いているので、是非ほかのもお読みいただければありがたく。<(_ _)>
      2020/08/27
    • fukayanegiさん
      コメントありがとうございます。
      いやほんと、全然構えてなかったので。
      むしろ、この先どうなっていくのかなぁと期待していたところだったので...
      コメントありがとうございます。
      いやほんと、全然構えてなかったので。
      むしろ、この先どうなっていくのかなぁと期待していたところだったので余計に衝撃でした。
      2020/08/28
  • 前半から色々なことがありすぎて、驚きつつもついて行くのに必死でくらいついていたが、すごくいい話でしんみりした。

    両親のこと、兄のこと、兄の彼女のこと、進学のこと、、、など、色々なことが起きる中で、
    大浦くんという彼氏と付き合い、互いに切磋琢磨しながら受験、高校生活と人生を謳歌してきたのに、突然の大浦くんの死は辛すぎる。。。

    もちろん、家族が亡くなるのはすごく悲しいことだが、大好きな人ってやっぱり、他の人とはひと味違うもんね。絶対、私だったら立ち直れない、、、
    辛いな〜と思いながら、前へ進んでいく佐和子に勇気を貰ったような気がする。

  • 泣けた。佐和子と大浦くん、いい感じだな〜と思ってたら突然いなくなってしまって…
    2人も、佐和子の家族も、小林ヨシコもみんな思いやりに溢れた素敵な人たち。
    ひたすら気持ちが落ち込む佐和子にヨシコが不器用にかけた言葉も何だか沁みた。「恋人も友達も何とかなるよ。あんたの努力しだいで。(中略)でも家族はそういうわけにはいかないでしょう?お兄ちゃんの代わりもお父さんの代わりもあんたの力ではどうすることもできないじゃん」「もっと大事にしろって思うし、もっと甘えたらいいのにって思うよ」

    中学生の恋の始まりや、高校生カップルの日常、老人ホームと交流会のための合唱練習がうまくいかないところ等、描写がとってもリアルだと思った。青春の甘酸っぱくキュンとする感じがした。

  • いやあ、反則ですよ、瀬尾さん……。

    「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」の書き出しで始まるこの作品。
    さすが「坊ちゃん大賞」受賞作家。
    毎度毎度の事ながら、一気に読者を魅きつける書き出しだなと思い、読み出した。
    いつものように飾り気のない素直な文章が心に染み入る。
    「ホントに彼女の文章はほんわかして心がほのぼのしてくるよなあ」と、映画「テルマエ・ロマエ」を観て大笑いした後に帰宅し、部屋で横になりながらこの本を読んでいた。
    「最後は今回どんな終わり方なのだろう?」とのんびりした気持ちで読んでいたのだ。
    最終章『プレゼントの効用』に入っても。
    「中原さんも大浦君も微笑ましいカップルだなあ。大浦君は何をプレゼントし、何を中原さんに要求するのだろう?」
    とワクワク、ウキウキしながら読んでいたのだ。
    ところが、まさかの急展開。
    そんな……。
    一気に涙が零れ、気が動転してしまった。主人公の中原さんのように。
    そんな馬鹿な……。嘘でしょう?
    涙が止まらなくなった。
    「反則だよ、瀬尾さん」と心の中で思わず呟いてしまったのだ。

    思っていた以上に懐の深い作家でした。瀬尾まいこさんは。
    泣かされました。やられました。参りました。お手上げです。降参です。
    また、次の作品が読みたくなりました。それしか言えません。

    映画化され、DVDも出ているようです。
    しかも、昨日観ていたDVD『武士道シックスティーン』に出演した北乃きいちゃんの映画デビュー作だって。
    そのうえ、この映画で第31回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞だそうだ。
    中原さんのイメージにぴったりだよなあ。観たい……。
    おそらく映画を観ても、ラストは泣いてしまいそうな私です。はい。

    • まろんさん
      こんばんは。『幸福な食卓』のレビューに温かいコメント、ありがとうございました!

      佐和子と大浦くん、ほんとにほほえましくて、いつまでも見守っ...
      こんばんは。『幸福な食卓』のレビューに温かいコメント、ありがとうございました!

      佐和子と大浦くん、ほんとにほほえましくて、いつまでも見守っていたいような二人だったので、
      あの展開には涙、涙でした。。。
      大浦くんとの出逢いのおかげで、佐和子のトラウマが薄れてきていた矢先だったのに。

      でも、少しずつ浮上しかかってた佐和子の心が、大浦くんのことでまたどん底まで沈んだのを、家族や友達や、ガサツなヨシコまでもが、それぞれ自分のやりかたで引っ張り上げようとする、そこがまた瀬尾さんらしくて素敵でしたよね。

      映画も張り切って観に行ったので、その感想は映画のレビューのほうに。。。
      2012/05/10
    • nobo0803さん
      koshoujiさん、はじめまして。
      「幸福な食卓」へのコメントありがとうございました。
      koshoujiさんのお名前、私もフォローしている...
      koshoujiさん、はじめまして。
      「幸福な食卓」へのコメントありがとうございました。
      koshoujiさんのお名前、私もフォローしている方のところで 拝見させていただき、レビューも読ませていただいてました!!これからはフォローさせていただきますね。

      私にとって 瀬尾さんはこれが初めての作品なんですが、いやぁ~やられましたね・・
      koshoujiさんは 他の作品も読まれているんですね。私も他のを読みたいのですが、、ただいま
      図書館の予約待ち。。いつになることやら。

      映画は皆さん、おすすめしてくださっているので是非、この夏休みに見てみようとおもってます。

      今後ともよろしくお願いします!!
      2012/07/23
  • もういい大人なのに、190ページにさしかかった途端に声をあげて泣いて、
    娘にあきれられた、記念すべき作品。

    「家が遠いのに自転車でかわいそう」的発言をしたために、主人公佐和子に頭が貧困と言われ、早速次には自転車に乗ってきて(しかもお金持ちなので電動自転車!)、帰りには電池切れで押して帰っていく大浦くんの後ろ姿。

    初めて彼氏の家を訪れるときに、手土産にお歳暮かお中元でもらったサラダ油セットを持ってきたヨシコが、傷ついた佐和子のために作ったかすかすのシュークリーム。(ときどき卵の殻入り。)

    そんなひとつひとつのエピソードがたまらなく愛おしい、大好きな一冊です。

    • まろんさん
      まっき~♪さん、コメントありがとうございます(*^_^*)

      本嫌いの子を持つ母、ってとこまで一緒だなんて、ほんとにご縁を感じます!
      よく育...
      まっき~♪さん、コメントありがとうございます(*^_^*)

      本嫌いの子を持つ母、ってとこまで一緒だなんて、ほんとにご縁を感じます!
      よく育児書に、
      「子供を本好きに育てるには、親が楽しそうに読書する姿を見せるのが一番です」
      みたいに書いてあるけど、ぜったい嘘ですよね?!

      映画版『幸福な食卓』は、登場人物が絞られてて
      大浦くんが2人分のエピソードを背負ってたりするけれど、
      原作の雰囲気を壊さず、とても誠実な仕上がりになってるので
      思う存分浸って泣ける時に、観てみてください♪

      私としては、脳内キャスティングしてた、兄役の平岡祐太くんが
      本当にその役で画面に出てきたので、感激でした!
      2012/05/29
    • マリモさん
      わー、映画もよさそうですね!
      映画のページで見たのですが、佐和子に北乃きいちゃんはぴったりだなぁと思いました。
      二人分のエピソードを背負う大...
      わー、映画もよさそうですね!
      映画のページで見たのですが、佐和子に北乃きいちゃんはぴったりだなぁと思いました。
      二人分のエピソードを背負う大浦くんとのことですが、頭の中でイメージしてみると、大浦くんと鯖のエピソードの組み合わせは「あり!むしろすごくあり!」です(笑)
      2012/11/20
    • まろんさん
      マリモさん☆

      北乃きいちゃんをはじめ、キャスティングがとても良くて
      瀬尾さんファンも納得♪の仕上がりになっているので
      マリモさんも、お時間...
      マリモさん☆

      北乃きいちゃんをはじめ、キャスティングがとても良くて
      瀬尾さんファンも納得♪の仕上がりになっているので
      マリモさんも、お時間があったら、ぜひぜひ!
      ラストで流れるミスチルの曲を、瀬尾さんのために
      受け持っていた生徒たちが歌ってくれたというエピソードをエッセイで読んで
      そこでもまた泣いてしまった私でした。
      2012/11/21
  • 瀬尾まいこさんの本は今回2冊目
    瀬尾さんの書く物語の女の子はいつも何かに守られてる気がする
    女の子は弱く壊れやすく守らなければならない存在
    そんなイメージ

    「幸福の食卓」を読んでいると小川糸さんの「ツバキ文具店」の世界に近いなと感じた

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著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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