- Amazon.co.jp ・本 (102ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062127394
作品紹介・あらすじ
村上春樹と佐々木マキが贈る大人のためのストーリー魅力溢れる絵。ぼくは「図書館」から、脱出できるのだろうか?懐かしい"羊男"も登場。
感想・レビュー・書評
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村上春樹さんについては、学生の頃、「TVピープル」を読んで、全く理解できなかった記憶があり、以後、読まず嫌いになっていたのだが、フォローしている方々のレビューを読んでいる内に、また気になり出して、今回、いつもの図書館に、佐々木マキさんの、愛嬌のある絵柄が印象的な本書があったので、借りてみました。
なんでも、元の作品として、「図書館奇譚」があり、本書は絵本ということで、少々文章を変更しているとか、羊男が他の作品にも登場しているとか、あるらしいのですが、その辺については全く分からないので、あしからず。
読み終えて、単純に思ったのは、主人公の夢なのではないかという、我ながら面白味のない考えで、さすがにこれはないかと思いつつ、久しぶりに村上春樹さんの作品を読んで、不条理を思わせる内容ながら、刺激的な体験ができた喜びもあり、知識を貸すだけだと図書館が損をするといった表現は、今読んでも新鮮な感覚でした。
それから新鮮といえば、物語の終わり方もそうだったのですが、単純に暗く悲しい感じというよりは、文章の所々に突然現れる哲学的な文体、『世の中はこともなく流れておる』や、『羊男さんの世界に私が存在しないからといって、私そのものが存在しないってことにはならないはず』から、「主人公の世界が、たまたま他の世界と重なり合っていないだけ」という考えが頭を過ることで、何か現実離れした気楽さを感じられそうな、不思議な読後感が面白かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
図書館に本を借りに来た少年は、不気味な老人によって図書館の地下にある牢屋に閉じ込められます。
どうやら少年は知識をたっぷり詰め込まされ、その挙句に脳みそを吸われてしまう運命にあるらしい。
食事を用意してくれたり話相手になってくれる羊男は親切ですが、このままではいけません。
ここから逃げ出すにはどうしたものか…
「脳みそを吸う」なんて怖いことが、なんでもないことのように書かれているのに、肌がぞわわっ。
現実にはありえない、と思って読んでいても、急に「青いそばがらの枕」とか、ものすごく現実感のあるものが出てくると、こんなにドキリとするものか、と思い知らされました。
それに、最後に残るなんとも言えない喪失感…一連の出来事を通して、少年は失ったもののほうが多いのです。
物語に漂う不気味さや怖さが、佐々木マキさんの絵で中和されている…というよりも、マヒさせられているような感じでした。
村上春樹×佐々木マキ…おそるべし。 -
これ好き。
佐々木マキさんの絵がとてもマッチしている。
漢字とか言葉遣いとか、子ども向けみたいな書き方をしつつも結構ブラック。 -
図書館。迷路。
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独特な世界観。羊男の揚げたてのドーナツと入れたてのレモネードが美味しそう。でも牢屋に入れられてまで読書はしたくない。
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装丁や挿絵の可愛らしさに反して内容はシュールかつ不気味、ラストは喪失感に包まれている
羊男とドーナツという謎にしっくりくる組み合わせ -
読了2009.12.29
装丁が気に入り購入。日常からちょっと裏道に踏み入ったところにある、思いもかけない恐怖。さりげない怖さにぞっとします。 -
好き
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不可思議