- Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062128803
作品紹介・あらすじ
老人世帯で連続する失火による火災。住人は、"不運な偶然が重なって"焼死。赤羽台出張所の若手消防士、大山雄大は出火原因に疑問を持ちはじめていた。「…これは、放火自殺なのか…?」閉塞した世の中を雄大が救う。
感想・レビュー・書評
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「認めたくないものだな、自分自身の若さゆえの過ちというものを」
というのは、アニメ史に残る赤い彗星さん☆の名言ですが
この言葉を、赤い消防車で火災現場に駆け付ける
この本の主人公、雄大の言葉に翻訳すると
「認めてたまるかっつーの!バカ親父を無駄死にさせた、消防士なんて
割の合わない仕事に、やり甲斐感じちまってるなんてよー!」
といったところでしょうか?
一刻も早く9時5時の事務職に転属するんだー!とわめきつつ、
焼死者が出ると人一倍胸を痛め、出火に少しでも不審な点があると
24時間勤務明けの貴重な休日まで潰して原因究明のため走り回る雄大。
相変わらずの熱血バカぶりも、なぜか微笑ましく感じる今日この頃。
口元だけでニヒルに笑う星野がめでたく特別救助隊員となって部隊を去り、
漆黒の王子☆守も、いつのまにかかき消すようにいなくなっていて
えー!お気に入りキャラがふたりとも出てこないなんて!と涙目になってしまったけれど
類焼して隣家に迷惑をかけることなく、生きてきた証だけを焼きつくして
永年住んできた家とともに焼死する老人たちの孤独と絶望に
母親に認めてもらうという唯一の存在意義を見失った少年の切なさが重ねられ、
自分を「要らない人」と思わざるを得ないところまで人間を追い込んでしまう
今の世の残酷さに、お気に入りキャラ云々で涙目になってちゃいけない!と思ったり。
やりきれない真相に胸は痛むけれど、
「なんのために生きるの?」と問いかける裕孝に
「俺は世界で初めて馬鹿を治した男になってみせる。これが俺の生きる目的だ!」
と大真面目に宣言し、
火事場で生き残った小さなカメを飼うために、ペット可の物件を探さねば、と
本気で悩む雄大に、救われた気分になるFire's Outシリーズ第二巻。
それにしても、最後の最後に守の「あの人」の謎を残したまま終わるなんて
日明さん、意地悪すぎ!と、再び涙目になる私でした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
消防士シリーズ第二弾です。自分の知らない消防の知識が興味深くて面白かった。ダチの裕二との関係も最高です。みんなに馬鹿だと言われている雄大ですが、男気があってカッコ良いと思います。3作目も楽しみだなぁ。
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面白い、というのは不吉だが凄い。
初めの方は、うん?とあまり分からなかったが、徐々に内容がわかってきた。
放火、そして現代が抱える「老人問題」そして「家族疎遠問題」
後半は、家族のお話でよかった。
何より、雄大の母・民子がいい人で凄い好き。この中で一番好きかも。
息子だからといって、甘えさせず凛々しく?やっていく姿。
よかったです。この本は。
しかも、ロードアンドゴーの主人公の生田兄貴が所々出てくるのもまたかっこいい。 -
これもまた、「まろんさん」のレビューに触発させられて読んだ1冊。
特になりたかった訳ではないが、「消防士、なれるもんならなってみろ!」の売り言葉に噛みついて消防士になった若き主人公の話。
キャラクター設定が上手いですね。身長2m近い主人公、かわいい柴犬を彷彿させるが実はかなりの毒を持つ友達、まっすぐに正しくひねくれた中学生。配分が絶妙です。
詳細なストーリーは伏せますね。
ただし、この小説の舞台である「消防士」と言う職業に対する説明が多い。(設定上やむを得ないのか・・・)
プラス、主人公の“思考”をキャラに合わせた感じで書き連ねている。これは読み方には辛いのでは?
問題の事件が解決した後半になってから、急に面白くなります。私的には、イケてる母「民子」に是非お会いしたい!!
後は江さんの「麻婆料理」が食べたいです!(辛さ控えめで・・・)
日明恩(たちもりめぐみ)さんの著書は初めてでした。ほかにどんな話を書かれるのか、少し気になります。-
なんと、またレビューに登場させていただいてありがとうございます(*^_^*)
民子さん、素敵ですよね♪
自分の中に覚悟がある、背筋の伸び...なんと、またレビューに登場させていただいてありがとうございます(*^_^*)
民子さん、素敵ですよね♪
自分の中に覚悟がある、背筋の伸びた女性の描き方が、日明さんは上手だなぁ、と思います。
kickarmさんのご指摘の通り、日明さんって
お仕事ものを書くと、前半は職業の説明に終始するきらいはありますね(笑)
たぶん、取材して「おお!」と思ったことは全部書かずにいられない
真面目な作家さんなんだろうなぁ、と思ったりします。2012/12/16
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高齢者世帯の火事が相次いだ。いずれもその住人達の過失による出火=失火と判断されたが、雄大は何かがひっかかった。これらは本当に失火なのか?雄大はそこまで仕事に情熱は無いと自分に言い訳しながら、非番を利用して現場へと向かった。
「鎮火報」に続くFire's Outシリーズ第2弾。真相を知ると、辛い現代社会を目の当たりにして悲しい気持ちにもなるが、今回もしっかりとキャラが立っているので、それだけでは終わらない。雄大、そしてダチの裕二、そして新たに知り合うことになる裕孝(チビ)。この3人のやりとりが、いい意味で古臭く爽やかで、ちょっとした青春ドラマのよう。でも、悪くない。できたらこの3人の関係も続いていってほしいものだけど。
消防団の面々も第1弾に引き続き登場している。「ロード&ゴー」では救急車を運転している生田の兄貴は、この作品ではまだ消防車を運転しているのだが・・・仕事に対する姿勢を含め、かっこよさではこの人がダントツ!?(^^)
楠目守に対する描写にはすっかり騙されていた。前作を読んでからだいぶ間が空いていたので、「え、最後死んでたっけ!?」と勘違い。なんなのもうー!そして結局、「あの人」って誰(何)だったのさ! -
読み終わったら、マーボー豆腐が食べたくなります。
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前半はテンポも悪く、雄大独特の語りに飽き飽きしつつ、なかなか読み進められなかった。
中盤以降、チビの登場くらいからやっとおもしろくなってきたけど、前作に比べるとイマイチだったかな。
新しい仲間も増え、守のことも気になるので、三作目に期待。 -
作品解説(帯より):老人世帯で連続する失火による火災。住人は、“不運な偶然が重なって”焼死。赤羽台出張所の若手消防士、大山雄大は出火原因に疑問を持ちはじめていた。……これは、放火自殺なのか……? 閉塞した世の中を雄大が救う!
人物描写や消防関係の特殊機器の描写が弱く全然イメージがわかない。主人公・雄大の視点で描かれているが、突然わけのわからない方向へ話が移行するためリズム感が悪い。回想のなかで、なぜ明らかに内容に関係の無い話を上げているのかもわからない。
読了後に色々調べてみると、どうやら「鎮火報」という作品の続編であることが判明。なるほど、それなら登場人物の描写の少なさや突然の挿話にも納得がいく。
しかし、それなら本の帯に『続編』の文字を入れるべきでしょう! と出版社の方へ声を大にして言いたい。 -
鬼瓦が、またまた出てまいりました。
うれしいです。 -
続きものの気配。前作を読みたい。前作を読んでいない為、最終章で置き去りにされた。でも面白かった。著者と相性が良い。