打撃の神髄-榎本喜八伝

著者 :
  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (340ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062129077

作品紹介・あらすじ

イチローよりも速く一〇〇〇本安打を達成した男の、歓喜と絶望の間を揺れ動く魂の記録。戦争のさなか、少年は野球に出会った!「神の域に行った」伝説の打者の真実。合気打法とは何か!?30年の沈黙を破る力作。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。

  • 合気道の凄さを知った。

  • 若手の頃に空気銃でガマガエルを撃ち殺して鬱憤を晴らしていたり、ベテランになってからも家でコーラの瓶をバットで粉々にしたりと、榎本の人間臭いところに好感が持てた。

  • マイナス思考の榎本が合気道の稽古に通い「神の域」に達するまでの過程が面白い。臍下丹田に気を沈めて脱力のスイッチが入ると、下半身が落ち着き、バットの振りが鋭くなる…この説明しずらい事象を高岡英夫や末續慎吾らへの取材を通じて立体的に叙述している。

    この本は、身体と心についてのマニュアルでもある。臍下丹田と脱力についての記述は、スポーツを志していない人間にとっても意義がある部分。日本古来の合気道が、現在の最先端のスポーツ科学と通じていることが興味深い。先般受講したピラティスのワークショップを思い出した。

  • 不器用な野球人の不器用な人生。しかし真髄に到達できたのは不器用さ故なのかも。彼の取り組んだ臍下丹田への意識は再認識する必要があると思います。中途半端なデータの検証による科学、医学よりも意味はあると。

  • 「記録には残るが、記憶に残っていない選手」の本(50代以上の方であれば、プレーを見たこともあるのだろうが)。
    野村や稲尾と同年代なのに、そして彼らから最も恐れられた選手なのに、引退後に全く公の場に出なかったせいか、映像や写真がまあ残ってない。
    それどころか、数々の奇行のせいで、ちょっとアレな子の印象しかない。
    このオカルトじみた存在に光を当て、再評価を試みただけでも、本書の価値は十分にある。

    読むほどに思うのは、彼がいかに一心不乱に野球に取り組んだか、そしていかに悩み続けたのか、ということ。
    またその動機も、「3割打たなきゃお給料が下がる」「もう幼少期の極貧はいやだ」という、もう今の日本人には共感できないもの。
    理想の打撃を求めて合気道に出会い、一瞬「神の域」に到達したはいいものの、一週間で終了。
    今度はそのイメージに捉われて、また苦悩し、窓ガラスやらコーラの瓶を叩き割る。
    若手に打撃理論を伝授しようにも、彼らはまともに取り合ってくれない。
    引退後にコーチ招聘の声を待っても、そんな声はかからず。
    物凄い実績を残した人だというのに、もう、なんというか、つらい。

    打撃理論のことはよくわからないけれど、そして抽象的すぎる彼の理論は万人受けしないだろうけれど、このあまりに声の小さい「記録には残るが、記憶に残っていない選手」の軌跡・思考は、きちんと残さなければいけないことだと思う。
    もう声を聞こうにも、この世に彼はいないのだから。

  • 求道者ではあったが、スター性は持っていなかったようだ。

  • 2005年刊行。伝説のスラッガー榎本喜八氏の本、というだけでもポイントが高い。あえて言うなら2005年に出す意義というか、プラスαが欲しかった。結局のところ、この本はネット上に見られる伝説の寄せ集めにしか見えず、新事実は無かったのが残念。にしても、榎本喜八氏の生き様は文句なしにカッコいい。

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著者プロフィール

1960年生まれ。スポーツライター。大学在学中からフリーライターとして仕事を始め、『週刊文春』記者、『Number』連載を経て、2001年に『サッカー日本代表が世界を制する日――ワールドクラスへのフィジカル4条件』(共著、メディアファクトリー)を出版。以後、スポーツをテーマに取材を重ねる。主な著書に、『打撃の神髄―榎本喜八伝』『インコースを打て―究極の打撃理論』(ともに講談社)など。

「2018年 『強豪校の監督術 高校野球・名将の若者育成法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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