天使のナイフ

著者 :
  • 講談社
3.82
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本棚登録 : 1319
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062130554

感想・レビュー・書評

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  • 1

  • 少年法の存在意義を問う

    貫井徳郎の『空白の叫び』とは異なる視点で少年法に向かい合う。少年法という矛盾の壁の前に被害者家族はなす術も無いのか。緻密に練られたプロットはとてもデビュー作とは思えない。小さなパーツが見事につながり結実するラストには唸らされる。他の作品も読みたくなる魅力に溢れた作品。

  • 第51回江戸川乱歩賞受賞作。

    主人公は少年達に妻を惨殺されたカフェ経営の桧山貴志。

    事件から4年後、妻を惨殺した少年達が、桧山の近辺で何者かによって殺害されていく。

    事件当時、14才未満だった少年達は刑法による処罰を受けることなく、被害者の知らないところで裁かれ、更正の道へと進んでいくことに、桧山は「国に変わって殺してやりたい」と発言していた。

    警察から疑惑を向けられる桧山は、妻の過去や少年達の事件後の姿を追っていくうちに、事件の真相にたどり着く。

    少年犯罪において、被害者が置き去りにされ、更正という名のもとに保護されながら処罰を受ける少年達の贖罪とはいかなるものかに一石を投じる作品。

    法律の狭間で揺れる主人公の心理描写が痛いほど伝わってきて、最後は話もまとまり、読後感は良かった。

  • 2018/10/28

    妻を刺殺した13歳の少年たちは罰せられない...

    少年犯罪被害者、遺族はこんなにも虐げられているのかとただただ辛くなる。
    自分の子どもが被害者となっても加害者となっても前を向く最善な方法なんてないんだろうな。

    たくさんの事件が交差しすぎて出来過ぎ感はあったけど、どれもこれも実際ありそうな事件でした。

  • 犯罪被害者と少年法というテーマについて考えさせられる小説。ミステリー小説としても非常に優れたものであり、張りめぐらされた伏線の末、最後に明らかにされる「真相」には、目を見開かされた。

  • 面白くなってくるにつれ、強くなる既視感。。。

    にゃんと!
    WOWOWのドラマで見てたにゃ。。。

  • 乱歩賞の選考委員の講評の通りの感想だった。粗い面も目立つが、良く練られたプロットと贖罪に対する熱い思いがぶつけられていて大変な力作だと感じました。

  • 復讐の連鎖で、不幸が広がっていく。法律で人の気持ちは癒されない。
    伏線が効いていて、後半に怒涛の種明かし。ミステリーとしても良くできてると思いました。

  • 物語としてすっごく面白かった。
    反面、子を持つ親として
    ものすごく不快に、また不安に思った作品だった。僕は息子をちゃんと育てられるか…育てられるのか…
    子は親の背を見て育つとよく言われる。
    せめて、子供にとって恥じる事のない生き方をしょうと強く思った。

  • 重い一冊。
    少年法と被害者やその家族に対する支援というのがこの作家の長年のテーマなんだろうな…原点はこの最初の作品にしっかりあった。
    私だっら許せるかな。許せないな、きっと。どうしたら許せるんだろう。
    考えさせられる。

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著者プロフィール

1969年兵庫県生まれ。2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。2016年、『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。他の著書に刑事・夏目信人シリーズ『刑事のまなざし』『その鏡は嘘をつく』『刑事の約束』、『悪党』『友罪』『神の子』『ラスト・ナイト』など。

「2023年 『最後の祈り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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