- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062133067
感想・レビュー・書評
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藤澤清造に関する部分は一種のドキュメンタリー的で面白かった。
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2023/03/19
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藤澤清造に傾倒する西村の私小説。墓標を自室に飾ったり、ひどいDVをしたり。ホントに常識の概念に縛られない。
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著者は作家藤澤清造(昭和七年没 芝公園内で凍死42歳)の熱烈な支持者であり、没後弟子を名乗っている。なにしろ自宅リビングに清造の墓寺から譲り受けた木の墓標まで飾ってある。そんな著者の私小説であり、清造を巡る仕事と同棲している女を題材にしたものだ。相変わらず結構な荒れぶりであるが、その人間臭さを余すことなく出しているのが評価されているのだろう。しかしやはり苦役列車のほうが断然面白かった。
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なんでそこでDVなんだ……と悲しくなった。逆にこんな人間でも心から夢中になれることを持っているんだなぁと、その点だけは羨ましく思った。
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男(著者)の藤澤清造氏への偏愛ぶりが全ての頁から伝わる作品。氏への偏愛と自身の女へのDVが綴られている。DVは褒められたもの、いや、許しがたい行為ではあるが、ゾクゾクと読み進めてしまうのは何故だろう。考えたくはないし、考えないほうが良い。それでも男が口癖のように発する「ごめんね」という言葉に怒りを覚えつつも、女への(他人から見ると)ちっぽけな愛情を感じてしまう。
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なんだかんだで西村賢太作品6冊目を読み終えた。
今回のこの作品ではいつもより増して作者の藤澤清造への異常なまでの愛を強く感じることができた。しかし、それ以外では相変わらず読んでいて胸糞悪くなる。特にキレ方が病的。もう6冊も読めばある程度この男の傾向やら何やらも分かってくるのだが、なんかやっぱり気分悪いわ。前半はある程度常人らしい一面もあったような気もするが、後半はいつも通り理不尽なDV炸裂。でもね、ここまで書いてアレだけど、狂人の一面こそ西村作品の醍醐味であるような気がしていて、それを露にしない前半部は逆に退屈で面白味が無い。変な言い方をすると、西村作品の良さは一般作とは違い、読後に感じるあの不快感こそがむしろ快感なのかも。 -
藤澤清造という、知る人ぞ知る?作家の作品に異常なまでに入れ込んでしまった作者の私小説。女性に手を上げるくだりなど、本当にロクデナシだと思うけれど、ここまで包み隠さずありのまま書かれるとかえって心地よいくらいなのが不思議だった。
また、「二度とはゆけぬ町の地図」で描かれている若き日の主人公(=作者)に比べると、幾分マイルドな性格になっているのか?とも思えて興味深い。 -
人間の二面性はとても厄介だな。 「何んのそのどうで死ぬ身の一踊り」(藤澤清造)