カラフルな闇

著者 :
  • 講談社
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感想 : 34
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  • Amazon.co.jp ・本 (182ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062133289

感想・レビュー・書評

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  • 作者 まはら三桃さんの意図を、丁寧に掬い取ったような表紙が素晴らしい。
    何もかも塗りこめてしまう冷たい黒ではなくて
    いろんな出来事や思いを包み込んで、その存在を仄めかしてくれるような温かい黒。
    目をこらすと、自由なかたちやカラフルな色が、その黒の向こうに透けて見えていて。

    黒々とした髪そのままに、混沌とした思いを抱えながらも
    淡々とした日々を送る少女志帆は、
    なぜかラジオで流れる地元での「闇魔女」出現情報のチェックに余念がない。

    家族のため、絵に描いたように美しい理想の家を建ててくれたけれど
    母以外の女性に心を奪われ、離婚して会社に寝泊まりする父。

    怒りにしろ、やる気にしろ、とにかくエネルギーが頂点に達すると
    勝負服の真っ赤なスーツを身に着け、突拍子もない行動に出る母は
    気分の浮き沈みが激しくて、落ち込むと時間の経過も忘れて
    日がな一日ぼーっと座り込んでいる。

    どうして志帆が闇魔女に拘るのかが物語の鍵となるのですが、
    志帆が行き場のない思いを抱えて動けなくなった時、なぜかいつも現れて
    彼女の心をほどいてくれるクリシュー先輩とそのお母さんに
    なんともいえない味わいがあって、素敵です。

    その人の色として、みんなの目に映るイメージカラーが
    赤だろうが、紫だろうが、黒だろうが、
    その中には、その一色を構成するたくさんの色がひしめき合っている。
    だからこそ、まるごとわかりあえなくても
    どこかで必ず人はつながっていけるのだ、という思いを
    まはらさんがまっすぐぶつけた、初々しい作品です。

  • まはらさんの本を最近古いものも含めちょこちょこ読んでいる。ただ真っ暗なだけではない闇。若い子には刺さるのかな。

  • 中学生が主人公の児童文学です。
    最近こういった本を読むのが続いています。
    でも、大人も充分楽しめると思う。
    本を読むたびにいろんな共感もあるし、
    気付かされる事が沢山ある。

    「一人一人はちがうけれど、どこかしら同じところも持っている。だから、よくわからないなと思っている人とも、わずかな共通点をたどれば、わかりあえるものかもしれません。」あとがきから。

  • 世界観に没頭できなかったとゆうか、はいることができなかったです(´・_・`)クリシュー先輩は、可愛いです!

  • 「みんな、一人ずつ微妙なグラデーションの素質を持って生きている。同じ色はないけど、どこかしらつながっている。だからきっとちょっとずつは、わかりあえる。」

    どこかで読んだような話かもしれないなぁというのが読後の感想。
    他の有名な作家も似たような題材もっていなかったっけ・・・とは思った。
    取りこぼしはなかった!のが良かった。
    全部ハッピーエンドってわけじゃあないけど、これからもこの子達の人生は続いていくんだなぁと思わせたラストですきっとさっぱりとした。

    【4/7読了・初読・大学図書館】

  • 写メールに時代を感じるけれど
    爽やかな読後

  • 著者・まはらセンセイの魅力の一つがその取材力。本作でもそのち密さが随所に。ラジオの番組を通じてつながっていく登場人物たちの心の動きも見逃せません。はたして「闇魔女」とは!?

  • 1時間で読了ってはやっ(笑
    この前に読んだ「私の名は赤」1週間かかったのに(笑

    ってなぐらい、読みやすい小説です。若い子向けなんで文体も素直で、活字数も詰め込み過ぎておらず。悪く言うと手ごたえない感じではあるけども、そこは作品の個性の範囲です。

    登場人物がステキ、主人公も母もクリシューも脇役たちも、エキセントリック過ぎず良い味出してて、中学生たちの日常が見事に小説に構成されているのが良い。

    でも意外とテーマは深い。前述の「私の名は赤」も色とか絵が大きなテーマだったけど、こっちもその辺大事なキーワード。1時間で読み終えたけど、余韻は長く残る

  • 両親が離婚している中学1年生の女の子が主人公。母は明るい人だが、躁鬱を繰り返している。
    妙な色合いの、でもつい見入ってしまう絵から独特の色彩感覚を持った先輩に出会い、その交流をきっかけに、幼い頃から抱いている良くない思い込みを手放していく。
    まはら三桃さんの最初の作品で第46回講談社児童文学新人賞佳作作品を改題し書き改めたもの。その後の作品の多くは中学高校生くらいの多感な時期の子へのエールのような作品が多く、何十年も読み続けられるような作品を期待したい。
    この本が面白かった方には、『最強の天使』もおすすめしたい。

  • リズムカルに読めた。
    あのお母さんは最悪で最高。
    あれぐらい分かりやすいほうがきっといい。

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著者プロフィール

福岡県生まれ。講談社児童文学新人賞佳作『カラフルな闇』でデビュー。作品に、『青(ハル)がやってきた』、『鉄のしぶきがはねる』(坪田譲治文学賞、JBBY賞)、『たまごを持つように』 、『伝説のエンドーくん』、『思いはいのり、言葉はつばさ』『日向丘中学校カウンセラー室1・2』『零から0へ』『かがやき子ども病院トレジャーハンター』など。

「2023年 『つる子さんからの奨学金』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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